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【深い社会】18 ダ・ヴィンチから手帳を受け取った日本人

アニメといえば世界最高のアニメスタジオはどこでしょう。

ジブリ?ディズニー?

スティーブ・ジョブズがAppleを追い出されたあと、
ルーカスフィルムで採算が取れなかったコンピュータ部門を買い取ります。
彼はその会社に「ピクサー」と名付けました。

ピクサー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA

そう、トイ・ストーリーやモンスターズ・インクを生み出したCGアニメスタジオです。

そのCG技術もさることながら、その複雑でエモーショナルなストーリーは
まさしくアニメ界のイノベーションと言ってよいでしょう。

そんなピクサーのストーリー作りにはある秘密があるのを知ってますか。
さてさて、どんな秘密でしょう。

日本に住むある高校生2人が、一冊の本を読みました。

「神々の復活」メレジュコフスキー

レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯について、助手の目線で書かれた小説でした。
もう絶版になっていて、私は図書館の書庫にあったものを読んだのですが、かなり分厚い本でした。

その中で2人の心に深く刻まれたエピソードがありました。

「発見メモ」

以前紹介した、あの大量の手稿です。
ダヴィンチが何か思いつくたびに、メモを書いているエピソードを読み、2人は衝撃を受けます。

「ただ一つだけ大変鮮明になっていることがある。
それはダヴィンチの手帳のことである。
もっと正確に言えば実はその手帳の話がつなぎになって、こんな昔に読んだ本のことが今でも私の記憶の中に時々蘇ってくるのである。
作者のメレジュコフスキーがどの程度に史実に基づいてこの小説を書いたのか私は知らない。
しかしとにかく私はこの本をなかだちにしてレオナルド・ダ・ヴィンチから手帳をもらったのである。」

2人は京都大学に入り、登山部に入りました。
共に学び、共に語り合うそばにはいつも、発見メモがありました。
その使い方、工夫について仲間とともに試行錯誤しました。
いつしかその工夫は、様々なアイデアが生まれる基地のようなものになっていました。

2人の名は「梅棹忠雄」と「川喜田二郎」。

梅棹忠夫
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%85%E6%A3%B9%E5%BF%A0%E5%A4%AB

川喜田二郎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%96%9C%E7%94%B0%E4%BA%8C%E9%83%8E

2人をはじめとした京都大学の仲間で作り上げたノウハウは、いつしか他分野の人々にも注目されるようになります。

梅棹忠雄が書いたのが「知的生産の技術」

発見メモをつなげて論文に仕上げる方法を紹介しました。
「こざね法」と言います。

こざね法
https://www.hmd2015.com/blog/academic-skills-8

川喜田二郎が書いたのが「発想法」
メモを分類し、組み合わせることで未知の知識を発想する方法を紹介しました。
これが「K・J法」です。

KJ法
https://ja.wikipedia.org/wiki/KJ%E6%B3%95

2人の本は、一大センセーショナルとなり、日本中で知的生産ブームが起きます。
そのK・J法を教育に取り込んだのが向山洋一氏。
K・J法については小塚氏が提案してくれます。

さて、知的生産ブーム、日本国内で収まりませんでした。
世界各国の文化人、著名人が、様々な知的生産技術を紹介しだしたんです。

マインドマップのトニー・ブザン
5フォースのマイケル・ポーター
ポジショニングマップのアル・ライズ/ジャック・トラウト
SWOT分析のヘンリー・ミンツバーグ
ピラミッドストラクチャーのバーバラ・ミント
マンダラートの今泉浩晃

などなど。

特にボスコンやマッキンゼーなどのコンサルティングが、このような知的生産技術を集め、世界に広げました。
ちなみに、マッキンゼーはドラッカーの助言を受けて大きくなった会社。
「経営コンサルティング」という概念もドラッカーに考えてもらったそうです。

このような知的生産技術は、今では思考ツールとして重宝されていますが、
もともとのきっかけは、日本で生まれたものなんです。
世界で進化してそれを逆輸入したのが今の形なんですね。

さて、世界一のアニメスタジオと言っていい「ピクサー」。
彼らが使っている発想法も・・・

KJ法!

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