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役所と民間の違い(主に働き方編)

区役所へ転職して以来、日々、感じる違和感は学びのチャンスと、いろいろ調べたり、話したり、考えたりするようにしています

今回は、なぜ働き方が異なるのだろう、を考えてみました。

以前より、地域社会は一つのチームで、自治体職員も住民も、メンバー全員が対等だと思っています

前職(サイボウズ)時代から、
・官も民も同じチーム(社会)のメンバーであり、役割分担しているだけで、特に違いはない。
 ミッションはそれぞれにあり、地方自治体のミッションは住民の福祉の増進
*地方自治法第1条第2項 「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とし」
・ざっくりいうと、役所は、税金を集めて、それを住民の福祉のために使う役割で、民間は社会活動しながら税金を納めるという役割が違うだけ
ただ、対等ではあるが、役所勤めと民間会社勤めの違いはあります

まず、公務員には雇用保険がないこと(法律上、対象外になっており、雇用保険料も徴収されない)
制度設計上、辞めないことが前提になっているかららしいです

また、民間ではターゲット(市場)が変化していき、場合によっては、積極的に変えていけること。一方、地方自治体は、ターゲットが固定されています(在住・在勤・在学者)し、民間と違って競合がいません
このターゲットの違いは、「効率的」の考え方も官と民で変わってくると思います(官は誰一人取り残さないことと効率的を両立させる必要がある)

働き方に関しては、昨今、官から民への人材流出が加速しているといわれ、世田谷区でもご多分に漏れず、中途退職者が増加傾向にあります。この動きは、官も民も人が働く市場という意味では同じですが、民側に働き方のメリット(報酬だけでない)が大きいと評価されていることが背景にありそうです
昨今は、副業を認めたり、官側も改善されてきており、徐々にその差は縮まっていると思います

よりよい社会をつくるためにも、官民両方の立場を理解した人を増やす必要があり、双方向に人材が流動化してほしいと願っています

また、民間と違って公務員は「全体の奉仕者」であるというところが違います
憲法第15条第2項に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」とあり
地方公務員法第30条には「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」とあります

“奉仕者”って言葉は、転職までは、あまり使った記憶がなかったので、新鮮でした。
“奉仕者”とありますが、公務員は、国民の一人として基本的人権は守られています(ただし、労働基本権の中の一部団体交渉権の制限や争議権が認められないなどはあります)

平常時は、官であれ、民であれ、組織目標にどれだけ効率的に近づけるか、達成できるか、考えながら活動しています。そこに違いはないように思います
しかし、いざ、災害が発生すると、
民間であれば、自分や家族の安否確認を行い、安全優先で仕事に従事しますが、公務員は、自分の安全を確保しつつ、公共の利益のために全力を挙げてこれに専念しなければなりません
住民の生活全般に関わる仕事なので、普段では目立たない働き方の違いが、災害時は際立ちます
これ、実に“重い“です

今回の能登半島地震でも、現地の公務員の方々は、この公共の利益ために全力を挙げてらっしゃるのは、ただただ頭が下がりますし、自分も改めて覚悟しました
ガスや電気、通信などインフラ事業者の方々も同じような立ち位置だと思います
もちろん、ボランティアや民間の方々も懸命に復旧・復興に当たってらっしゃるので、そこでも官民連携のチームが、相互に理解しながら、うまく稼働してほしいと願っております

~おまけ~

今度、東京青年会議所の例会にて、なぜ官の活動への民の参加が必要なのか、をお話させていただくことになりました。今回も、ハードル爆上げのお題ですが、世田谷区が基盤にしている“参加と協働”につなげられるのではないかと思っています。はい、資料はこれから(汗ッ)

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