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【深い社会】6 アルがあると?錬金術を継承した人々

さらに、おすすめ漫画を紹介します。

「チ。―地球の運動について―」
https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784098607785

時代考証に難があるとの指摘はありますが、
キリスト教の(マンガ内ではC教)の行った異端弾圧の緊張感が伝わってきます。

キリスト教がローマ帝国の国教となった時、
様々な異端弾圧が起きました。
アレクサンドリアの図書館も破壊されました。
たくさんの学者たちも殺害されています。

その後、アレクサンドリアは、
台頭してきたイスラムによって支配されることになります。
さらに弾圧されるかと思いきや、
初期のイスラムは、政治体制こそ支配しつつも、
多民族・多宗教を受け入れる寛容さがあったようです。
アレクサンドリアに残っていた学問的土壌を継承し、
のびやかに錬金術を発展させていきました。

当時生まれたアラビア由来のものを列挙してみましょう。

アルコール!
アルカリ!
なによりアルケミー!(錬金術)

あれれ、そう、「アル(al)」は、アラビア語で定冠詞を表します。
英語で言うと「THE」に該当します。

だから、アルと「基地」で「アル・カイダ(テロ組織)」
アルと「半島」で「アル・ジャジーラ(テレビ局)」

のように使われます。

ふむふむ。
アルコール(アル+殺菌剤)・アルカリ(アル+灰)
から、分かるように錬金術(アルケミー)から
「化学(ケミストリー)」が誕生した流れがわかりますね。

他にも、錬金術からは、
「アル・ジェブラ(代数)」
「アル・ゴリズム(算法)」
のように、「数学」が発展し、

「アル・マナック(暦)」
「アル・タイル(鷲座の一等星)」
「アル・デバラン(牡牛座の一等星)」
のように、天文学が発展しました。

このように、アレクサンドリア図書館が集めた錬金術は、
イスラムによって世界を変えていく学問として発展していったのです。

さて、イスラムと錬金術、はるか遠い日本にも届いていますよ。
奈良東大寺の大仏、もともとは金めっきが張られていました。
このときの金めっき技術がアマルガム法。錬金術です。
遣唐使と一緒に回教徒が日本に訪れた記録もあるようです。

さて、イスラムが文化を発展させていく中、
ヨーロッパはどうだったか。

むぐぐ、キリスト教により異端弾圧され、
自由が利かない・・・

イスラム・・・
うらやましい。

と、
こっそり、アラビア語から様々な知見を学び取る人々、
そして埋もれたギリシャ・ローマ時代の知見を発掘する人々が現れます。

その時代こそが「チ。―地球の運動について―」の時代。

そして、あの時代がやってきます。

文芸復興!

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