俺の人生の振返り 2-2




「夢を追うのに素晴らしい仕事があるんですよ、話だけでも聞いてみませんか」


蜘蛛の糸を手繰るカンダタの心境で、話を聞きに行く。

その内容は・・・・・そうネットワークビジネスだった・・・・。


この時の自分に言ってやりたい


「その選択は悪手!」


「凄いこと言っているけど、2022年にその企業、そんなに有名になっていないよ!」


「時間と金を無駄にする!だったら、今のルートセールス辞めちゃえ!
1年間・・・なんて、口約束だから、法律違反でも何でもないよ!」

「とにかく、その選択は絶対ダメ!!」


しかし、その時の自分にそんな声が聞こえるわけもなく・・・
蜘蛛の糸を登っていった先が別の地獄に通じていたなんて・・・
知る由もなかったな・・・

「これで時間とお金が手に入る!俺の可能性は無限に広がる!!」


と本気で信じていた。


大学の友人や、声優教室の人に宣伝しまくって、商品も愛用して
ルートセールスの会社を何とか辞めれて、ポスティング会社に就職し、
仕事の合間にネットワークビジネスのチラシを配っていたりもした。


段々となくなるお金、そして貴重な時間・・・・・
・・今から考えると、リクルートの技術も必要だったのに
「誰でもできる」というフレーズしか頭が入っておらず、
これで何とかなると本気で思っていた。


しかし、29歳の時に当時のポスティング会社が親会社とのお家騒動でつぶれ
人員整理のもと、解雇され、文無しを経験してしまう。

「人間関係の和を崩す要因である」

というのが理由だった。


この時は、本気で焦り、親に

「生前贈与でお願いします」

と頼み込み、何とか危機を脱した。


30歳、今度は仕事を間違えない、コールセンターに勤務した。

よし、心機一転やり直すぞ!


・・・と思った。収入は何とか確保できたので生活に問題は無かったのだが
人生の目的に向かっているという実感がどうしても湧かなかった。


ネットワークビジネスはうまくいかない、私生活でも失恋を繰り返す・・・

声優教室は主催者の方の仕事が忙しくなり、大分前に閉鎖となってしまった。


文無しになった自分に他の養成所に通う金はもうない。


一応、ボイストレーニングは続けていたのだが、それが夢の実現に
つながる道筋にはなり得なかった。

あれだけ熱を入れていたネットワークビジネスも

「これは俺のやるべき仕事じゃない」

とようやく気付き、脱退。


コールセンターも派遣先の業務撤退で、2転、3転と場所が変わり
人間関係も変わっていくが、同じところをグルグル回っている感覚の日々。


そして、35才、当時の派遣先の業務上の関係で
派遣元との契約が切れ、別の派遣会社との契約になるが
自分だけ契約更新とはならなかった。


その同時の女性の上席者が性格がキツクて、良く叱責を受けていた。


そのこともあってか、ここでも「職場の和を乱す要因」とみなされてしまったんだと思う。


来月から仕事がない・・・・・・どうしよ・・・・。


・・・てか、同じことを何度繰り返しているんだ・・・・俺は・・・


やられてもやり返せない、いじめっ子といじめられっ子の共同創造の
関係性がまだ続いていたこともショックだったが、それ以上にショックだったのが
35才という年齢だった。

普通に行けば、結婚もして、家庭を気づいている年齢。

もし、この先結婚が出来て、子供が出来たとしても、大学まで
行かせてやれるんだろうか


いやもう無理だろう・・・・・・

・・・自分はしくじったのだ・・・・・・


蜘蛛の糸の這い上がった先が更なる暗闇なんて知らなかった・・・・。

・・・・・人生の選択を完全に誤った・・・・・・・・

・・・・・もう、人生終わった・・・・・・・・・・・・・・

・・・これから先どうして生きていこう・・・・・・


・・・・そんな問いかけをしても、誰も答えてくれない・・・・・・・。


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