Yu

言葉の旅。

Yu

言葉の旅。

マガジン

  • いいものみつけた

最近の記事

読書感想『父・こんなこと』

去年の秋、筑摩書房から出た高峰秀子さんのベスト・エッセイに偶然出会って、その魅力に取り憑かれてから古本を漁るようになった。 地に足ついた昭和の生活史として。使い古した白雑巾が、醤油差しが、硬い話し言葉が、たまに出掛ける時に着る上等な着物が、ここに息づいている。 戦争の影が色濃く残る当時の日本で大変な苦労をしているんだけど、筆者の眼に映る情景はなんとも研ぎ澄まされている。過ぎ去る生活のこれっぽちのことに光を当てていくようなエッセイ。そうやって浮かび上がってゆく昭和前期の生活

    • いいものみつけた 工具編

      はじめに 新生活が始まる。生活にまつわる殆ど全てのものを揃えなくてはいけない。必要に駆られたお買い物は洋服や家具のようにワクワクするショッピングではないが、長く使えるものはいいと思ったものを手に取ろうと決めた。 ただ、こういうもののニーズは、人によってかなり違ってくる。 先に私の状況を説明すると ・ひとり暮らし ・一般的な機能があればOK ・長く使える ・その上身軽で清潔であればなお良し こんな感じだろうか。第一回目は工具について。 ①カッター はさみでチョキチョ

      • いいものみつけた

        一人暮らしを始めることになり、何もない新居の床にペタンと座って 「私は本当に何も持っていないな」と気づいた。 緩んだネジを締めるためのドライバー1つ、汚れた軍手を洗うための桶だって、エアコンのフィルターを取り外すための脚立も、ない。何にもない。 新生活はインテリア家具だの家電だの華やかなお買い物を想像していたが、なんだかもっと原始的(?)なものから揃えていかないといけないことに気づいた。 でも、そういう原始的なもの、例えば 工具。ハンガー。フライパンやボウル。お裁縫セット

        • 書かなくちゃVSどっかに出かけたい

          2023年になってから東京は毎日のようにキリッと晴れている。 外に出れば「おお、寒い」とコートに身を縮こませたくなるほどの寒波だが、暖かい家の中から窓の外のあの青空を見ると、一日中家の中で過ごすのはとてももったいない気がしてくる。 ただ、今日は書きかけの原稿が2本残っている。どっちかでもいいから早く完成させたいと、勤務しながらずっと願っていた。やっとの休日だ。時間はたっぷりある。家で書いていると途中でグダるから図書館に行こうと前から決めていた。 席について、途中で止まって

        読書感想『父・こんなこと』

        マガジン

        • いいものみつけた
          2本

        記事

          知らない世界の多さ

          今日はファスティング二日目。空腹感はあるものの、何も食べていないので体は軽いし疲れは少ない。 朝方まで作業した日は、いつも夕方ごろまでグータラしているが、お昼過ぎにシャキッと起きた。このまま家にいると誘惑に負けて惣菜パンでもつまんでしまいそう。 シャワーを浴びて、少しピアノの練習をして、洗濯物を取り込んでから家を出た。 日が短いせいで陽は既に傾き、湯冷めと寒気が相まってとっても寒い! 本当はカフェに行ってあったかいコーヒーを飲みながら読書でもしたいのだけど、ファスティング

          知らない世界の多さ

          花火は濃厚接触にならなくて、しかも楽しい

          2022.7.31 暑くて溶けそうになりながら、熱帯夜の砂利の上を歩く。舗装がない暗い道は少しこわかったけど、冷たい飲み物が待ってるぞ〜と、自分を励ましながらついていく。勤務終わりに、職場の人と花火をするのだ。 打ち上げ花火は人混みのせいであまり好きじゃないので、混んでないし自分のすぐそばでパチパチと火花がはじけ散る様子が見れる手持ち花火は好き。 手持ち花火はスーツケースの厚さくらいある。(ありがとう!) これだけたくさんあったら二刀流はともかく、三刀流も四刀流だって

          花火は濃厚接触にならなくて、しかも楽しい

          街の味わい

          鮫洲の免許場で免許を更新し外に出てみると、思ったよりも涼しかった。7月に入ったとたん猛暑のせいでまともに外を歩けない日々が続いていたので、小雨だけど陽の出ていない今日みたいな日は久しぶりに歩けるぞ、と思った。 大井町の眼科に行ってコンタクトを買ってこよう。最近また視力が落ちたように思うし、つけたまま寝てしまうなんてことも多かったから目の検査もできるところを見つけて駅まで歩いた。 今日はたまたま院長先生の診察日だったらしい。入り口に60分待ちの案内がある。わざわざ平日に来た

          街の味わい

          小山田咲子さんに出会った

          コロナ第六波が収まってきたので、友達RとKと福岡に行くことになった。社会人になってから、この二人とはたまにホカンスに出かける。 ちょうど一年前にはこの二人と静岡に出かけていた。たまたま、川端康成の伊豆の踊り子を図書館で読んだあとだった。河津駅を降りてすぐ、バスターミナルの端に伊豆の踊り子像があってここが舞台だったと知った。 思いがけない聖地巡礼。旅行学的にいうと、コンテンツ・ツーリズムというらしい。 小説を読んでからその土地に行くと、初めて訪れるのにどこか見慣れた感覚が

          小山田咲子さんに出会った