見出し画像

Day19.着付け技能検定体験談

先日の記事で技能検定2級合格した話を書きましたが、
今後検定を受ける人のために覚書を共有しておこうと思います。

自分がいざ受けるとなると、1級の情報はあるのですが、あまり2級の情報はなかったのですよね。

前回の記事↓


●準備


まず必要なものの準備から。

検定会場では持ち物チェックがあるのですが、
袋帯の界切り線を隠して使いなさい、など注意されている受験者の方もいたのでブツの準備は重要だなと思いました。

・着物の身丈と素材、柄

指定されているトルソーのサイズと母の身長が概ね合いそうだったので、母の訪問着の中から下前まで柄がつながっているものを用意しました。

ところが、当初選んだ訪問着は地紋がなく、つるりとした素材ですべりやすく、途中で地紋があるものに変更しました。

‥変更したのですが、こちらはこちらで身丈の問題が出てきました。
落ち感が少なく、着付けはしやすかったのですが規定の長さのおはしょりを作ろうと思うと、裾が短くなってしまうのです。
結局、もとの訪問着に戻して本番は挑むことになりました。

また、同期の練習を見ていて感じたのは身幅。
身幅が大きすぎると脇のタックを取る量が多くなるので、シワ取りやきれいに折りたたむ作業の手数が増えて大変そうでした。

その他で言えば、準備した訪問着が二尺袖で、長襦袢の振りの長さと合わずお直しに出している同期もいました。
購入の際は振りの長さも要チェックです。

着物を選ぶポイント▷
・身丈が十分ある着物を選ぶ
・可能ならツルツルより素材感のある着物を選ぶ
・身幅は大きすぎないものがオススメ
・柄は規定にあったものを(下前まで柄が繋がっていると安心) 
・振りの長さも確認しておく

当日使ったもの

・長襦袢

こちらも身丈と身幅はトルソーにあったものを。
わたしは長襦袢のタイムがなかなか入らなくて苦労したのですが、途中で裾上げをやめました。
裾上げしなくても大丈夫なサイズだったのは幸いでした。

裾上げしたほうがキレイに仕上がるという方は、良いと思いますが、タイムに入らなくてキツい‥!
という方はご検討ください。

長襦袢のシワは後々の仕上りに響いてくるので、意外と長襦袢選びは大切です。

また、当初は購入した状態のままで使っていましたが、規定の衿のサイズに合わせるために半衿は縫いなおしました。

・肌着

紐付きは使えません。当日紐がついている肌着は使えないと注意されていた方は、紐をハサミで切って使用したそうです。
規定に合わない道具で挑んでも失格になるので、要項はしっかり目を通しておく必要があります。

・伊達衿

幅広で半分に折って使うタイプと、もとから半分に縫われているものとありますが、
実際に使ってみて、もとから縫われているもののほうが使いやすそうに思いました。

わたしは折って使うタイプで受験しましたが、
自分の思う通りの幅に折ったばなのにだんだん開いてきてキレちらかしてました。

・伊達締め

博多織で紐がついているタイプを今回は使用しました。
紐がないタイプやシャーリングタイプもありますが、今回始めて紐付きを使ってみて、仕上りや生地を抑えてくれる安心感を考えるとこれが使いやすかったです。
途中、紐の端がほつれてきて友人はほつれ止めで補修していました。
ほつれてくる前にほつれ止め塗っとくのがいいかも。

練習しまくってるととにかく道具が傷むので耐久性も重要です。

伊達締め 伊達巻 紐付 日本製 献上柄 白とピンク 0821


・袋帯

めっちゃ擦り切れるので、練習用のリーズナブルな帯を入手するのがオススメ。
母が帯も貸してくれると言ってくれたのですが、練習、本番で使った帯はタレが擦り切れてパッカリあいてしまいました。

練習で酷使したのと、扱いの話もあるとは思いますが思い入れのある帯はオススメしません。

準備の際、長さは注意していましたが、お太鼓の柄の位置までは考えていなく、用意した帯のお太鼓柄のところはお太鼓の位置にきませんでした。
お太鼓柄が出るかどうかは評価の対象ではないので、このまま突き進みましたが当初のコーディネートイメージとは違う仕上りになったので、そこも準備段階でチェックしておいたほうが良いと思いました。

コーディネートも判定基準にあるようなので。

わたしの場合はお太鼓じゃない部分の色味が出ても、全体的にしっちゃかめちっちゃか、って感じではなかったのでそのままにしました(めちゃくちゃ地味になったけど)。

また、冒頭で話した界切り線は注意して見ておきたいところです。
検定当日に内側に織り込んで使いなさい、って言われたら整えたコンディションも乱れるよね。

わたしはいつもお世話になっているshineiさんで入手したものを使いました。


・帯締め

お太鼓をキープするための重要な役割を担う帯締めちゃん。見た目はさして違いはなさそうに見えるのに、締り具合はものによって全然違います。
すぐにつるつるすべって抑えたはずの膨らみが戻ってきちゃう、みたいなことにならないように
締まり具合は十分チェックご準備ください。

同期は自分の帯締めがとにかく滑ってくるというので、別の同期の帯締めを借りて検定に臨んでいました。

・衣裳敷

2回買い直しました。
私から言えるのは、規定に収まるいちばんでかいやつを買え!
以上になります。

セッティングした道具、トルソー、自分
が衣裳敷の上で作業するとなると、
大きければ大きいほうがいいです。

衣裳敷紙 大サイズ 倍判 約195cm×約180cm ケースなし 糸入り 着付け 着物

検定当日は線で自分のスペースが規定されているのですが、スペースの半分くらいのサイズの衣裳敷を用意されていた方は、衣裳敷の外に座っていました。
(座って待機するよう言われる)
お客様の大事なお着物を触るのに、地面に座った衣服で近づかれたら嫌ですよね。
実際、試験管に注意されていました。

当日わたわたしないためにも、大きいサイズをご準備ください。

・風呂敷

規定のサイズに折りたたんで道具をその上にセッティングするように言われます。
わたしは当初は毎回指でサイズを測って長方形に折りたたんでいたのですが、転換の際に崩れるし移動させにくいというのもあり、新しい風呂敷を買って、規定のサイズに縫い合わせて行きました。

風呂敷+70cm角+ポリ製


・靴

検定会場では脱ぐように言われるので着脱しやすい靴がおすすめです。わたしはストラップシューズだったのでやや手間取りました。
試験管に注目されるのはなるべく避けたいところです。

・服装

白シャツ、黒パンツの方が多かったです。
服装に規定はないですが、悪目立ちするのでこのスタイルが無難。

●練習


技能検定の流れに合わせて練習するのを推奨します。
セッティング→肌着着付け→転換→長襦袢→着物帯着付け

それぞれ時間が規定されているのでタイマーをセットして時間を図りながら練習します。
着付け中は残り時間がわからないので、残り時間をコールしてくれるアプリを使って練習しました。

試験1週間前からは、実際の当日のスケジュールをイメージしながら練習していました。
午後からの試験だったので、午前中練習して、これくらいの時間に間に合うように荷造り、のような感じです。
起きる時間も当日と同じように。
イメトレはだいじ。

あと2級はトルソーを持っていかないといけないので荷造りの練習もしておいて良かったと思います。

また、いちばん時間がかかったのが補正。
着付けの仕上りをみつつ、変更したりするのですが、補正をとにかく早く確定させて着付けの練習に集中したいところです。
補正にコットンを使っていましたが、割く手間を省略したくて直前に手のひらサイズの既にカットされたコットンを導入しました。

●当日

・やったこと

前日までに伊達衿や半衿は綴じ直しておきました。

練習通りの時間に起きてストレッチ&練習し、ざざっとアイロンがけなどして着物や長襦袢のシワも取っていきました。

トルソーの運搬で試験前に結構へとへとになるので、時間には余裕を持って到着し体力を回復しておくのがおすすめです。

・トラブルなど

また、試験ではトラブルも起こるので、
なにかは起こる、という前提でぶれないメンタルを鍛えておくのが重要だなと思いました。

試験ではありがちなトラブル、いろいろやりました。
・ガーゼをいつもと違うところで切る
 何にも使えない半端サイズを生み出してしまった‥
・巻いてる途中にガーゼを落とす

同期は
・帯板を落とす
・帯板を拾おうとして衣裳敷からはみ出す

など。
1級モデルさんでは審査中に気分が悪くなる方もいたようですね。

なにかしらやらかす、とはじめから思っていればそこまで動揺しません。

練習中にちょいちょいやったのは
・帯揚げのかけ忘れ
・おはしょりひもの取り忘れ
・ピンチ取り忘れ
・長襦袢の振りが着物から出てる
・伊達締め、帯板落とす
・帯板入れ忘れ
・三角上げ落ちてる

道具関係のトラブルでいうと
・トルソーの肩の高さが左右違う
・着物や長襦袢の脇が裂ける
・伊達締めの紐がほつれてくる
・帯が擦り切れる
・衣裳敷が破れる

などなど。

自分がやりがちなミスも意識しておいて
やっちゃったらどうリカバリするか。
想定しておくといいですね。

帯板入れ忘れはまじで絶望する。

●おわりに

仕上りは納得いってないし、トラブルもありました。

それでもなんとか合格できたのは、なだめつすかしつ、時には厳しく指導してくださった講習の先生と、励ましてくれた同期のおかげです。

たぶんひとりだったらめげてたと思う。
ひとの着付けを見るのも大変勉強になりました。

辛かった講習の日々ですが、あのときの私がんばったなぁって、心から褒めてあげる事ができます。

通常の着付けはその人の体格や雰囲気に合うようにお着付けしますが、検定では衿の幅から、裾の長さから、様々な規定があります。
実務での着付けとはまた違う、お手本になるような着付け。
戸惑うことも多かったですが、学びもたくさんありました。
自分の着付けも変わりました。

この記事を見てくださっている、技能検定にチャレンジしたい方、チャレンジ中の方の励みになったら嬉しいです。

がんばって!

わたしもがんばる!








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?