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2024年二本松花紀行~俳句編

さて、桜は別途特集にしたのですが、私が訪れた日は本当に様々な春の花が咲き誇っていました。
そうした花々を眺めていると、やはり一句捻りたくなるんですよね。

紅枝垂貴人きじんしづも抱きをり

こちらは、大隣寺の枝垂れ桜。本堂の周辺に広がる山には、藩公を始め、丹羽家の代々の忠臣らのお墓があります。
生きていた頃は様々な身分で呼ばれることがあったとしても、故人になってしまえば、皆等しく「御仏みほとけの弟子」。そんな思いを込めて句にしてみました。

ちなみに大隣寺は、秋にもここで「銀杏黄葉」をテーマに詠みました。


こちらは、大隣寺の裏山で見掛けたニリンソウ。
山菜としても食べられるらしいのですが、私は味わったことがありません。
最初に一輪目が咲いてから寄り添うにして二輪目の花が咲くことから、「二輪草」の名がつけられているそうです。そのためか、花言葉は「友情」「協力」「ずっと離れない」など。

忠臣のきづな深むる二輪草

菜の花や旅人たびとの足を照らしをる

江戸時代に丹羽氏が入部し、奥州街道が松岡町や本町を通るルートに変更されるまでは、旅人たちはここ西谷にしたにを通っていました。
きっとその頃の旅人ものどかな田園風景の中で、遠くに見える安達太良山や、眼前の菜の花を楽しんだのではないでしょうか。

はらはらと涙積もれり翔龍桜しょうりゅうざくら

異郷の地で、若くして亡くなった佐久間織部おりべ。織部の眠る龍泉寺りゅうせんじにある翔龍桜の花びらが、彼の御霊みたまを慰めるかのように墓石に降り注いでいるのが、非常に印象的でした。

猩々の袴着けたる古城かな

カメラの性能が今一つなもので花の色が綺麗に出ていないですが、霞ヶ城のるり池近くで、少し不思議な感じのする花を見つけました。後でググってみたところ、どうやら「猩々袴しょうじょうばかま」のよう。これも季語(晩春)の季語になっているので、使ってみました。

ただ、「ショウジョウバカマ」の俳句はほとんど例句がなく、詠むのが難しい💦

かたかごや俯向く顔の愛しけれ

こちらも、霞ヶ城のるり池近くに咲いていたものです。
子供の頃以来、数十年ぶりに見た「片栗の花」。そう、料理をする人にとってはおなじみの「片栗粉」の原料となる植物です。ここで言う「かたかご」は、片栗の古語です。
本来は片栗粉というとこの植物の根を掘り出して作るのですが、生産量が少ないので、今は「じゃがいもデンプン」が「片栗粉」として流通しています。
ちなみに片栗は山菜としても甘みがあって癖がなく、非常に美味。もちろん、公園の敷地で採取するような不届きな真似はしませんが、うつむくようにして咲く紫色の花は、心惹かれます。

花言葉は、「初恋」。こんなロマンチックな意味もあるそうですよ。

昔日せきじつの子らも摘みけむ紫雲英れんげそう

また、霞ヶ城のあちこちで紫色の愛らしい花を咲かせていたのが、レンゲ。レンゲというと、「れんげ畑」を想起する人も多いのでしょうが、なぜか霞ヶ城では各所で自生していました。
まさか、城の敷地で「土を豊かにするために」種を撒いて増やしているとも思えないですし、なぜ霞ヶ城で数多く見掛けたのかは、謎。
ですが、レンゲというと子どもたちが「花冠」などを作る際の必須アイテム?ですし、昔の子供らもこっそり城の敷地に遊びに来ては、摘んでいったのかもしれません。
そんな発想からの一句です。

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