見出し画像

【コラム】特約店にはなるべく入るべし

 書店業界に詳しい方ならおそらくほとんどの方がご存知であると思われますが、新刊の配本などでさまざまな優遇が受けられる「特約店」という書店向けの制度があります。

 もっとも有名なものが電撃文庫レーベルさんの「電撃組」です。
 「特約店」として認められるにはさまざまな条件があるとされています。
 この条件について私もすべて知っているわけではないしまたここでお話するべきではないとは思いますが、要はどこの書店さんでも申請すれば参加できるというものではない、というところだけ押さえてくだされば問題ありません。


 私は最初所属していた書店さんでは文庫担当ではなかったものの「電撃組」には絶対に入るべきだと担当者さんや店長などに強く主張しました。

 電撃さんといえばライトノベルレーベル最大手であり、ここが売れるか売れないかでラノベコーナー全体の売り上げが大きく左右されると思っていたからです。


 結果としては1店舗めで特約店になることができたようで、配本数も目に見えて変わっていたのが担当でなくともひと目でわかりました。

 私が文庫担当になった2店舗めでも「電撃組」への加入を薦めたのですが、こればかりは当時勤めていた書店さんの立場だけではどうしようもなくおまけに閉店が決まっていたこともあり、無理だろうなと諦めていました。


 しかし、閉店が1ヶ月前になろうというところで、私は「電撃組」と記された書類がお店に届いていたことに気が付きます。

 店長さんが動いてくださっていたことに嬉しく思いました。

 またその月、KADOKAWAさんの書店向けサイトで当店の売り上げ評価が最高ランクになっていたことにも気が付きました。要はその前の月にすごく売れていたということになろうかと思います。


 『SAO』と『魔法科~』のアニメ化が同時期にあって前年に電撃文庫さんが恐ろしいほど売れていたこともあって、私が担当していた間はずっと前年比を下回り、出版社さんからの評価はあまり芳しくない状況がずっと続いていました。
 ラノベ担当者としてはあまり優秀ではなかったのですね。

 もうその時のデータは残ってないのではっきりとした数字は覚えてませんけれど、確かその時の『SAO』の新刊は確か80冊売れたのでしたっけかね?
 閉店1ヶ月前になってやっと結果があらわれたというのはなんとも皮肉な話です。


 私はもう書店の現場からは退いているわけなのですが、特約店には可能な限り入っておいたほうがいい、というのは現役の書店員さんには伝えていきたいです。
 もっとも、もう入ってるよ、というところも多いでしょうけれど……

 一度はダメだったかもしれないけどいろいろと状況が変わって入れるようになった、というようなこともあるかもしれませんので、ダメ元でも申請してみることをおすすめいたします

次の記事はこちら↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?