若年性アルツハイマー型認知症の母と ギャンブル依存症の父を持った 私の生き方vol.5


第4章


若年性アルツハイマー型認知症を患った母。私が、母のことを好きなのはこれまでの内容で、どれほど伝えられただろうか。

自分の人生に、決して欠かすことができない存在の母。世の中の人は、母と自分の関係性をどれだけ重要視しているのだろうか。

そして、どれだけ切り離して考えることができているのだろうか。正直言って、私は全く切り離すことができない。

むしろ、影が見えなくなることくらいのレベルで恐れを感じるほどだ。この章では、衰えていく母に、どれだけ私が恐怖を覚えたか。

そして、そこからどう動いたかを伝えたいと思う。


父の借金や家族介護が原因で、仕事をやめて実家に帰ってきた私。母の症状は、着実に進行していることを目に見えて感じていた。

私は地元の工場に勤め始め、家のことをしながら日勤や家事で忙しい日々を送っていた。

昼間は母をデイサービスに頼んだり、ケアマネージャーの方が来て世話をしてくれたりしていたので、必死だったけれどどうにか回すことができていた。

でも、僕はケアマネに当時から相談していたことがある。

それは「今はお風呂とかトイレが一人でできているから大丈夫。ただ、それが難しくなった時には、デイサービスじゃなくて施設に預けたい」と話していたことだ。

その頃、母は要介護2だった。忙しい生活や、どんどん悪化していく母の様子を直視しないようにできることといえば、まだ先のことは考えないで過ごしていていた。


だが、問題というのは確実に近づいてくるものなのだ。

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