見出し画像

古流小野派一刀流(木刀)と撃剣(竹刀)との違い(上)

木刀から竹刀へ、稽古の安全等への配慮から導入され、結果的に違うものへと変質していった剣術に関する鶴山先生のメモです。

古流小野派一刀流は三代将軍家光の時代に将軍家御指南役となり、旗本に指導された。一方、撃剣(後の剣道)は幕末期小野派流の亜流として誕生した。小野派一刀流中西派がその原典であり、北辰一刀流はその亜流である。同じ一刀流系であるが、いろいろ違う面が出てきている。その相違を区分してみよう。
①木刀と竹刀では刀身と柄の長さが違う。竹刀の方が長い。
 木刀 全長3尺3寸5分(102cm)、柄8寸(25cm)刀身2尺5寸(75.5㎝)鍔切羽の間5分(1.5㎝)
 竹刀 全長3尺8寸(115cm)、柄1尺1寸(33cm)、刀身2尺7寸(82cm)
竹刀の場合、自分も相手も防具を着ける。
③では、なぜ竹刀は長いのか?
 撃剣では面具を装着したところを打つので、木刀の長さでは互いの面上に届く前に小手なり突きで先手を取られてしまう。また、小手をはめているので柄8寸では左右の小手間に余裕がなく手の自由が利かない。このため、柄・刀身ともに長くしたのである。
 また、小具足刀法の影響も考えられる、小具足刀法は陣太刀であるから最初から刀身が長い、馬上刀法として長い太刀が有効だったためであろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?