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海外ロマンス温故知新1 俺様系ヒーローに翻弄される快感がたまらない


ロマンス好きの方ならご存知でしょうが、海外ロマンス小説は「愛を知った侯爵」だの「愛を知らない侯爵」だの、似たようなタイトルが多いです。うっかりしていると、一度読んだものをまた買ってしまったりします。そういうわけで、読んだ本の記録をつけようと思い立ち、書きためていたものを少しずつ投稿したいと思います。ただ感想を書くだけのゆるい記事です。軽くネタバレあったりしますので、これから作品を読みたい方はご注意くださいね。
なお、Amazonのリンクが貼ってありますが、とくにAmazonからの購入を促す意図はなく、アフィリエイトにも参加していません。

『伯爵は誇り高き鷹』
シャーロット・ラム
八坂よしみ 訳
ハーパーコリンズ・ジャパン
2020年3月5日発行
(ハーレクイン・イマージュ 2013年10月刊/1977年の作品

ヒーロー        ★★★★☆
ヒロイン   ★★★★☆
ドキドキ   ★★★★☆
舞台の美しさ ★★★★★
笑える    ★★★★☆
サスペンス  ★★★☆☆

ロマンス温故知新の第1回目は、フェローアカデミーのロマンス翻訳マスターコースで教えていただいた、八坂よしみ先生の作品! なんといっても翻訳がすばらしいのでぜひお読みくださいませ。

【萌えポイント】どんな女性もメロメロにする長身ハンサムな俺様キャラから、「君のことは誰にも渡さない」とぐいぐいこられるところ。

ロンドンの大手輸入業者で翻訳者として働く23歳のアマンダは、ある日偶然、故郷イタリアの城壁都市サン・ヴォレンコの領主チェーザレの弟ピエロと再開する。5年前、横暴なチェーザレの求婚を断ってロンドンに逃げてきたアマンダは、兄とは違い優しく繊細で穏やかなピエロと親しくなっていく。やがてピエロから求婚され、一緒に故郷に帰ったものの、そこで待っていたのは5年前の拒絶をまだ許していないチェーザレだった。

俺様キャラのチェーザレと優男ピエロの間で揺れるヒロインの物語かと思いきや、序盤からピエロがかなり子供っぽくて、痛いところをつかれると「もうやめてくれ!説教はうんざりだ!」とむくれるわ、自分の失敗を他人のせいにするわ、とにかく人としての小ささを露呈しています。この時点でアマンダはピエロが男として物足りないと気づきますが、それには目をつむり、自分はピエロを愛していると思いこもうとします。

一方、暴君チェーザレは男っぽさムンムンで、アマンダより10歳年上ということもあり、ピエロにはない大人の魅力でアマンダを翻弄します。アマンダは支配的なチェーザレに反発しつつも、圧倒的な存在感を放ちストレートに欲求を表す「ザ・男」なチェーザレに惹かれていくのを止められません。

自立した女性でいたいアマンダは、パートナーと対等な関係を築き、現代的な結婚生活を送るのが理想です。優しいピエロなら自分の理想を叶えてくれると思っていたのに、ピエロときたら、結婚後はこのまま母親や兄たちと城で同居、女は家事でもしていればいいなどとほざきます。優しくてアマンダの言いなりになりそうだと思ったのに、全然そうじゃなかったのでした。ここまでくると、暴君でもチェーザレのほうがマシ! と思うところですが、アマンダはまだ自分の本当の気持ちを認めません。

その後、ピエロのクズエピソードがいろいろと出てきたり、チェーザレ&ピエロ兄弟の母親がある人物に脅迫されていることがわかったり、使用人のセクシー美女が、ちょっと生意気だけど悪い子じゃないのかなと思っていたら根っからの性悪女だったり、でもそれがきっかけでアマンダが自分の本当の気持ちに気づいたり……と怒涛の展開が訪れます。そして最後にたたみかけるように発せられるこっぱずかしいセリフには「きゃあ~」とならずにはいられません。これこそがハーレクインの醍醐味ですよね! 

また、ロマンス小説特有の「それ、もっと早く誰かに相談していればこんなことにならなかったのに……」とか、「見ればわかるでしょ……」という突っこみどころは多々ありますが、それぞれのキャラクターがシンプルでくっきり際立っているせいか、とても読みやすかったです。

ただ、「伯爵」とタイトルにありますがヒストリカルではないのでご注意ください。俺様系ヒーローがお好きな方にお勧めの一冊です。
(文責:岡田ウェンディ)


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