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周波数


夜なのもあるだろうか

新しいビルが立ったからだろうか


久しぶりに降りた駅は
驚くほど他人行儀だった


偶然の乗り換えミスに意味をもたせたい私は
見慣れた道をあてもなく歩く

ふと記憶の波に攫われそうになるのは
まだ私の一部がここにあるせいだ


東京は狭くて人も多いわりに
不思議なくらい知り合いに会わない


でもそれはきっと気づいていないだけで

もしくは気づかないようにしているだけで

実際はたくさんの知り合いと
すれ違っているんだと思う


人はその時の自分と共鳴するものを引き寄せ
選びとって認識しているとするなら

懐かしい人を街で目撃するとき

あるいは誰かに思い馳せるとき

それは偶然ではなくて

きっと何かしらの意味があるのだと思う


たとえ互いに気付いていなかったとしても



逃げ込んだ地下鉄で
美容院をサボった髪が煽られる

そしてここへ来るのはまだ早かったと分かった



生ぬるい風が心地悪かったから


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