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旅のラジオを聴きながら⑨

3月10日

 今日はあまり深く寝れなかった。これまでかなりの歩数を稼いでいて、気絶するように寝ていたが、慣れてきたのと昨日のsportamtの話で目が冴えてしまったために、夜になってもそこまで眠くならなかったからだろうと思う。

 今日は朝ごはんも作らなかった。昨日買ったポットでお湯を沸かしてコーヒーを飲み、昨日のうちに買ってあったパンを食べてゆっくり準備をした。

 学校は相変わらず楽しい。そして、耳が鍛えられてきたと感じることが増えた。今日で語学授業の半分も終わったらしい。あとは来週1週間だけだ。気づけばあっという間にドイツ滞在も折り返しにきてただただびっくりしている。早い気がしているが、それもこの生活に慣れ、頭の中の余裕が生まれているから考えられていることだと実感する。本当にこの滞在の日々は時間が早くすぎる。その分、たくさんのことを吸収しているし、それを自分の成長に繋げられたらと思う。

 さて、今日は少し遠出だ。ドルトムントという街へ行く。1時間半の道のりを電車で移動する。ドイツらしいと言える建物や植物。周りの人が話すドイツ語の音。電車に乗る前に食べたパンの塩気。今に集中すると、いろんなことが喚起される。外は肌寒いだろうな、とかあの家は暖かいだろうか、とか思って今の自分を俯瞰して今を体感している。異国の醍醐味はそうしたことを感じられる過程にある気がやはりする。

 ドルトムント中央駅についてから少し電車に揺られて、今日の訪問先に着いた。教育関連の話を聞き、こちらもまた日本との違いに驚いた。また、お菓子やコーヒーでおもてなしをしてくれ、終始和みながら話を聞くことができた。明日以降になると残りのパンは廃棄とのことなので皆で分け、明日以降の食事にすることに。雨が降る中、気持ちが暖かくなった午後であった。

 ドルトムントからの帰りはかなり混んでいた。帰宅ラッシュと重なり、立たなければならなくなった。しかし、今これを書いている目の前に座席5.6席分を使って置いてある自転車にはどうにかして、空けてくれないかと思う。しかし、自転車やスクーターなどをこうして持っていけるドイツの交通事情は素晴らしくもあり、こうしたデメリットとしての側面もあるなと感じ、まさしく文化の違いを体感した。ところがだ。そこまではポジティブな気持ちだった。しかし、とある駅に止まり、自転車の持ち主らしき人が来たら、我々を力づくで押しのけるではないか。加えて、ドアとは反対の方向を向いて止めてあるその自転車をなぜか前の車輪から出そうとして、道路を塞ぐように大回転するではないか。普通に後ろから引いて出れば簡単に出れるのに、aufsteigen!とばかり言って自転車を電車の中で振り回している。何がしたいんだと思いながら、みなその持ち主に半ば呆れていた様子だった。こんな出来事に出会えるだけでも、まぁ旅としては幸運な方なのかなと少し前向きに考え、デュッセルドルフへ帰った。(この時、立っている目の前で座っていたカップルは終始見つめあってはキスをしていたので、目のやり場に困り、ひたすら虚空を見つめていました。)

 家に着いたのは19時過ぎだった。下宿先は友人と2人同じところに泊まっているが、分担して洗濯と夕飯作りをすることに。自分は夕飯作りを担当したのだが、今日のトラブルはまだ終わらなかった。じゃがいもを切り、フライパンで炒めようとしたのだが、一向にフライパンが温まらない。どうしたのか。さらに換気扇まで付かないと来ている。これでは何も調理ができないではないか。色々と試行錯誤したが結局ダメだった。

 洗濯に行っている友人に謝り、食事を買ってきてもらうことになった。これでは一緒に行ったほうがマシだった。今日はこの滞在イチ、想像していないことがいい意味でも悪い意味でも起こる。その後、同居人の皆とブレーカー探しをしたりしたが、結果は変わらずであった。今日は本当に色々とnot workingな日であった。事がうまく運ばない日はこちらにきて意外にも初めて出会ったりする。これが洗礼か?などと考え、忘れることにした。明日は早くから外出だ。友人が帰ってきたら一緒にご飯を食べて明日に備えよう。そして、明日以降こそはworkingでwonderfulな日にしよう。

3月10日ドイツ時間21:30
何もできずに友人をただ待っている自室にて

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