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忍者とゴルゴと猫目時計

いつか、猫の目の写真集など作りたいと思う。先日、飼い猫のミミを撫でながら考えた。

ネコは魅力的な点が沢山あるが、瞳も魅力の一つだ。
ボードレールの詩集「パリの憂鬱」にネコの目時計の描写がある。こんな詩だ。

L’HORLOGE 

Les Chinois voient l’heure dans l’œil des chats.
 Un jour un missionnaire, se promenant dans la banlieue de Nankin, s’aperçut qu’il avait oublié sa montre, et demanda à un petit garçon quelle heure il était.
 Le gamin du céleste Empire hésita d’abord ; puis, se ravisant, il répondit : « Je vais vous le dire ». Peu d’instants après, il reparut, tenant dans ses bras un fort gros chat, et le regardant, comme on dit, dans le blanc des yeux, il affirma sans hésiter : « Il n’est pas encore tout à fait midi. » Ce qui était vrai.

訳 ChatGPT 

時計

中国人は猫の目で時間を知る。 ある日、南京の郊外を散歩していた宣教師は時計を忘れてしまったことに気づき、小さな男の子に今何時か尋ねた。 天の帝国の少年は最初は躊躇したが、思い直して「教えてあげます」と答えた。少しの間、彼は姿を消し、しばらくして、彼の腕には大きな猫を抱えて戻ってきた。猫の目をじっと見つめて、彼は確信を持って言った:「まだちょうど正午ではない。」それは真実であった。

ここから美しい詩が続いていくのだが、ネコの目で時間を知るというのは面白い。瞳孔の開き具合が、時間と関係あるという考え方だ

私は、この事を鶴ヶ谷真一氏の「猫の目で時間を読む」という本で、知った。鶴ヶ谷真一氏の前作「書を読んで羊を失う」も素晴らしいエッセイだった。

「六つ丸く 五七は卵 四つ八つ柿の実にて 九つは針」こんな歌を聞いた事は無いだろうか。ネコの瞳孔の開き具合を表しているという。一説によれば、忍者も🥷それで時間を認識したという。ニンニン。

実際は、光量によるものなので、ネコが影にいたら役立たないようだが……。

かのさいとうたかお氏のゴルゴ13の第47巻「メスリーヌの猫」にもネコの目で時間を知るエピソードがあるので、興味がある方は一読して欲しい。

猫に秘められた神秘は、多くの文化や文学作品で取り上げられている。この神秘的な方法で時間を判断することは、現代の我々にとっては考えられないことかもしれないが、それがかえって猫の魅力を引き立てていると言える。

私の友人もある日、彼の家の庭で遊んでいる猫をじっと見つめていた。彼は猫の目を通して夕暮れの時間を感じ取ったと言っていた。真実かどうかは分からないが、彼の言葉には確かな自信があった。

「猫の目は、自然という点において、時計よりも正確だと思うんだ。」彼はそう言って、微笑んでいた。彼の言葉を聞きながら、私も猫の目に時を読む古の人々の気持ちを少し理解できた気がした。

猫の瞳は、夜の闇や昼の明るさ、そして時間の流れを静かに映し出している。私たちが普段気づかないような微細な変化を、その美しい瞳は敏感に捉えているのかもしれない。猫の目に映る時間は、我々が日常生活で見逃してしまう大切なものを、再び私たちに気づかせてくれる。

そう、猫の目はただの時計ではない。それは、時間を超えた物語、人々の想いや歴史を静かに語る魔法の鏡なのだ。

彼の話を聞いて、私も実験してみることにした。気分は服部半蔵、もしくデューク東郷だ。ニンニン。

翌日、後ろに忍びよるミミに向かって呟いた。
「俺の後ろに立つな」と。

愛猫「ミミ」をソファに座らせ、真剣な眼差しで猫の瞳を凝視した。そんな私を不思議そうに見るミミの目には、確かに何かメッセージが隠されているように感じた。

「ミミ、今何時?」私が問いかけると、ミミは大きなあくびをして私を見た。その瞳孔の大きさから、午後3時…いや、3時半?と、感じ取ろうとした瞬間、ミミは私の足元でまるくなって寝てしまった。

「やっぱり猫の目時計は難しいな」と思ったが、その後すぐに携帯のアラームが鳴った。アラームを確認すると、正確に午後3時半だった。驚いた私は、ミミに感謝の気持ちを込めておやつのチュールをあげることにした。

まあ、猫の目で時間を読むのは難しいかもしれないが、彼らの心を読むのはもっと難しいかもしれない。でも、それが猫の魅力の一つなのかもしれない。

いつか、猫の目の写真集を作りたいと思う。売れるかどうかは分からないけれど。そんな事を思いながら、チュールをミミにあげた。

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