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出版翻訳者(主に英日)の集まりです。リーディング・翻訳承ります。オンライン勉強会、企画持ち込み、翻訳案件の紹介など、ゆる~く活動中。常時メンバー募集中! お気軽にお問合せください。Jiyuugaoka.honyakusha@gmail.com

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海外ロマンス温故知新3 元祖婚活女子が火花を散らす、きらびやかなロンドンの舞踏会へようこそ!

華やかで優美なロンドン社交界で夜ごと繰り広げられる舞踏会は、ヒストリカル・ロマンスの目玉といえるのではないでしょうか。貴族の子女たちにとって、社交シーズンの舞踏会はまさに戦場。優雅に踊りつつも、相手の品定めに余念がありません。 今回は、貧乏な下級貴族のヒロインが、妹たちの生活を守るためにお金持ちの結婚相手をゲットしようと奮闘する、よく似た設定のお話を二作、ゆるい感想でご紹介します。二つとも人気作なのでとっくに読んだ方がほとんどだと思いますが……。 軽くネタバレあったりするか

    • 海外ロマンス温故知新2 野性味あふれるハイランダー、いかがですか?

      ハイランダーは通常、スコットランド北部に住む戦士たちです。ロマンス小説でハイランダーものの表紙にはたいてい「筋骨隆々で上半身裸にタータンチェックのキルト」という姿で描かれ、つい「ムキムキマンのエンゼル体操」を思い出してしまうのですが(若い人、わかるかな?)、身長は2メートル近くあり、さっきも言いましたが筋骨隆々、非常に寒い地域に暮らしているせいか寡黙で口下手。大事なことを言わなかったりして時々誤解を招きますが、そんな無口なハイランダーが満を持して発する愛の言葉は、きっと女心を

      • 海外ロマンス温故知新1 俺様系ヒーローに翻弄される快感がたまらない

        ロマンス好きの方ならご存知でしょうが、海外ロマンス小説は「愛を知った侯爵」だの「愛を知らない侯爵」だの、似たようなタイトルが多いです。うっかりしていると、一度読んだものをまた買ってしまったりします。そういうわけで、読んだ本の記録をつけようと思い立ち、書きためていたものを少しずつ投稿したいと思います。ただ感想を書くだけのゆるい記事です。軽くネタバレあったりしますので、これから作品を読みたい方はご注意くださいね。 なお、Amazonのリンクが貼ってありますが、とくにAmazonか

        • 【2023年】私の推し本(岡田ウェンディ)

          今年は西東京読書会に2回参加させていただき、その時の課題図書2冊と、翻訳家で西東京読書会世話人をされている小林さゆりさんの訳された1冊をご紹介します。 『誰?』 アルジス・バドリス著 柿沼瑛子訳 山口雅也=製作総指揮 国書刊行会 2022年12月20日発行 東西冷戦下、アメリカの天才物理学者ルーカス・マルティーノは、極秘計画の実験中に大爆発に巻き込まれ、ソ連側に救助(拉致?)され、大手術の末に一命をとりとめます。ところが、その手術は、マルティーノの外観を別人に変えてしまい

        海外ロマンス温故知新3 元祖婚活女子が火花を散らす、きらびやかなロンドンの舞踏会へようこそ!

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          6本

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          【2023年】私の推し本(本間綾香)

          今年は仕事のためアルコール依存症関連の本をたくさん読みました。その中からオススメしたい本(&映画1作)を紹介します。 まんきつ『アル中ワンダーランド』(ノンフィクション漫画)/飲んだときの暴走ぶりに爆笑。翌日の祭りの後の虚無に首がもげるほど共感。 町田康『しらふで生きる 大酒飲みの決断』(エッセイ)/自分を普通以下のアホと思うことで味わえる人生の幸せ、解放感がある。なるほど! 岡康道&小田嶋隆『人生2割がちょうどいい』(対談集)/岡さんが電通で仕事中毒だった時代にアル中

          【2023年】私の推し本(本間綾香)

          【2023年】私の推し本(曽根田愛子)

          初めて書くnoteが、今年の終わりにあたってのnoteです。 私の推し本は、和書、洋書から一冊ずつ。 どちらも新刊ではないのですが、個人的に今年買ったもので、何回も読み返したもの、という共通点で選びました。 Tillie Walden 『Are You Listening? 』(First Second、2019年) 今年、三辺律子さんの訳が話題になった本で、原書のほうで読みました。 どのコマも見ていてとにかく飽きない。なんでかなあと思ったら、全ページにいつも何かしらが舞っ

          【2023年】私の推し本(曽根田愛子)

          【2023年】私の推し本(古森科子)

          今年1年間で読んだ本のなかで、とくに印象に残った7冊を紹介したいと思います。 アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』(市川恵里訳、河出書房新社、2021年) 最初にタイトルを見たときは何とも思わなかったが、読み進めるにつれてイランという国で『ロリータ』を読むということがどういうことなのか、じわじわと伝わってきた。途中から戦争がはじまり、ただでさえ生きづらい過酷な環境下にある筆者や女生徒たちがいっそう追いつめられていく様子は、読んでいてどうしようもなく辛く、やりき

          【2023年】私の推し本(古森科子)

          【2023年】私の推し本(倉田真木)

          今年、私が読んで目から鱗が落ちた本や、誰かと感想を語り合いたくなった本たちです。どの本とも出会えてよかった~。 藤吉豊/小川真理子『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた』(日経BP、 2021年) 小出祥子編『オタク用語辞典大限界』(三省堂、2023年) 遠田和子『フローチャートでわかる英語の冠詞』(研究社、2022年) 小林健治著/辛淑玉企画『最新 差別語不快語』(にんげん出版、2016年) 江尻俊章『ずるい検索』(クロスメディア・パブリッシング

          【2023年】私の推し本(倉田真木)

          『昨夜の記憶がありません アルコール依存症だった、わたしの再起の物語』

          その昔、残業から帰宅して深夜にワインを飲み、中森明菜の「駅」をYouTubeで見ながら泣く(まりやじゃダメなんです、明菜なんです)→そうしてTwitter(当時)にポエムなことを書き散らし、翌朝恥ずかしくて死にたくなる、までがセットの儀式でした。 このほど発売された拙訳書『昨夜の記憶がありません アルコール依存症だった、わたしの再起の物語』は、アメリカ人女性ライターのサラ・ヘポラが飲みすぎて何度もブラックアウトしてきた失敗談と、断酒を決意してからの奮闘をユーモアたっぷりに綴

          『昨夜の記憶がありません アルコール依存症だった、わたしの再起の物語』

          クリーピーパスタ2はこんな本!第17夜SLUMBER PARTY (仮題:スランバー・パーティー)

          第17夜 SLUMBER PARTY (仮題:スランバー・パーティー) 作者:Ashley Franz Holzmann 〈ストーリー〉 僕、ダン、トーマス、ランディは仲の良いグループで、ダンの13歳の誕生日を祝って、トーマスの家の地下室でスランバー・パーティーをすることにした。トーマスの父はアルコール依存症で、その日も家を空けて近所のバーで飲んだくれていたので、トーマスの家で大騒ぎをするには好都合だった。 地下室でゲームを楽しんだあと、みんなで1階のキッチンに行くと、裏庭

          クリーピーパスタ2はこんな本!第17夜SLUMBER PARTY (仮題:スランバー・パーティー)

          クリーピーパスタ2はこんな本!第16夜THE STRANGEST CASE OF DR. HENRY MONTAGUE (仮題:ヘンリー・モンタギュー博士の一番奇妙な事件)

          第16夜 THE STRANGEST CASE OF DR. HENRY MONTAGUE (仮題:ヘンリー・モンタギュー博士の一番奇妙な事件) 作者:The Right Hand of Doom 〈ストーリー〉 モンタギュー博士は、大きな実験装置を研究所に残したまま逃げ出そうとしていた。長い年月をかけて完成したその実験装置は、本来は天空をのぞき、宇宙を占うためのものだったが、予期せぬ結果を引き起こした。2.5メートル四方の装置の中央に開いた「門」の向こうに見えるのは、本来の

          クリーピーパスタ2はこんな本!第16夜THE STRANGEST CASE OF DR. HENRY MONTAGUE (仮題:ヘンリー・モンタギュー博士の一番奇妙な事件)

          クリーピーパスタ2はこんな本!第15夜I COULDN’T AFFORD A TATTO, SO I FOUND SOMEONE WHO WOULD DO IT FOR FREE (仮題:タトゥーを入れるお金がなかった僕が、タダで入れてくれる人を見つけた件)

          第15夜 I COULDN’T AFFORD A TATTO, SO I FOUND SOMEONE WHO WOULD DO IT FOR FREE (仮題:タトゥーを入れるお金がなかった僕が、タダで入れてくれる人を見つけた件) 作者:Leonard Petracci 〈ストーリー〉 僕は18歳になった記念にタトゥーを入れることにしたが、金がないため困っていた。そこへ、無料でタトゥーを入れてくれるという男が現れ、まだ開店準備中らしい怪しげな店で背中に渦巻きや線のような模様

          クリーピーパスタ2はこんな本!第15夜I COULDN’T AFFORD A TATTO, SO I FOUND SOMEONE WHO WOULD DO IT FOR FREE (仮題:タトゥーを入れるお金がなかった僕が、タダで入れてくれる人を見つけた件)

          クリーピーパスタ2はこんな本!第14夜I WAS INVITED TO A SLEEPOVER (仮題:お泊り会に呼ばれて)

          第14夜 I WAS INVITED TO A SLEEPOVER (仮題:お泊り会に呼ばれて) 作者:M.J.Orz 〈ストーリー〉 友達のジェレミーの家のパジャマパーティーに誘われた僕は、地下の遊び部屋で夜遅くまでみんなとゲームを楽しんだ後、眠りについた。夜中に大きな物音で目が覚めた僕は、暗闇の中でじっと息をひそめていた。すると物置部屋の扉が開き、また閉まった音がした。怖くなって大声でジェレミーの名を呼ぶと、他の子供たちも起き出し、ジェレミーの母親も起きてきた。母親は「

          クリーピーパスタ2はこんな本!第14夜I WAS INVITED TO A SLEEPOVER (仮題:お泊り会に呼ばれて)

          クリーピーパスタ2はこんな本!第13夜BATS IN WINTER (仮題:冬のコウモリ)

          第13夜 BATS IN WINTER (仮題:冬のコウモリ) 作者:Isaac Boissonneau 〈ストーリー〉 風が吹きすさぶ寒い夜、ジョン・アースキン巡査の机の上の電話が鳴った。 友人の巡査エリスからで、また事件が起き、ひどい有様だという。 街にはウィルス性の血液の病気が広まり、この病気にかかった子供たちが吸血鬼と化し、家族を惨殺する事件が相次いでいた。 アースキン巡査は事件現場となった一軒家に到着すると、エリス巡査とともに二階へ上がった。悪臭がきつくなる。部屋

          クリーピーパスタ2はこんな本!第13夜BATS IN WINTER (仮題:冬のコウモリ)

          クリーピーパスタ2はこんな本!第12夜TUNNEL 72F (仮題:トンネル72F)

          第12夜 TUNNEL 72F (仮題:トンネル72F) 作者:Michael Whitehouse 〈ストーリー〉 オランダのアムステルダム国立美術館の地下に迷路のように伸びる下水道トンネル。建物のメンテナンスチームの主任の男が、地下深く迷路のように続く通路を進み、「トンネル72F」と記されたトンネルの入り口に来た。そのトンネルには「何かがいる」という噂があり、チームのメンバーは誰一人近づこうとしない。仕方なく男が一人で入っていくと、奇妙なことにトンネルの奥に13歳くらい

          クリーピーパスタ2はこんな本!第12夜TUNNEL 72F (仮題:トンネル72F)

          クリーピーパスタ2はこんな本!第11夜IF ONLY THEY WERE CANNIBALS (仮題:ゾンビが人食いだったらいいのに)

          第11夜 IF ONLY THEY WERE CANNIBALS (仮題:ゾンビが人食いだったらいいのに) 作者:Jaime Townsend 〈ストーリー〉 ある街で、狂犬病ウィルスの突然変異により、人間がゾンビ化してしまった。通りにはゾンビがあふれているため、アパートの4階に猫と暮らす若い女性は、もう何週間も部屋から出られず、いよいよ食べ物も尽きてきた。軍も警察も機能しておらず、助けは来そうになかった。 雪が降った翌日、ふと窓の外を見ると、通りはあいかわらずゾンビだら

          クリーピーパスタ2はこんな本!第11夜IF ONLY THEY WERE CANNIBALS (仮題:ゾンビが人食いだったらいいのに)