見出し画像

割引商品

お世話になっております。びっくりするほどピン芸人の小林ぼっちです。

毎月東京のとあるリーズナブルスポットを占拠しては開催されるトークライブ「感じるな、考えろ」。このライブに少しでもお客様が足を運んでくれるようにと、これまでに僕がこぼした戯れ言の中から1つを選び、“インテリジェンス集合体”ことnoteで紹介してまいろうと思います。

今回のテーマは「割引商品」。

僕のような自称芸人、世に言うザ・フリーターは、日々「胃袋の飢え」と「財布の飢え」を天秤にかけながら暮らしています。

そんなハングリーデイズをおくる僕にとって、スーパーでお惣菜を定価で買うということはまずありません。必ず夕刻や閉店前の時間帯を狙って入店し、割引シールの貼られたお惣菜を買い求めるのが常です。

虚しい、惨めだ……そんな感情がよぎることもありますが、たとえお昼時に買っても夜に食べるなら調理後の経過時間は同じ。つまり保管場所が自宅じゃなくて売り場だっただけのこと。本来なら場所代が取られてもおかしくないところを、むしろ値引きされて買えるのだと考えれば、むしろ定価で買うなんて行為は愚の骨頂です。

僕は考えている……そう自負していました。

しかし、慣習とは人から思考を奪う恐ろしい魔物です。僕はある時、半額シールの貼られたチキンカツを手に取り、カゴに入れながら、ふと自らの一連の行為を省みてあることに気づき、ゾッとし、硬直しました。

僕はいつのまにか、「安いから」買うという思考回路から、何を食べるか「選ぶ手間が省かれる」という脊髄反射によって割引商品を手に取っていたのです。

そう、別にチキンカツを食べたいと思って手に取ったわけではないのです。

天井の蛍光灯から発せられた光が半額シールに反射し、僕の水晶体に射し込んで屈折し、赤と黄色を認知すると、その電気信号は脳へは向かわず直接に腕を動かしていたのです。

いくら金銭的に余裕がなかろうと、社会的に日陰であろうと、自分が今晩何を食べるかすら考えることを放棄してしまっては、人間としてあまりにも貧しい。

コンビニのアルバイト店員が、販売時間の過ぎた廃棄行きのパンを機械的にカゴに放り込んでいくあの作業。僕の行動は、消費者という立場でありながら、まるで血が通っていないあの作業と同じことだったのです。

何にしたって、結果その日はチキンカツを選ぶわけですが、「安いから」「美味しいから」「明日勝ちたいから」チキンカツを選ぶのと、シールが貼られた商品を自動で取るのとでは中身がかなり違うと思うです。

この日から、僕は毎食「何故それを食べるのか」を確認してから選ぶことを心がけています。毎回「俺はこんな割り引かれた見切り品しか買えない」と自覚する辛さと戦いながら……


こんなスケールの小さい懺悔話も、たましいおおくす君とマザー・テラサワさんの3人で語り合えば、不思議と身のある談笑に早変わり!

その様子が知りたいあなたはぜひ、次回6/11(火)の「感じるな、考えろ」にお越しくださいませ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?