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極意秘伝のはなし38

23情
心を静かにして動かないところである「性」から発して用をなすを情という。心から発して用をなすを意という。武士たる者、義を守り勇を励ますことを良しと思わない者は一人もいない。けれども、その場に臨んで実際に勇を示すことが出来る者はまれである。良いと思っても出来ないのは七情の気が本心の性をおおって、意の悪に流れるからである。

例えば、平常、酒宴遊戯に長じ、わけもなく光陰を送ることを悪いと思いながら止めないのは、善欲の情が罪悪のきざしを塞ぐからである。このように自分が天から生まれつき備わった本心の明なるところがありながら、七情の悪意に奪われる者は、天道の罪人であって、その過ちから逃れてはいけない、常に工夫すべきところである。善意悪意の発するところは、性情の間のほんの小さな差でしかないが、これによって千万里の優劣が生じるのである。よく吟味すべきである。

心を静かにして動かないところを性といい、性から発して用をなすを情というのであれば、心の性情を一つにまとめること、次図により考えるべきである。
    仁      惻隠(そくいん)(哀れみ)
    礼 理発而  辞譲(じじょう)(謙譲)  気発而
 心性 信 発為四端 七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚) 心之用口伝
    義 気随是  羞悪(しゅうお)(廉恥(れんち))理乗是
    智      是非(ぜひ)(善悪の判断)        (続)

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