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新型コロナワクチン接種レポート@アメリカ東海岸

 皆さん、こんにちは。
 ケイスリー株式会社で公衆衛生学・行動科学分野を中心に担当している一宮です。アメリカの研究機関でヘルス・プロモーションの仕事をしながら、専門分野である行動科学を生かしたプロジェクトに関わっています。

 私が住むアメリカ東海岸では、新型コロナワクチンの接種が急速に進められています。私も3月と4月に、公衆衛生学の研究者枠で2回の新型コロナワクチン接種を完了しました。

 この記事では、ワクチンを接種した一個人としての体験談や感想、これから日本で参考にできそうなポイントなどを共有します。

本記事をおすすめする方々
・これから新型コロナワクチンを接種される方
・自治体や医療機関で新型コロナワクチンの提供計画を立てる方

覚えておきたいこと

・新型コロナワクチンは筋肉注射です。日本の予防接種の多くは皮下注射ですが、世界的には筋肉注射が一般的で、安全性は極めて高いとされています。皮下注射と比べて、針を刺した時の痛みが少ないという方が多いのも特徴です。

・メディアで報道されるワクチン接種後の死亡例や症状の多くには、ワクチンには関係のないものも含まれます。最終的な因果関係の解明には時間がかかりますが、接種後に体調不良を経験した人がいても、その原因がワクチンとは限りません。報道一つひとつに悩まされず、政府や自治体のガイドライン等を参考にすることをおすすめします。


新型コロナワクチン接種体験記

 ここからは、あくまで私個人の体験ですが、皆さんが気になる接種後の体調や、アメリカでのワクチン接種の流れ(オペレーション)について記していきます。

● 予防接種をした時期
 1回目の接種は3月、2回目の接種は4月に行いました。1回目と2回目の間には3週間の間隔がありました。

● 接種したワクチンの種類
 2回ともファイザー製でした。※居住地で提供されたワクチンはファイザーとモデルナの2種類で、自分では選べません。

● 予防接種の痛み・副作用は?
 接種時の痛みは、目でみていなければいつ打たれたのか分からないほど小さいものでした。これは2回とも同様で、非常に痛みが少ないと感じました。
 接種数時間後から、針を刺した周辺部分に、あざができたときのような鈍い痛みがありました。また、少し身体が重く、だるく感じる時間もありました。とはいえ、私の場合は2回とも特に活動を制限されるような強い症状は現れませんでした。2回とも平日の朝に接種し、帰宅後は大きな問題なく仕事ができました。 ※症状には個人差があります。


接種の流れ

● 予約開始まで
 ワクチン接種に関する国や自治体からの案内などは、確認した限りありませんでした。
 州のウェブサイトに、属性ごとの接種順(医療従事者、高齢者等)を示すフェーズが掲載されており、自分が該当するフェーズの接種が開始されてから、予約を開始しました。

● 予約
 予約時には、電話かウェブサイトで予約用リンクを発行します。リンクをクリックすると、本人確認ののち、予約用のウェブサイトに案内されます。ここでワクチン接種可否を決めるための1次スクリーニングがあり、体調、既往歴や過去のアレルギー発作歴等を記入します。予約が完了すると、SMSかメールで日程や予約番号が送付されます。

● ワクチン接種当日
・接種会場についたら、列に並び、受付で予約番号や氏名、生年月日などの確認を受けます。確認ができた人から入室します。

・接種へと続く列に並びながら、iPad、もしくは口頭説明と紙でアンケートに回答します。このアンケートで、改めて体調確認などの2次スクリーニングを行います。最後に同意書に署名します。

・アンケート回答が終わったら、iPadやアンケートをスタッフに手渡し、列に並びます。順番がきたら、医療者が座っているワクチン接種ブースに案内されます。ブースは8つほどで、間隔をあけて配置されていました。

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・接種ブースにて、医療者から改めて口頭で最終スクリーニングを受けます。接種可能であればワクチンを接種し、接種部位に絆創膏を貼ります。ワクチンの種類はファイザーかモデルナで、自分では選べません。医療者はマスクとアイシールドをつけていました。

・接種が終わると、医療者がワクチンカードに接種日やワクチンの種類等の情報を記入します。この際、ワクチンカードの裏面に、2回目の接種の指定日時も記入されます。1回目の接種から同じ曜日・時間帯の3週間後を指定していると思われます。都合がつくかどうかの確認はありません。

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・接種が終わったら、一定時間待機する待合所の入り口に案内されます。待合所への到着時間に応じて、そこで何時まで待機するかを書かれた紙を渡され、間隔のあいた席に座るよう指示を受けます。待機時間は15分です。この待機時間は、アナフィラキシーショック等の症状がないかをみるために設定されています。ここで具合が悪くなった場合には、医療者から治療を受けられます。

・待機時間が終わったら、待合所の出口で待機時間の紙をみせ、確認を受けたあと帰宅します。出口のところで、「ワクチンカードをなくした時のために、今スマホで写真を撮る」ように指示されました。

2回目の接種も、同様の流れでした。


今回の接種で参考になりそうな点

・1回目の接種をしにきた方を対象に、2回目の接種日時を自動で指定するやり方は効率がよさそうだと感じました。前述の通り、一回目の接種から同じ曜日・時間帯の3週間後を指定していると思われます。

・ワクチン接種後の待機時間が終わると、ほっとして気が抜けるので、出口のところで2回目接種の予約カードの写真を撮るよう指示するのは、リマインド的な効果がありそうです。ぜひ日本でも参考にしていただければと思います。

・接種後の待機時間があるため、間隔をあけて座れる広い空間が必要です。日本ではこの広いスペース確保が課題になりそうだと感じました。なお、上記の接種会場は公共の体育館でした。


今回の接種からみえた改善点

 接種対象者に対する自治体からの案内はやはりあるべきだと感じました。私と同じ立場の多くの方が、すでに接種できることを知りませんでした。特に、予約がいっぱいで打てないという報道を耳にしたり、なんとなくそういう噂を多くの人が聞いたりしていて、調べもしていないケースが多いと思われます。

メッセージ

 予約カードの偽造や予約リンクの転送を心配する意見がでるほど、アメリカではみんなワクチンを打ちたいと思っています。日本でも円滑に予防接種を受け、少しでも安心した生活を送れるよう、安全で効率的な体制整備を進めたいところですね。


※信頼できる情報ソース

・最新統計
「データからわかる -新型コロナウイルス感染症情報-」(厚生労働省)
https://covid19.mhlw.go.jp/?lang=ja
→全国レべルに加え、お住まいの都道府県での厚生労働省最新統計を一覧で見られます。

・新型コロナワクチン公共情報タスクフォースhttps://medicalnote.jp/covid19-vaccine/
→新型コロナワクチンに関する簡潔で分かりやすい解説や統計情報が見られます。

・こびナビ (COV-Nav, 保健医療リテラシー推進社中)
https://covnavi.jp/
→新型コロナワクチンに関する疑問や不安に、専門家が分かりやすく答えています。


※上記は個人の体験に基づくものです。

一宮 恵  / Megumi Ichimiya
医療や健康づくりに関わる政策・ビジネスへの科学的エビデンス反映をミッションに活動。ジョンズ・ホプキンス公衆衛生大学院にて、行動変容理論や介入策定、プログラム評価の研究にも取り組む。都市のヘルスケア戦略やデジタルヘルス、医療AI分野の新規事業開発も手掛ける。
アメリカ在住ながら、公衆衛生学・行動科学分野での豊富な知識や経験を活かして活躍中。



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