トールキン 旅のはじまり 感想

意図してはいなかったが、ビルボ・バギンスの誕生日に現在上映中の「トールキン 旅のはじまり」を観賞した。

トールキンが中つ国の物語を書き始めるまでの半生が描かれており、いちトールキンのファンとしてはT.C.B.Sの仲間たちとの交流を映画として観ることが出来たことが非常に感慨深かった。

トールキンは第一次世界大戦でその友人たちを失い、残った者たちもまた心に傷を負った。
どうしてもこの別離を思う時、『指輪物語』で指輪を放棄したフロドが大いなる戦いの後、灰色港から旅立たざるを得なかったということに思いを馳せてしまう。

しかし、今回の映画を観て別離による悲哀の側面だけではなく、芸術、ひいては文学の可能性と意義についても考えた。

芸術がT.C.B.Sの面々の絆をより強めたように、大戦後のトールキンにとって創作は命を落とした友人たちへの弔い、もしくは死後の友人たちとの魂の交流の側面もあったのかも知れない。

トールキン亡き今も、中つ国の物語は次の世代へと読み継がれていく。

中つ国の物語を生んだ背景にトールキンの創造性を育んだ家族や友がいたことを、そして彼らが芸術や文学の持つ可能性を信じていたことを胸に刻みたい。

過去の下書きを今更公開してみます。

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