すーちゃんが来所されると　歓声が上がった
「　すーちゃん　綺麗ねえ　赤いマニキュア　綺麗！」みんながすーちゃんを
取り囲んで　真っ赤なすーちゃんの爪を見ていた。
すーちゃんは当時85歳　手は皺くちゃ　でも真っ赤な爪は綺麗で素敵だった

幾つになっても女

そういえば母も妹にマニキュアをしてもらって　嬉しそうだった

私は仕事柄　爪を伸ばした事がない
保育園時代はもちろん　場末のディサービスでは　時には入浴介助、またある日は
厨房スタッフになったりしたので　爪は短くしていた。

他の女性の利用者さん達も　きっとマニュキュアをしてみたいと思っているだろうな・・
と思っていると　すーちゃんのケアマネからクレームがあったとのこと

看護師からケアマネになられた方で
爪の色でその人の健康状態を見ているのに　真っ赤なんか塗られたら　健康状態がわからないじゃない　と言われ　塗ったヘルパーさんはしこたま叱られたらしい
確かに爪の色で健康状態を見るだろうが
すーちゃんの健康状態は安定しており　場末のディサービスの看護師が　週３回しっかり
バイタルを測っているし　酸素濃度も98%もある　肺に雑音もないと看護師から
報告があった　　なのに　　１日でおとしてしまった。
あんなに喜んでいるのに・・・・
すーちゃんは真っ赤な爪を見て　一日ニコニコしていた。
すーちゃんのケアマネにクレームまでとは言わないけど　言おうかなと思ったけど

やめた　　だってそのケアマネ　めちゃくちゃややこしい人だったから

そのケアマネ　仕事もできるし　介護保険もよく知ってる
私は保育園から　場末のディサービスに来て　まごつくばかりで　
わからない事だらけ

そのケアマネさんの事を尊敬していた　いつか私も利用者さんの役に立ちたい
彼女のように　しっかり仕事をしたいと思っていた。

でも別の利用者さんの事で「あなたの言ってる事が　わからない」と言われた
その言葉に　すごい衝撃を受けた私は　鬱になり　二ヶ月休職をした。

なんだか自分の生き方を否定されたような気になった
彼女の言葉で一度死んだ私の心は　息子の「助けてほしい」の言葉で復職した

復職した私は　その後18年　頑張った。

どうしたら　利用者さんのためにいいかな？一番いい道を選ぼうと思って過ごした。

赤いマニュキュア　１日じゃなくて　もっと塗ってあげればよかったと思う。