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和平の兆しと挫折・・・

【パレスチナ事業30周年 ウェブ記事第三弾】

トップの写真は、パレスチナ・ヨルダン側西岸地区のベツレヘムにある難民キャンプの入り口で、鍵と鍵穴がモチーフになっています。1948年に難民となったパレスチナの人々は、いつ戻れるかわからない自分の家の鍵を持って各地に避難しました。それから70年以上経った今も戻ることは叶わないまま、しかし「いつかは自分たちの土地に帰る」ことを胸に、鍵を大切に保管しています。

今回は、1990年代に訪れたイスラエルとパレスチナの和平ムードとそれを阻む問題について当時の駐在員が書いた記事をご紹介します。


記事を読んでいただく前に少し当時の状況の解説を・・・

1993年にノルウェーの仲介によりイスラエルのラビン首相とパレスチナのアラファト議長の両者が、「暫定自治原則宣言」(オスロ合意)に署名し、5年間のパレスチナの自治が開始されました。【参考:外務省パレスチナ概況】

1948年にイスラエルが建国を宣言して以降、はじめての前向きな動きとなり、イスラエルとパレスチナの和平に多くの人々が希望を抱きました。しかし、この合意の中では「エルサレムの帰属」「難民」「入植地」「国境」といった肝心な問題については5年間の暫定自治期間に話し合われることになっていましたが、結局それらの決定は5年後の自治の終了まで先送りにされていました。

そんな中、1995年11月に、オスロ合意に署名したラビン首相がイスラエル人の極右青年に暗殺され、さらに右派のリクード党が政権をとったことにより、和平プロセスは停滞、交渉は大幅に遅れ、前述の問題の解決は結局実現されませんでした

さらに、2000年9月にリクード党の党首であったシャロンが1,000人以上の武装護衛を引き連れて、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通の聖地である神殿の丘(現在はイスラム教の財団が管理している)にある岩のドームを訪問し、「エルサレムは全てイスラエルのものだ」と宣言。これが引き金となってイスラエル・パレスチナ間で大規模な衝突が起こり、多くの人が犠牲となりました(第二次インティファーダ)。

※第二次インティファーダ以降のことはまた別の記事でご紹介します。

最近では、入植者を含む強硬なユダヤ教徒がイスラエル兵や警察の警護を受けながら、この神殿の丘を闊歩することが頻回に起きています。また、東エルサレムを含むパレスチナ各地でイスラエル軍とパレスチナ人の衝突が増えており、第三次インティファーダが起こるのも近いのではないかという不安の声がパレスチナ側からもイスラエル側からも聞かれています。

そんな中でNGOに何ができるのか、何をするべきなのか、当時の駐在員は以下の記事の中で以下のように語っています。

「パレスチナ人がパレスチナにとどまれるように支援するのが、NGOがパレスチナで活動する理由である」

それから28年、何代にもわたって駐在員は交代してきましたが、その思いは引き継がれています。自分たちに置き換えると「日本人が日本にとどまれるように」そんな当たり前のことが揺るがされている中で、パレスチナの人々がどうありたいのかということを軸に、今後も活動を続けていきたいと思います。

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最後に・・・JVC FuturePJ2022 のお知らせです!📢
こんにちは!JVC物品支援・広報チームインターンの堀谷です。
9月15日より挑戦を開始している以下のクラウドファンディング、パレnoteの読者様も既に多くの方がご覧になっているかと存じます。

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紛争や政情不安…困難に直面する人々に未来を変える学びの力を届けたい
JVC FuturePJ2022

URL:https://readyfor.jp/projects/jvc-2022/
目標金額:500万円
終了日:10月31日(金)23:00
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今年は500万円の目標に挑戦していますが、いまのところ苦戦しており、10/24正午の段階で69%にあたる349万円しか集められていない状況です。
残り7日で約151万円を集める必要があります。

今回も昨年度に引き続きAll or Nothingで実施するため、10月31日の段階で500万円を達成できなければ、すでに託していただいている金額もすべて返金となり、プロジェクトの遂行に支障をきたしかねない状況です。

https://readyfor.jp/projects/jvc-2022/announcements
こちらの新着情報のページでは、プロジェクトから生まれつつある成果やプロジェクトへの想いなど、様々な情報も更新しています。
もしご覧いただいて共感頂けるようなら、ぜひご無理のない範囲でご寄付を頂ければ幸いです。

JVCでも危機感を感じており、ここから後半戦は、これまで以上にFacebookやTwitterなどのSNSでの拡散や、19日にはイエメンとアフガニスタンの状況をお伝えする寄付イベントの開催、そして、24日にはSNS上で皆様にシェアをしていただくシェア祭りの開催、と様々な施策を展開しております。

●10月24日SNS上でのシェア祭り
(Twitter/Facebook上で投稿のシェアをお願いします!当日に投稿されます)

なんとか多くの方にプロジェクトを見て頂き、一人でも多くの方にご寄付いただいて現場に支援を届けられるよう、是非皆様にもSNS上での拡散などもお願いできると嬉しいです!🥺



JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。