神様との夢

朝方にかけて微睡んだ隙に見た夢
昨日の夜伏見稲荷に行くか迷って雨が降ってきたから「今日は休みな」ってことかなって解釈して行かなかった。

それもあってか夢の中で伏見稲荷にいて、目の前に白い着物を着た少年が現れて「一緒に上まで登りましょう」と言われる。着物の隙間からチラッと白い狐の尻尾が見えて、「あなた人間じゃ無いでしょ」というと困った様に笑って肩をすくめる。「あなたの本当の姿を見せないとついていけないよ」というと「わかりました...」といって少年は雲みたいにふわふわの白狐になった。めちゃくちゃ可愛くてその狐を撫で回してたら「主人に怒られるのでおやめください!」と言われて少年の姿に戻る。

「さ、一緒に来てください」と言うことで山を登っていく。いつもの山頂にある小さな社がいっぱいある場所じゃなくて、大きな本殿がある見たことのない場所に連れて行かれ、「いつも登って来るのここじゃ無いよ」というと少年が「ここは普通は来られませんから」という。
京都が一望出来るくらい開けていて空気もすんでいて、ずっとここにいたいなって思う場所だった。

そうしたらその本殿の扉が開いて、白檀のにおいが溢れてきたと思ったら目の前に別の長髪で狩衣か何かを着ている男の人がいる。直感的に多分人じゃ無いんだろうな、って思っていると、「居たいのならここに居ていい。欲しいものはなんでもあげよう。君と共に過ごしたい」と言われる。その声をきいてなんだか胸がいっぱいになってうまく喋れなくて、頑張って「居たいけどまだやりたいことがある」みたいなことを言った。

「じゃあもう少し待つ。だから、いつかは絶対私の元に来い」と言われた。
なんて答えたらいいのかわからなかったので「好きにしてください」って答えた。ふん、と鼻で笑われてすごく優しく抱きしめられた。
なんとなく稲荷系の誰かなのかなって思ったので「他の場所には行ってほしく無いのですか」と聞いた。こくりと頷かれる。「やきもちですか」と聞くとバツの悪そうな顔をした。なんだかとても愛おしくなって今度は私から抱きしめた。懐かしくていい匂いがした。「待っている。ずっと」と囁かれ、そこで目が覚めた。
多分、神様の類の人だったと思う。


夢の続き
あの鳥居がたくさんある神社の前に立っていた。
横を見ると昨日の白狐の少年がおり、「参りましょう」と声をかけてきた。
前を歩く彼の背中と、鳥居の赤、木々の青さだけが目に映っている。石畳の階段を緩やかに上がっていく。

石畳の両脇に挟み込むようにして石でできた狐の2対の像が立ち並んでこちらを見ている。上に登っていくにつれてどんどんその石像が大きくなっていき、表情もおどろおどろしくなっていく。
こちらを食い殺さんばかりの顔の石像ばかりになった時、少年がこちらを振り返らずに言った。
「この狐の像たちは、本当に上へ行って良いものなのか見定めておりますゆえこの様な表情です。あなたには決して害を成しませんのでご安心ください」
とりわけ怖いとは思っていなかったが、その言葉で安心した。

「さあ着きました」
石畳を上り切ると、真っ白な石が敷き詰められた場所に真っ赤な社がたっている。
この間見た夢よりもはっきりとしていた。上がってきた道は違ったが、直感的にこの間きた場所と同じだと思った。
「今日は何用ですか?」
と問いかけると少年が困った様に笑った。
「ご主人様からお伝え致します」
それと同時に社の扉が開いてあの神様と思われる方が出てきた。思われる、というのは、雰囲気こそ一緒だったが髪型や服装が全く違ったからだ。それに私はこの神様のお顔が思い出せない。
今風のセンターパートに黒い着流しといういでたちだった。
「君がこういう風貌が好きだと言っていたのを聞いたから、こうしてみた」
つんつんした言い方でそんなことを言い訳の様に言う。正直、ド好みの見た目だった。
「は、はぁ、すごく好きですけど」
「ならよかった、では人間の街へ共に出かけよう」
訳の分からない提案だったが神様に腕を取られて引きずられる様にして神社から出発した。こっそり少年が「あなたと一緒に出かけたいんですって、しばらく会えなくなるから」と耳打ちしてきた。
それから神様と一緒に京都の純喫茶に行ったり、鴨川でお弁当を食べたりした。この辺は曖昧で細かいことは覚えてない。ただすごく楽しくて、神様も楽しそうだったのは覚えている。
夕日で空が赤く染まる頃には神社に戻ってきていた。縁側に座りながら夕焼けを見ている時に神様が言った。
「〇〇(本名)、一度でいいから私の名前を呼んでくれないか」
それに頷くと神様は小さく自分の名を教えてくれた。その名前を私は呼んだ。
「なんとも幸せな気持ちになるな、私も何度も君の名前を呼ぼう」
と言って神様が笑った。
その名前は目を覚ましたら忘れてしまった。


有意義に使わせて頂きます。