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【Jドラマ】「ブラッシュアップライフ」(中)~書き起こし<最後の女子会>

シナリオどおりかアドリブか、その真相は?

ここから先はドラマ制作の“あるある話”になるけれど、シナリオ(台本)には登場人物、台詞(セリフ)、ト書きが綿密に書き込まれているのがふつうだ。
ちなみに、大御所の作家は、たとえ一文字でもアドリブ(即興)を許さない。
 
ところが、シナリオの一部に台詞が空白になっている箇所があり、そこは演出家と俳優の裁量におまかせ、つまりアドリブで台詞を埋めていく制作現場もなかにはあったそうだ。
(喜劇に多かったらしいが、TVのバラエティー番組では今も多用されている)
 
もしも、全編がアドリブのように感じさせる自然体の台詞で埋めつくされていたなら、それはそれで脚本家バカリズムさんの大手柄ということになるが、ともかく、真相(?)はスタッフ・キャストのみぞ知る。
でも、なんとなく、シナリオとアドリブのブレンドという気もするけれど……。
 
というわけで、近藤麻美(安藤サクラ)、門倉夏希(夏帆)、米川美穂(木南晴夏)のレギュラートリオに、ドラマの終盤で加わった宇野真里(水川あさみ)の4人の<最後の女子会>の模様を記録しておきたい。
 
うんちくありの丁々発止のやり取りを、雰囲気だけでも味わっていただきたく、ここに書き起こしておくことに――。

<最後の女子会>の会話を書き起こしてみた

「ブラッシュアップライフ」最終話。同窓会の帰り道。いつものように笑いが絶えない<女子会>メンバー。 画面右から門倉夏希(夏帆)、近藤麻美(安藤サクラ)、米川美穂(木南晴夏)、宇野真里(水川あさみ)

――場面は学校の同窓生が集まってカラオケ大会を開いたあとの帰り道――
A(※誰の発言か不明なのでアルファベット表記):40(歳)の体にはこたえるなぁ。
B:ほんとだよね。
C:あのメンバーで集まるの、いつ以来?
Ⅾ:ええっ、あそこまで揃うのは成人式以来じゃない? 10年ぶりぐらいじゃない?
近藤麻美(安藤サクラ):もうそんなに経つの?
米川美穂(木南晴夏):経つでしょう。うちらがちょうど40(歳)だから20年だ。
全員:えーっ、こわい、こわい。
門倉夏希(夏帆):ねえ、30(歳)過ぎてから時間経つの早過ぎだよね。
宇野真里(水川あさみ):早いねえ。
美穂:なんかそれってさ、本で読んだんだけど、歳をとるにつれて1年の相対的な長さが短くなるからなんだって。
真里:ああ。
夏希:どういうこと?
麻美:だから5歳の子の1年って人生の5分の1じゃない?
夏希:うん。
麻美:だけど50歳の人にとっての1年は50分の1でしかないじゃない。
夏希:ああ、そうだよね。
麻美:それって歳を重ねるにつれて人生の1年の比率が小さくなっていくから早く感じるようになる。
夏希:……ああ。
麻美:(美穂に向かって)だよね。
美穂:そういうことだよ。
夏希:ああ……じゃあ、あれは? 家でシャワー出してからお湯になるまでの時間って長く感じるじゃない?
麻美:感じる。
真里:なかなかお湯にならない。
夏希:あれさあ、実際数秒なんだろうけど体感だと2、3分だよね。
麻美:うん。
真里:朝はとくに長く感じない?
美穂:そんでさあ、このまま永遠にお湯になんないのじゃないかって不安になるよね。(あくびをこらえる真里と顔を見合わせて笑い、次に全員で笑う)
夏希:(麻美に向かって)ねえ、あれはなんでしょう?
麻美:あれは給湯器の経年劣化。
夏希:ええっ? なに、それ(とずっこけて笑う)
真里:体感の話だよ(笑う)
A :配管の話。
麻美:うちなんか新しくしたら即お湯が出るようになったよ。
美穂:なに、それ。うちらのお風呂場にどれ付けるかわかんない(笑う)
――全員の笑い声がエコーになって、エンドタイトルにかぶさり、<58年後>の字幕スーパーが出る――

……とまあ、<最後の女子会>と書いてきましたが、実はこのドラマには後日談があって、<58年後>も仲良く同じメディカルホームで暮らし、サロンのひだまりの中で談笑している光景が映し出されます。
 
つまり<女子会>はその後も延々と続いてきたようで、なんと言いましょうか、彼女たちにとって、<最後>なんてないのでしょう、きっと。
 
そうすると、次の電線に止まった4羽の鳩は、何を意味するのでしょうか。
もしかすると、誰かの生まれ変わり?
まさか、あの4人ではないでしょうね。

「ブラッシュアップライフ」より

(次回「やっぱり猫が好き」につづく)


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