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国語の教科書をバカにしてはいけない【会議のやり方】

小学生の子供たちが毎日音読の宿題をしてくれるのが好きである。

子供たちの声がまず可愛くて癒しになるし、自分がこどものころの文章がまだ載ってたりするので懐かしい思い出が蘇るようで楽しみでもある。

ちなみに音読カードには
よくできた:◎ 普通:○ もうちょっと:△
みたいな印を書いてあげる必要があるのだが、親の判断として△などをつけるとやる気失くすので、二重丸をつけるしか選択肢がないというなかなかの設計となっている。

実は小学校で習っていた会議の準備方法

国語の教科書には、実は「会議のやり方」が解説されている。
その内容は、当然子供にもわかるように噛み砕いて書いてあるのだが、大人でもできていないと、こどもの音読を聴いていて思った。

その内容は、まず司会進行役は会議(話し合い)の前に、「準備」をしてください、とある。この時点でできてない大人が多い。

実際に仕事の打ち合わせに出てみると「とりあえず打ち合わせしたいと思って」「とくに資料はないんですけど」という状況にしばしば出くわす。

教科書によれば、準備段階で参加者は「目的と議題に応じて、自分の考えをまとめておくこと」とされている。

出席するからには意味のある場にしなければならないが、あらかじめ考えを文章化しておくという準備が必要になる。よばれた会議だから、となんとなく参加するのではなく、議題は何で、目的が何であるのかは事前に準備するためにも確認しておこう。

もし議題と目的を確認した中で、自分が出席する意味がない、会議内で特に発言する必要性がないと感じたら、欠席すれば良い。いたずらに時間をゴミにすることはない。

議題や目的についても、確認の中で主催者が不明瞭なところがあった場合には質問を通じて解像度が上がることもよくある。

特に、よくわからないから相談したいことが目的にあったとしたら、こうした事前のやりとりで解決してしまうこともあるだろう。その場合は潔く流会としたほうが参加者の時間を奪わずに済む。

会議の進め方と決め方

準備の中で「進行計画」もつくろう、と教科書には書かれている。

進行計画の一例としてはこのように記されている。

①議題を確かめ合う(2分)
②意見を出し合う(8分)
③どうやって決めるかを考える(5分)
④どれにするかを考える(15分)
⑤まとめる(2分)

小4国語科「クラスみんなで決めるには」(光村図書)

気にした方が良いのは「設定時間」で、合計22分間。企業で行われる実際の会議は30〜60分、長いとそれ以上といった感じだろうか。

会議は「準備」がなかったためにそれぐらい長時間化してしまっているに過ぎず、多少複雑な会議であったとしても事前に「議題と目的」が決まっていて、各自がそれぞれの「落とし所」を考えとしてまとめてあれば、上記の一例に近い時間で済ませることも可能になる。

問題は、「③どうやって決めるかを考える(5分)」であり、主催者は出された意見、提案、選択肢を決定するための条件を場に提示しなければならない。

条件とは、予算、スケジュール、場所、人と設備のリソース、各案のメリットとデメリット、実現可能性など、優先度に従って提示し、「④どれにするかを考える(15分)」で結論を出す手法を明確にする。

日本人は「決められない人種」が多く、会議をすれば「全体責任になるから自分の責任はない」という考えの人がよく見受けられる。

「誰か決めてくれないかな」という消極的な考えを持つと、決定できる条件が揃ったとしても、最後のシュートが打てないという状態になることもある。

参加者はこの決定できる条件についてどんどん提言し、条件を満たしているのかを、明確に共有することが役割である。

学校とは異なり、会社組織は各種議題を決定しやすい構造をとっている。

みなが平等な学級教室とは真逆のピラミッド組織が一般的であるが、この組織構造においてはより上位の役割が決定する仕組みであるし、そうでなければ然るべき担当者が決定するべきである。

教科書を仕事に転用するには

社会人となってからの能力が発揮できないことに関して、しばしば義務教育の問題である、なんて言われることもあるが、このように仕事に応用するための技術が簡潔にまとまっている項目もある。

義務教育だから、という押しつけ感があって学ぶ姿勢にならなかった結果、多くの人の身に付かなかったのかもしれないとも思う。

子供の頃にこうするのだと習ったことを大人になってからできないというのは、なかなか恥ずかしい話だし、その人自身の問題であると乱暴にも言い切れない。

ただ、学校の先生はビジネスマンではないから、仕事でどう役立つかは必ずしも実例に転用して教えることはできない。

我が家は、この「音読」といういい宿題で何を学んでいるかを毎日聴くという機会を活用して、仕事の話に転用できることを伝えるようにしている。

「パパの会社でもこういう話し合いがあってね・・・」とか、「この登場人物の気持ちと同じように思ったことがあってね・・・」なんて言いながら。

子供たちには、大人になっても役立つ話があることを知ってほしいし、どんな話も現実とリンクさせることができるということに楽しさを感じてもらいたい。

大人になるとほとんど記憶から抜けてしまうと思うが、父と楽しく話した思い出をうっすらとでも刻んでもらえたらいいなと、音読宿題カードに丸をつけながら思うのである。

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