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【俳句幼稚園】~添水、雪ほたる

安達太良あだたら仮寝かりね覚ますや添水そうず

俳句の世界ではもうすっかり初冬なのに、まだ秋の季語を使うのはどうなのでしょう^^;
……と思わないでもないですが、先週二本松を訪れた際に印象的だった場所の一つが、「龍泉寺」。

ここの「菊手水」が素敵だ!ということで、秋に訪ねたかった場所の一つです。

「菊手水」を詠むか、「鹿威し」を詠むかで散々迷った挙げ句、まずは「きごさい」で調べてみました。
すると、「鹿威し」もれっきとした「三秋」の季語なんですね。

鹿威し
【子季語】
僧都、ばつたんこ、鹿威し、兎鼓
【解説】
竹筒に水を引き入れ、たまった水の重みで、傾いだ竹が石などを打ち音を立てるようにした装置。その音で田畑を荒らす鳥獣を追うもの。今は庭園などに設けて音を楽しむ。

出典:きごさい

龍泉寺は、お寺のHPにもあるように、伊達政宗に滅ぼされる前は代々畠山氏の庇護を受けてきた古刹です。
そのためか、お寺の近くには「五七の桐」の紋の幟が立てられていました。

下に「二つ引き紋」が見えますので、もしかしたら……と思ったのですが、案の定、畠山氏も足利一族の一派でした。

個人的には畠山氏云々よりも、「戊辰戦争の城下戦で、大谷鳴海が守っていた場所」との印象が強いです。
ここからすぐのところに、城の搦手門がありますし。

ただし、霞ヶ城の箕輪門側(正門)側から回ろうとすると、ものすごい山道なので、私のように「自転車で行こう」と考えていたとしても、「体力に自信のない方」はおすすめしません^^;
→二本松市のレンタサイクルのHPに、本当にそう書いてあります……。

まあ、観光案内はともかくとして。
訪問時期は晩秋ということで、俳句の世界では「山眠る」の季節に突入しようか、というところ。
それで、「仮寝」(かりね。うたたねのことです)の言葉を組み合わせてみました。
静かな山里の古刹に鹿威しの音が響く光景は、なかなか風情があります。


道草に密かにさそふ雪ほたる
【季語】雪ほたる(初冬)

これは、「季節の誤り」ではありません。少しややこしいのですが、「綿虫」の子季語です。
ここでいう「綿虫」というのは、北海道などで「冬の使者」として扱われる通称「雪虫」のことです。

こんなの。確かに、体にふわふわとした毛が生えていますね。

ところが、俳句の世界で「雪虫」と読んでしまうと別の虫になり、季節も「初春」になるのです。

雪虫(ゆきむし) 初春
【解説】
雪解けの始まる二月頃、雪の上に姿を現す黒い小さな虫。幼虫時には渓流にすみ、早春に羽化する。カワゲラ、ユスリカ、トビムシの類である。初冬の季語「綿虫」を雪虫と称されることがあるがまったく別のものである。

出典:きごさい

てっきり北海道の辺りでしか見られないのかと思っていたら、先程郵便局に「松明あかし俳句大会」の投句のハガキを出しに行った帰り道、この「雪虫」を見かけました。そんなわけで、咄嗟に句にしてみた次第です。

俳句で出しそびれていた「秋の句」を詠んだとしても、やはり季節は着実に冬に向かいつつあるのですね。

須賀川では「松明あかし」が冬の到来の目安ですが、今回の「綿虫」は、季節の変わり目を告げてくれたような気がします。

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