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西日本最高峰 石鎚山の絶景

18:00

暗い車内にメーターが光を放ち、永遠に続くような暗い山道をヘッドライトが煌々と照らす。数分に一回すれ違う対向車の眩しさに目を細めながら山道を走り続ける。
信号のない山道に入り、時速20kmも出せない道を対向車が来ないことを祈りながらゆっくり登っていく。
日が完全に落ち、周りは真っ暗闇の中、車のヘッドライトの光筋を左右に振りながら走り続けて2時間。
細い道から少し広い道に出て、目的の土小屋へ。

21:00

目的の土小屋の駐車場にはすでに数台の車が停まっており、光が外に漏れている車もあった。下界のコンビニで買ってきたおにぎりを食べつつ、車内に寝床を作り始める。

お手洗いに行くために外に出ると、強い風に背中を押される。上を見上げると空は真っ黒で明かりは一つも見えなかった。10月でも標高1000m以上の場所の風は体温を一瞬で奪ってくる。そそくさと用を済ませ、車内に戻って明日に備え就寝した。

0:00

スマホのアラームで目を覚ます。車内はキンキンに冷えていて非常に寒い。準備のために車外に出た。あたり一面を霧が包んでいる。視界は10mといったところ。駐車場はほぼ車で埋まっていたように見える。上を見上げてももちろん何も見えない。若干不安な気持ちを抱えながら登山靴の紐を縛り、撮影機材を詰め込んだ登山リュックを背負い、登山口へと歩き出す。


登山口にある看板。ここから始まる。

登山口を抜け、笹藪の間を歩き始める。絶景を見る旅路のスタート。

風の音、木々・葉の擦れる音、土を踏み締める音、自分の息音。

ヘッドライトに照らされた場所しか見えない視界の中、自然を感じながら登っていく。
時折、遠くに別のヘッドライトの明かりが見える。少し頼もしく感じながら自分のペースで登っていく。

登り始めて1時間半、石鎚山で最もきつい部分に差し掛かる。
これまでハイキングのように歩いてきた身体に、重力を感じさせてくる傾斜と階段。休憩を挟みつつ、確実に登っていく。この頃には寒さは忘れていた。

2:40

頂上に到着。周囲は闇と濃霧。岩場には数人の登山者がすでにいた。
リュックから三脚を取り出し、撮影スポットを探す。岩場に足を伸ばし、設置した。
岩場から少し降りたところでお湯を沸かし、寒さを凌ぐ。周囲の登山客と談笑しつつ、日の出を待つ。
時折、霧が晴れ、頭上には満点の星空が広がっていた。

5:00

だんだんと岩場に人が集まり始める。視線の先には薄明の空。カメラを三脚に構え、タイミングを待つ。下には雲海が広がっているのがわかった。
構図を確認するためにシャッタースピードを長く設定して試し撮りをし、構図を定める。



06:00

目の前に、視界いっぱいに、オレンジ色の世界が広がる。
足先から頭の上まで鳥肌が走る。
その感覚が心地良い。


石鎚の紅葉

これを絶景と言うんだな・・・
目の前に広がる最高の景色に圧倒され、かじかんだ指先のことも忘れ、永遠にシャッターを切り続ける。
この景色は目にしっかり焼き付けようとずっと眺めていた。

山肌は紅葉、空は朝焼け、朝日に照らされる雲海。
刻々と変わっていく絶景に引き込まれていく。

オレンジの世界

青色とオレンジのコントラストが本当に美しい。
ふと、左側に目を向けると、瓶ヶ森の山頂が雲海から頭を出していた。


瓶ヶ森

まるで、海中から浮上する潜水艦のように雲中に消えたり上がってきたりしながら、雲を割いていた。

06:30

だんだんと興奮が落ち着いてくる中、周りも徐々に行動を開始する人たちが増えてきた。天狗岳方向に登る人たちが数人ずつ下に降りていく。
一人の男性が天狗岳に見惚れていた。

眺めたくなる気持ちめっちゃわかる

日が完全に登ると、皆朝ごはんの準備を始める。私もクッカーに火をつけ、お湯を沸かし、カップラーメンを啜る。カレー味が最高にうまい。

7:30

荷物をまとめ、下山を開始。
登っている途中では暗くて気づかなかった紅葉している木々をゆっくり眺めながら下山する。

登山道の紅葉

山頂は紅葉していたが、登山道の木々は紅葉はピークではなかった。
それでも霧を纏った森は神秘的な世界を感じさせてくれる。

霧に包まれる

この時間になると登山客もピークを迎える。すれ違う多くの人たちとひっきりなしに挨拶しながら道を譲り合いつつ下山する。

9:00

登山口に到着。
周囲は霧も晴れており、頭上には奥に青い空と、手前には風になびく薄い雲が流れていた。
荷物を車に放り込み、土小屋で温かいコーヒーとまんじゅうをいただく。
冷えた身体に沁みる。

毎回これを楽しみに登ってる

西日本最高峰、石鎚山。
そこは、息を呑むほどの絶景が広がる最高の世界だった。


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