見出し画像

人間の五感とその可能性

五感と言われるもののうち、残りは味覚と触覚(体感覚)になるが、味覚については、料理上手だった母のおかげで、複雑な味わいを子どもの頃から毎日体験させてもらうことができ、今となっては感謝している。取り立てて特別なことではないかもしれないが、外食した料理の中にどんな素材や調味料が入ってこの味を形成しているのかを、自宅に帰ってから再現することが得意なグループに、私は入るかもしれない。
触覚とは少し異なるが、もう一つ、興味深い思い出がある。それは女性に起こる月1回の生理現象についてだ。子どもの頃から運動が得意でさまざまな競技にチャレンジをしていた私にとって、自分自身の“月のモノ”と大切な競技会が重なることが苦痛だった。そこで子どもの私が編み出した方法は、月の初めにスケジュールを確認して、大会や行事がない期間に、その月のモノを済ませてしまおうという手法だった。
「今月は中旬に県大会があって、下旬に修学旅行が入っているから、生理は初旬に済ませておこう!」
そう自分で決めれば、前回のサイクルとは関係なく、月のモノはその期間に始まって終わった。子どもの私は、行事と月のモノが重なって体調が優れない同級生を横目に、
「どうしてわざわざ当てるんだろう? 避ければ良いのに。それとも、口では当たっちゃったと残念そうに言うのとは裏腹に、本心では、体調万全でその日を迎えたくないという逃げの姿勢があるのかな?」と密かに思っていた。そして、保健室の先生をしていたうちの母に、こう訊ねたことがあった。
「お母さん、行事と生理が重なりそうな時って、どうしているの?」
すると母は、若い頃はどうしてもと言う時は薬に頼って時期をずらしていたと言っていた。ふうん。この件はそれ以上踏み込んではいけない気がして、その時の私はそのまま放置をすることにした。
高校に進学し、私は県立女子高に入学した。その手の話しが教室でも比較的大っぴらにできる環境になって、もう一度疑問だったこの件を、ある日友人達に持ち出した。そこで、高校生の私は、誰もが生理期間を自分で操れないということを、初めて知って衝撃を受けたのだった!
「えっ、自分で生理コントロールできないのっ??」
それを聞いた同級生も叫んだ。
「そんなことできないよっ、どうしてできるのーーっ?」
どうしてできるのか?それは私にも分からなかったが、やろうと思ってやったらできたのだ。多分やろうと思えば誰でもできる程度のことだと思っていた。そこで、手順(と言うほど大袈裟ではないが)を伝え、私の監督の元にトライをしてみたいと言う同級生が数人おり、チャレンジしたところ、全員が成功したのだった。
「ほらね」何も特別な能力ぢゃないのになあ、自分ができることに気がつくだけで良いのだと強く感じたのだった。
しかし、これには後日談がある。身体のサイクルを乱すことが、長い目で見た時に、健康的にはよろしくないの「かも」しれないと感じた。薬を使っていた母はその後子宮ガンになり、自分でコントロールを乱していた私は子宮筋腫と子宮内膜症を患ってしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?