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京都紀行文①

先月、気晴らしに京都へ足を運んだ。
梶井基次郎は京都から逃げ出して何百里も離れた仙台や長崎にいってしまいたいと檸檬で述べていたが、僕の逃げ出す先はこの京都だった。
東京のギラギラとした喧騒と希薄な人間の佇まいなどから離れたくなって、逃げるように京都へ向かったのだ。
先に断っておくが、療養のためではない。僕は僕自身の心の安寧を求めて京都へ足を運んだ。

京都へ向かう時の僕は実に乙女的で、まるで京都に恋をしているかのような、はやる気持ちを抑えながら出発の日を待った。

いざその地へ降りるとどうにも、心が安らぐ。僕が寺社仏閣が好きな話は前々からしていたので、神社が多いから京都が好きなのデショと思うかもしれないが、それだけではないような気がする。懐かしさも感じるのだ。

首塚大明神

京都最強の心霊スポットといわれることが多い、首塚大明神。僕は毎年京都に来るたびここにお参りをしないと気が済まない。
というのも、僕はこの地に埋葬されている酒吞童子という妖怪を敬愛し、信仰しているからである。

酒吞童子とは、平安時代の京都を恐怖に陥れた鬼の頭領だ。源頼光によってその首を落とされ、京都に運び込もうとしたところこの首塚大明神のある場所で動かなくなってしまい、供養のために神社を建てたと伝えられている。

京都駅からバスで約50分程。山を割って敷かれた国道で降り、山道を進んで行くとその神社は現れる。
ちょうど工事中で社全体は拝見出来なかったが、無事にお供えのお酒を献上して挨拶を済ませた。

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時々、心霊系YouTuberなんかが肝試しをしに行っているのを見かけるが、本当にやめてほしいと思う。心霊スポットといわれていても神社であることは間違いないのだから。
首塚大明神の記事は別サイトにて詳しく記しているので良ければそちらもどうぞ。

平等院鳳凰堂

京都の北に位置する首塚大明神からバスで京都駅に戻り、京都駅から電車で宇治へと向かう。宇治の駅前は閑散としていて、疫病の猛威をひしひしと感じる。観光で成り立っていたであろう商店街はシャッターが閉まっている店の方が多く、昼食を摂るのに苦労した。

そして、数年ぶりに平等院鳳凰堂へとやってきた。

世界遺産でもある平等院鳳凰堂だが、10円玉の裏側になっているといえばピンとくる人が多いかもしれない。あいにくの雨だったが、荘厳な姿は変わらず。観光客もまばらだったためのんびりと参拝することが出来た。

平等院鳳凰堂は、造形の美しさは勿論みどころではあるが横にある風翔館のみごたえが抜群である。雨だったのもあってミュージアムの中はなかなか人がいた。平等院の展示で雲中供養菩薩像が非常に好きなのだが、このミュージアムでは展示の仕方がなかなかお洒落になっている。

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鳳凰の上にいるカラス。

伏見稲荷大社

京都の1日目最後は毎年のルーティンで、伏見稲荷に来ると決めている。氏神ではないが、宇迦之御魂神は縁が深く、個人的にも好きな神様である。

こちらも観光客はほとんどおらず、参道ものんびりと登っていくことが出来た。夕暮れから夜にかけての伏見稲荷が特に好きである。

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奥社に行く鳥居の前にいる2対のお狐様がめちゃくちゃイケメン。推し。

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雨宿りをしている猫。

雨のせいか段々ときりが濃くなり、頂上に向かうにつれて涼しくなっていく。伏見稲荷には歓迎されていることの方が多いので雨も止んできた。

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突然脇道が気になり、行ってみると竜神様を祀る神社が。雨が強くなる。伏見神宝神社というらしい。傾斜のある舗装されていない山道を少し進むとその社は現れる。

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苔むした鳥居がなかなかいい雰囲気を醸し出している。緑が深く、美しい光景だ。

夜の伏見稲荷はとにかく格別。今回は雨が降っていたことも相まって地面が濡れて反射が美しい。

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人もいないので大満足の散策である。

ホテルにチェックインし、酒呑様に献上したお酒(環境保護のため、おいて帰るわけにはいかないので)を頂くことにした。

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あいにくの雨だったが、幸先の良い旅行になりそうである。この日はしばらく歩いたので日付が変わる前に眠ってしまった。

〜続く〜


有意義に使わせて頂きます。