歩きながらスマホを見て突進してくる人がいる。
誰しも一度は突進されたことがあると思うし、
自分自身がそうだという人も少なからずいると思う。

大きな事故につながりかねない行為だから、
絶対に控えるべきなのは間違いない。
事故が起きた場合、
その“スマホ見ながら猪突猛進くん”が100%悪い。

“スマホ見ながら猪突猛進くん”に
出くわした場合、私はすぐに避ける。
かなり手前から彼らに道を譲る。

事故に巻き込まれたくないし、
単純に当たったら痛いから。
彼らのためを思っての行動ではない。

最近では、その気配をはらむ人を
50m離れたあたりからでも察知できる
特殊能力を手に入れたほど彼らに敏感だ。

「あの人怪しいな」と思った人はだいたい数秒後にスマホを持って前を見ずに歩き出す。

そんな彼らのカウンター的人種として、
“スマホ見ながら突進人間に猪突猛進くん”も
出現する。
レアキャラだが都心部には頻出する。
歩いてスマホをながら見している人に、
避けることなく真っ向から突進していく
全くの新型タイプ。

私は問答無用に避ける旧型タイプなので、
「当たったら痛いのになんで避けないのか…？」と彼らの思考回路が全くわからない。

が、予想するに下記3パターンのどれか。

①悪しき迷惑行為を繰り返すこの手の人に
鉄槌を下したい！
②ちゃんと前を向いて歩いてる私が、
なぜ迷惑人間に道を譲らねばならんのだ！
③「あー毎日毎日なんかむしゃくしゃする」「お！鬱憤晴らすのにちょうどいい奴発見！
ぶつかったろ」

１〜３のどれかなぁ？とか考えている内に、
ドンッ！とぶつかる。
もう何度もこの姿を目にしてきた。

“スマホ見ながら猪突猛進くん”は
すぐさま謝ることがほとんどだが、
“スマホ見ながら突進人間に猪突猛進くん”は
舌打ちしたり、睨みつけてみたりする。

相手の出方を伺いつつ、ぶつかった後もさらに追い討ちをかける所作を見せることがほとんどだ。

悪いのはどちらか？

紛れもなく
“スマホ見ながら猪突猛進くん”は悪いのだが、
“スマホ見ながら突進人間に猪突猛進くん”は、邪悪だ。

最近駅の近くで、
この邪悪さの亜種？新種？に驚愕した。
これはスーパーレアキャラだと思う。SR。
以下、
スマホながら見猪突猛進くん＝A
スマホながら見突進人間に猪突猛進くん＝B
スマホながら見突進人間に猪突猛進の新種＝C
とする。（いい感じの呼称思い付かずただ長いので）

Cの挙動はこうだ。
駅から出てくるAを遠方で見つけては、
停止した状態でAの突進を待つ。
女性や華奢な男性にターゲットをしぼり、
20mほど前からゆっくり前方に陣取る。
Aがぶつかってしまうように。

そしてぶつかった後は舌打ち、
睨めつけるがセット。

私が目撃したCは髪型もさっぱりで、
綺麗なスーツを着ていたビジネスマン。
見なりは私と比べものにならないほど“ちゃんと”している。

悪いのはどちら？
紛れもなくAは悪い。

しかしCは明らかにAよりも邪悪で、
Bとはもう比べものにならないほど邪悪。

旧型の私（当たるの痛いから避けたいタイプ）にはもはやCの行動目的がわからない。
万が一Aが倒れて大変な事故に発展しても「道を歩いていた時に誤ってぶつかってしまった」という言い訳もきかない。

ただそこに立ち、ぶつかること。
申し訳ない気持ちを相手に抱かせること。
相手に痛みや怪我を負わせること。
のみが目的になっているのではないか？

こう書いているとB・Cがものすごく悪い人に見えてしまうが、A〜Cに共通することが明確に1点だけある。

余裕がないのだ。

家につくまでの街並みを眺めたり、
吹く風のあたたかさを感じる余裕がない。
よそ見をする人に広い道を譲る余裕がない。
人の過ちを赦す余裕がない。
全員心に余白がない。

元々、Aがめっちゃ悪いんだけど、みんなAっぽいところあると思う。だから私はまずAを赦したい。ていうか赦さないと生きづらい。

AまでいかないまでもAの亜種みたいな人はめちゃくちゃ多い。
私の右前方に牛丼チェーン店があり、
左すこし前方に中年男性が歩いていた。
お店が近くなってくると中年男性の足取りがすこし遅くなる。看板を眺めながら歩いている。

お店入ろうか迷っていると思えたが、
スピードを落とすだけで右にスライド移動してこない。
私も一瞬だけ歩く速さを緩めたが、
中年男性が曲がってこないのでそのままお店の前を通り過ぎようとした。

が、その瞬間お店に向かって歩き出し、
急に私の視界の前に飛び込んできてぶつかった。その瞬間「ちっ！」と舌打ちをされる。

「いやいや、どう考えてもおまえやろ悪いの」

「右にスライドする前に人来てないかちゃんと確認しろよ」

「絶対車でも無理な車線変更するタイプのアホやろなぁ」

「ていうか、俺はおまえが牛丼食べたい感出てることちょっと察してスピード緩めたったやんけ」

とイラっとする。
人の配慮に気付けず、こちらを威嚇までしてくる人にイラッとする。

しかし、私はそれら口にはしない。
そのままその場を去る。
なんなら「すみません」と謝っている。

私はそういう人に関わらず赦すくらいには、
ギリ余白を持ち合わせている。

きっとその男性は今日一日が良い日ではなかったんだろう。
もしくは単純に周囲に配慮ができない人間なのだろう。
こういう配慮に気づけない自分勝手な人間はもれなく仕事でも同じ挙動が現れるので、周囲の評価も低くなる。そして昇進もできない。給与も上がらない。余裕もなくなる。

色々想像しても答えは一つ。
「余裕ないんやなぁ」に行き着く。

余裕がない人が本当に増えた。

人を赦すことができない人が本当に増えた。

自分だって意図せず道を遮ってしまうことがある。自分だって急な着信があって歩きながらスマホを見ていることがある。
改札の入り口でチャージが足らずにモタつくことも、コンビニのレジで大きな荷物を出さなければならずモタつくこともある。

“そんな程度”のことでイライラしなくてはいけないのだろうか？

道は広いのだから景色を見ながら歩くことができる余裕のあるあなたが譲ればいい。

改札はいくつもあるのだから嫌な顔せず他の改札を使えばいい。

コンビニは自動レジを使えばいい。
なければ、正直それくらい待てばいい。
マジで待てばいいと思う。解決はいらない。


そんな数分を待てないほど、
あなたや私はホントに多忙を極めるのか？

少なくとも私はそこまで忙しくないし、
誰かに私の時間を奪われてしょうがないほど「売れてたり」「求められてたり」していない。そんな高尚で、貴重な人間ではない。

イライラして相手を急がせて節約できたとしても、私はいとも簡単にそれら無駄にするだろう。お風呂で鼻歌が1曲増えるくらい。YouTubeで見たくもないオススメ動画をひとつ見るくらい。無駄すぎる数分として消費すると思う。


こういうことでイライラする人たちは、
たいそう売れていて、求められていて、
自分の時間のどこを切り取っても無駄なく有益な人たちなんだろうか。


そんなはずがない。

もっと余白を持つために無駄なものを背負い込まないようにすればよい。

・仕事や学校で自分の実現したいと思っている事にまず集中
・それらを直接的・間接的に助けてくれる人達に感謝する

これだけで人生は案外忙しい。
それ以外のことは頭に入ってこない。
この2点を精一杯やって、少しおつりがくるくらいの過ごし方がよい。
余ったおつりで電車や道で出会った人たちに優しくするのはどうか？

あなたが今、見ず知らずの他人に最低限の優しさを与えられない状態なら、
おそらく自分のキャパを超えていると思う。
私も多忙になると余白を持てなくなる時があるから気をつけたい。

“スマホ見ながら猪突猛進くん”に意図的にぶつかっていくことで人生は好転しないし、キャパも増えない。そういう人には道を譲って、事故が起きそうな時に手を引っ張れるくらいの余裕を持って生きていきたい。

とか思いながら、今日も私は彼らを避けることに必死だ。

あと、“スマホを見ながら猪突猛進君の当たり待ちしてずっとそこにおる人”ってどう考えても時間も心の余白も無駄にしてるよね。

なんなら1番贅沢な時間の使いかた...？

逆に余裕ありまくりってこと...？

もしかして...そういう...国の仕事....？

公務員？