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場末のディサービス(弓道) 

高校2年生になって 学校に行きたくない日が多くなった。
転校してきて すぐに受験 どこの高校かもわからず 先生に勧められる
まま 家の近くの高校を受験 合格し通学することになるが
高校は鹿児島市内にあり、バスで山から降りなければならず、
毎朝 満員のバスに揺られ 高校に着いた頃は 乗り物酔いで気分は最悪

ほとんど友達もいないまま高校生活に馴染めなくて
通学はしていたけど 存在感はなかった。

2年になって ますます馴染めなくて 授業には出てたけど 放課後は
図書室にほとんど毎日いた。図書室の本を ほとんど読み尽くすぐらい
ずっと図書室にこもっていた。

ある日
司書の先生が 「純ちゃん 手伝ってくれない?」と声をかけてくれた。
近いうちに 弓の試合があるけど 人数が足りないから女子部の応援に
入って欲しいと言われ 弓なんてしたことないし  できないと言ったら
いるだけでいいと言われ 参加することになった。
先生が いるだけでいい って言ってくれて 嬉しかった

司書の先生は 毎日図書室にいる私を心配して声をかけてくれたのかも
しれない 翌日から図書室通いはやめて 弓道場に通う
全く何も知らない私を先生は優しく教えてくれた

弓を持たされ 矢をつけて 巻き藁をいる 最初矢があらぬ方向に飛んで
行き 驚いたが 毎日練習するうちに 格好がついてきた。

弓道場は中に入ると ピンと張り詰めたものがあった。
弓で矢を射るという身体技術の修練礼を重んじ、稽古を通じて人格向上を
目指すとgoogleに出ている。

弓道って 的に当てることも大事だけど 礼に始まり礼に終わると
言われている
矢を放つまでの緊張感が好きだった。前の人より先に矢を放ったらいけない
前の人が矢を放つまで ギリギリまで弓を引く
無になって 的だけを見ている 
的に当たるとパン!と音がする。 外れると土に当たるので サクって音がする

はるか遠くに的が見える
試合になると 大勢の人が外で見ているが 弓をひきしぼっている時は
的以外目に入らない 音も聞こえない

私はお手伝い部員だったけど 弓道は好きだった
そのまま弓道部に入ろうかとも思ったが やめた
やっぱり 図書室に戻ってしまった 図書室で勉強をしたことは一度もなく
ただ図書室の本を読んでいた

高校時代の記憶は図書室と弓道

不思議なことに 3年になって また弓道部の応援を頼まれ
弓を引く

平常心を保って 弓を引く

応援部員の私が 弓道についてあれこれ言うのは 非常に恥ずかしいが

弓道が好き 弓道場が好き


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