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vol.60 星の撮り方

このnoteは写真を0から始める方向けマガジン「始めよう、写真」の記事です。初めてご覧になる方はぜひvol.1からどうぞ


さて、今回は星を撮影する際に必要な知識、機材などについて書いていこうと思います。

撮影前準備①

さて、実際に撮影する前に必要な機材や知識についてまとめていきます。

まずカメラ本体です。
まず最初の話をするためにはセンサーサイズについて理解しておく必要があります。
まだの方はこちら。(忘れちゃったって人は復習しといてくださいね)

センサーサイズが大きくなるほど、カメラが取り込むことができる光の量が増えます。
星は、非常に少ない光量なので、センサーサイズが大きければ大きいほど明るく撮れるということになります。

センサーサイズが大きければ大きいほど有利!

さて次は、レンズです。
レンズには、それぞれ開放F値が設定されています。
(忘れちゃったって人はこちら)

上記のnoteにもちらっと書いていますが、F値が低ければ低いほど、光量が増えるため、明るく撮ることができます。
星を撮るためには、レンズのF値も気にしなければなりません。
大抵、F2.8以下であれば十分に撮ることができます。

レンズのF値はできる限り低いものを!

このF値が低ければ低いほど星撮りには非常に大きいメリットが生まれてくるのですが…これは後程。

そしてこれは当たり前な話ですが、星は光害に影響されます。
星を多く撮るためにはできる限り光害が少ない田舎や、海岸、山などに出向くことが綺麗に星を撮る最低条件です。
また、光害は原因となる町からかなり距離が離れても影響が及ぶことがあります。
撮影する方向に街があるかどうか等も考慮して撮影地選びをしてみましょう。

光害の影響を考慮しよう!

さて、星の撮影では、非常に暗い条件で撮影することになるため、ISO感度が重要になってきます。
(これも忘れちゃったって人はこちら)

星は暗いため、明るく撮影するためにはISO感度を上げる必要があります。
ISO感度を上げると、ノイズも出てきます。
さて、ここで先ほどのレンズでの話が出てきます。さあ、もうお分かりですね?

ISO感度を上げると発生してしまうノイズ。ノイズを出さないためにISO感度をできるだけ抑えてたい。
ということは、レンズのF値が低ければ低いほどISO感度を下げれますね?
レンズのF値が写真の明るさとともに写真の仕上がりにも影響してきます。

また、このISO感度は低画素機の方がノイズが少なくなるということも以前お話しました。(こちら↓)

そのため、ISO感度を高くする星の撮影では低画素機の方が有利となります。

撮影前準備②

さて、ここからは実際に撮影する際に使う道具について書いていきます。
カメラ、レンズのほかに
三脚
レリーズ
ライト
(レンズヒーター)

とりあえずこれだけあれば撮ることができます。

三脚についてはこちら↓

星を撮る際はシャッタースピードを10秒以上開けて撮ることになります。
長秒で、構図を決めて撮るためには三脚は必須です。


レリーズについてはこちら↓

レリーズは、三脚に据えたカメラに直接触ることなくシャッターを切るために必要な道具です。シャッターボタンを直接指などで押すと、カメラが揺れて写真がブレてしまうことがあります。三脚に据えたカメラをなるべく揺らさないためにもレリーズは必須です。
最近は、カメラに搭載されている機能で2秒タイマーなどの機能がついていることもあります。その場合はレリーズは不要になるので、一度お持ちのカメラのタイマー設定を見返してみてください。


ライトは夜間の撮影になるため必須です。また、赤い光源のライトが目に影響を与えにくく、よく天体観測などで使われますが、カメラにとって赤い光は相性が悪いです…
そのため、赤いライトではなく、通常の白い光のライトを使いましょう。
また、有名な撮影地等では、自分以外の撮影者がいる場合があります。
他の撮影者の邪魔にならないよう、撮影に影響を及ぼさないよう、ライトの扱いは慎重にしましょう。

レンズヒーターは、レンズが結露してしまうのを防ぐ装備です。
温度差がある撮影の場合(例えば冬場の車内から外へ等)にレンズが急激な温度変化によって結露してしまうことがあります。
その際に、レンズヒーターをレンズに付けることでレンズを加熱し結露を除去するという装置です。

撮影時の設定

撮る前の準備をしていきましょう。

モードはマニュアルモード。
三脚にカメラを据えて、レリーズをつけて、ピント合わせをしましょう。

星は暗すぎるためAF(オートフォーカス)が使えません。
そのため、MF(マニュアルフォーカス)でピントを合わせなければなりません。

AF,MFについてはこちら。

一眼レフをお持ちの方は、ファインダーでピントを合わせることができないので、ライブビュー(モニター)を利用してピント合わせを行います。

ピントの合わせ方としては、遠い場所にある街灯や、光源を用いてピントを合わせます。MFなので、レンズのピントリングを回して、最も光源が”点”になるピント位置を探ります。
ここで合わせているピントの位置は「無限遠」という位置になります。

カメラ、レンズによってはピント位置が表示される(表示される場合は∞のマークが表示される場所が無限遠です)レンズもあるのでそれぞれの機材にあったピント合わせをやってみてください。

さてここからは実際の撮影の設定です。

作例とともに説明をしていきます。

画像1

SS 20秒  F2.8 ISO4000

シャッタースピードに関してですが、星は地球が自転しているために回転しています。そのため、シャッタースピードが長くなると星が流れてしまいます。星を止めて撮るためには焦点距離にもよりますが、20秒程度が限界だと思います。

F値はできるだけ低く、あとは星が写るようにISO感度を上げていきます。
カメラによってISO感度の耐性が異なるので自分の許容できる限界のISO感度を探してみてください。
(現像作業にてこのISO感度のノイズを軽減させる方法があるのですが、またの機会に書こうと思います。)

画像2

SS 25秒 F2.8 ISO4000

星を止めて撮るためにシャッタースピードには限界があるため、前景を同時に撮ろうと思うと真っ暗になってしまいます。
そのため、前景と星を別々に撮って現像で合成するという撮影の方法もあります。
この写真はその方法で撮影したもので、星はSS25秒で撮っていますが、前景はSS40秒で撮ったものを合成しています。

また、自転の影響でSSが制限されるという星撮影最大の難点を克服することもできます。
星が流れないようにするために、カメラを地球の自転速度に合わせて回転させてしまおうという”赤道儀”という装置もあります。

赤道儀を用いて撮影を行うと、SSを何秒でも伸ばすことができるのでISO感度を下げることももちろん、F値を大きくできるため、レンズの解像度を向上させることもできます。

レンズの解像度についてはこちら


星の撮影は、カメラでなければ撮れない分野になるので撮るだけでも楽しいですが、現像をするとより綺麗な写真にすることもできます。

星の現像に関係する話はまた別の記事としてまとめようかなと思っているのでお待ちください。

さて今回は星の撮影について書きました。
次回からも様々な撮影方法について書いていこうと思います。

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