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三河宇宙造船所 宇宙への軌跡 第11回「師走の巨人」

1964年11月8日 日曜 午後2時
ー 応接室 -
「おお、上がりましたね」と株式会社伊能光学 実験装置営業部 藤見毅《フジミ ツヨシ》
「うーん、今回は液体燃料エンジンの実験依頼を行うとか言ってたな」と、宗弐郎。
応接室にはこの二名以外にマクソー・ブロック社営業、模型メーカー アオカワのデザイナー。六菱重工業、藤重工業の開発部門担当者が。
三河宇宙造船社長、宗弐郎肝入りの「次期固体燃料ブースター開発に向けて」の声を掛けられここに集まっていた。

「カシャッ」と音を立てスライドが表示される。
固体燃料ブースター、これまでの経緯を説明する三河宇宙造船開発部門の担当者。
RT-5 フリー 固体燃料ブースター
最大推進力:162.91KN
燃料量:140
https://wiki.kerbalspaceprogram.com/wiki/RT-5_%22Flea%22_Solid_Fuel_Booster/ja

RT-10 ハマー 固体燃料ブースター
最大推進力:197.90KN
燃料量:375
https://wiki.kerbalspaceprogram.com/wiki/RT-10_%22Hammer%22_Solid_Fuel_Booster/ja

↓ そしてこの度、開発から実生産に至る

BACC サンパー 固体燃料ブースター
最大推進力:250.00KN
燃料量:820
https://wiki.kerbalspaceprogram.com/wiki/BACC_%22Thumper%22_Solid_Fuel_Booster/ja

「更に今後の開発中の計画は此方になります」 要求仕様をスライドで表示させる。

XXX ブルーパー 固体燃料ブースター
最大推進力:500.00KN over
燃料量:22000 over
「以上を予定しております」 そう言うとスライドを送る有線式ボタンを押し、最後の一枚、会社名のロゴが表示され、固体燃料ブースター説明会を終え、落していた照明を点灯。カーテンを開け、薄暗かった応接室に陽の光を戻す。
「まずは、一歩ずつ。BACC ええっと、サンパーか。これを実装し打ち上げを年末に予定しております。既に生産は最終段階に。十一末には我が社に届き、十二月頭には組み付け実装。打ち上げ実験を予定しております。ええっと予定は?」
「12月1日《イッピ》を」と担当者。
「だそうです」と宗弐郎。
「予定日変更の際は判明次第担当者から各社に連絡が入ると思います。その際は・・・。まあ、予定は未定です」と言い、応接室には宗弐郎のわずかばかりな照れとサービス精神への反応。微小が。

1964年11月28日 火曜 午後2時22分
アメリカ ケープカナベラル空軍基地 マリナー4号打ち上げ成功
「向こうは火星か」と宗弐郎は打ち上げ成功を知らせる翌日の新聞を読みながら呟いた。此方は宇宙に到達するのがやっと。向こうは無人機ながら宇宙には既に到達。更に火星へ向けて探査機を飛ばしていた。
■マリナー4号
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%8A%E3%83%BC4%E5%8F%B7

1964年12月4日 金曜 午前11時
ー ロケット棟 -
やや日程は遅れることとなったが、1964年以内に新たな固体燃料ブースターの打ち上げ実験に無事こぎつけた。ハンガー内にて関係者へのお披露目式が執り行われる。実打ち上げは週開けて月曜へ。

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写真:RT-10 ハマー あの暴れるハマーも大人しくなったものです。何度もお世話になりました。

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写真:BACC サンパー RT-10を三つ繋げてもこっちの方が長い。昔は小さかった弟がバスケットボール部に入部。牛乳と煮干しを毎日摂取し過ぎた結果、兄を抜いた。そんな大きさです。

上記、写真キャプション文面に似た宗弐郎の説明を受け、各社のお客さんは「なるほど」と、自分の息子にも牛乳と煮干しを多く与えようと感銘を受ける。
「では、週明けまでごゆっくりお過ごしください」 渥美半島。風光明媚なこの土地にホテルを用意し、各社関係者へのサービス精神をも忘れない。
ただし、渥美半島の冬は風がびゅーびゅーです。

週を開けて、名古屋市の繁華街に遊びに行きやがった各社関係者が渥美半島に無事戻り、午後からの打ち上げに向けて三河5号ロケットの説明を受ける。通常実験機には"Σ《シグマ》"を機体名末に付けることが慣例だったが、この度はそれが無かった。
固体燃料ブースターに誇りを持つ社長、宗弐郎が液体燃料にうつつを抜かす従業員どもの慣例に習うのを嫌ったとも言われていたが、実際には俺がつけるのを忘れただけだった。
ー 市川

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写真:三河5号 牛乳+煮干し が成長の推進剤になり、そこに運動をスパークさせると・・・。見事に巨大化。ただし本や音楽、映画なども加味しておかないとでくの坊にもなるので、そっちも重要。

三河5号
1)BACC サンパー 固体燃料ブースター1基搭載
1)について
でかいよ。
以上。

1964年12月7日 月曜 午後1時30分
三河5号
https://www.youtube.com/watch?v=dw--K_xhiL4

次回予告『大きすぎて窮屈』

バイクを買うぞ!