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骨法の堀辺が来た4

「T君のレポート(『換骨拳及び骨法について』のこと)は私が書かせたものです。これは合宿(大東流柔術1か条30本の教伝会)をやった者には全員に書かせているレポートです。難しい武道論を書けと言っても、誰でも書けるものでないでしょう。だから、自分の思ったこと、感じたこと、考えたことを何でもよいから書かせています。私の考えは古武道原則による文武両道ですから。会報はフリートーキングの場ですから、そのレポートを見て、考え方が違う、賛同する等、これまた意見があり提出されれば再び載せます。貴方もこの会報について意見があれば、レポートを出してくれれば掲載しますから、提出してください。その代わり、反対意見もでるだろうし、私も意見があれば出しますが・・・」と言うと、「私は出す気はありません。」とこれまた至極素直な返答であった。
そこで私は、「新聞や雑誌では報道に誤りがあれば、訂正文又は謝罪文を出します。ここに書かれていることが誤りであるなら、私は訂正することはやぶさかではありません。都合の悪いことは掲載しないという機関誌みたいなものとは違いますから。異論があるならレポートを出してください。」と言うと、彼は予想外だったらしく、「その必要はない。」と言う。何が必要ないのか、謝罪文のことかレポート提出のことか、判らなかったので、私は次のように言葉を継いだ、
「ここに書かれていることが出鱈目であると言うのなら、私がその訂正文を書きましょう。」と言って、
私はカバンを置いてある場所に行った。丁度そこには30㎝×20㎝の小机があり持ってみると片手で振り回せるほどの軽さであった。これを持って、ショルダーバッグからボールペン(Bicの長いやつ)、ノートがないので紙袋を開いて広げ、彼の前に置いた。あたかもレポーターがインタビューするような動作である。
「先ず、この号外のどこが違っているのですか?」ボールペンを握ったとき、これで勝ったと思った。第1は対話に持ち込めたこと、第2は小机といういつでも盾にできる障害物を置けたこと、第3に右手に隠武器となるボールペンを握ったことである。現状では、傷害を受け被害者となることが、裁判に勝つ第一原則であるが、私はそうも行かない。一応プロの武道家が看板であるから、最悪の場合でも傷害を受けるのは都合が悪い。といって過剰防衛となり加害者となっても都合が悪い。そのため第3者である稲益君が見ても正当防衛となる行動が必要である。先ずは殺人刀を握り潰すためのガス抜きが第一に必要だったのである。

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