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佐々木小次郎の「物干し竿」(上)

鶴山先生の武蔵考の大柱のもとサブタイトル「佐々木小次郎の『物干し竿』」とするメモです。有名な巌流の小次郎との決闘に関するものです。
 
佐々木小次郎の「物干し竿」の長さは3尺1寸(約94cm)である。刀は2尺4寸(約73cm)が標準的だった当時、小次郎はこの長い刀で勝っていた。しかも、背負太刀にしていたらしい。この太刀を背負う式は南北朝時代にあった。当時の背負太刀は130~150cmである。94cmの刀なら腰に帯びることが出来そうなものだが、小次郎は背負っていた。このことから小次郎が短躯短足であったとも想定出来る。

ただ、武蔵との決闘の日付けは「二天記」によれば、慶長17(1612)年4月13日であったとされており、徳川時代ではあったが、太刀を腰に帯びる旨制定される前なので、背負太刀も腰に帯びることも自由であったのだろう。

もっとも、「二天記」は、武蔵没後130年にまとめられたもので、現代の小説家が古武道のことを知らず現代武道の感覚で風俗を述べていると同じく、徳川時代といっても18世紀当時のサムライの風俗をもとに小次郎、武蔵を小説化したものである。小次郎の小姓髷(まげ)から小柄なイメージ作りをしている、大柄な小次郎ではイメージが合わないからであろう。前に高倉健が小次郎役をやったことがあるが、姿は小姓だが、何か厳(いか)つい感じがしたものだ。

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