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挑戦とは恰好悪くなるものです。~書評「命綱なしで飛べ」~

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コンテンツで溢れた現代において、羨望や嫉妬で僕は忙しい。
「成功していて恰好いいな。」
そんな言葉が頭に浮かぶと同時に、
「何物でもない僕はしょうもないな。」
頭の奥深くにこびりついたそいつに気づいた。
挑戦しようと何度思ったか。
その度に挫け、何をしても続かない。
「もう無理なのかもしれない。」
「いい加減見切りをつけて生きていこうかな。」
そんな考えが頭から離れない人は、きっと僕だけでは無いはずだ。
そんな、挑戦することを諦めようとした僕たちのために、“挑戦”というものの真の捉え方を教えてくれる本がある。

僕が挑戦しない理由

僕はいわゆる完璧主義者だ。
その割に掃除は苦手で部屋は汚い。
自分1人の空間では適当だが、集団の中では常に他人の評価を気にする。
つまり、結果を出したいと強く思うがあまりに外面を気にし過ぎる人間だ。
「何事においてもフィードバックがないと不安」
間違いない。
「罪悪感に苛まれることがしばしばある」
頻繁にある。
こんな特徴を持っていれば、君も結果に囚われた僕らの仲間である。
僕は完璧主義であるが故に、ミスを恐れる。
つまり、格好悪いことをしたくない
これが僕が挑戦しない理由だ。
さらに、本書を読み進めることでたどり着いたもう1つの理由がある。
それは、
「自分に才能がないことに気づきたくないから」
挑戦なんかして失敗した場合、人からの評価は下がり無価値な人間になってしまうのではないか。
そんな不安が僕の足を地面に張り付かせている。
ちなみに僕の顔は格好良くない。
それでも女性とすれ違う際に目が合うと、
「おっ!おれに気があるのかも!」
と、自己評価とはかけ離れた妄想を浮かべる。
恰好いい自分に憧れすぎて思考が停止した、ただのあほである。

挑戦を止める4つの罠

挑戦したいと望む僕たちが注意すべき罠が4つある。

①忙しさの罠
    忙しいこと自体が安心材料となり、常になにかのタ
 スクを抱えている。日々のタスクに追われ、目的が見
 えなくなる。
②人と比べる罠
    人と比べることに固執し、必要のない不安や無力感
 を感じる。
③人を非難する罠
    問題が起きるとすぐに人のせいにし、自分を見つめ
 直さない。
④心配の罠
    心配事の選別をできず、常になにかに脅えているた
 め動けない。
FLYING WITHOUT A NET/Thomas J.Delong

さて、みなさんはいくつの罠にかかっていましたか?
僕は人を非難することは少ないが、他の3つにはしっかりと足を突っ込んでいた。
特に心配の罠は強く、人よりも不安を感じやすい方だと思う。
心配事がこれ以上増えることを嫌い、現在の状況から抜け出そうとしない。
そんな僕への対策は、

問題を囲って限定する
ある問題を抱えていると、ほかの出来事にも関連付けて不安が増強する可能性がある。
問題が生まれた時にすぐ対処する。
これが最善で、もしすぐに対処できないのであれば、意識的に「後で対処する箱」に箱ずめして引きずらない。
FLYING WITHOUT A NET/Thomas J.Delong
9章  心配の罠

自分が嵌っている罠に気づいたら、対策を用いて改善させよう。
これが本書を読みながらできる挑戦の1つだ。

成長に必要なものと、そのルート

大前提として、成長したいから挑戦する。
目的が成長であるなら、そのために必要な過程を理解する必要がある。

【成長に必要な過程】
不安→勇気→弱さ
FLYING WITHOUT A NET/Thomas J.Delong
2章  恰好悪くてもいいから望ましいことをする

要するに、自分の中の不安を見つけることから始める。
その不安を乗り越えるための挑戦には、勇気が必要になる。
勇気ある挑戦をできたのであれば、その挑戦を経て自分の弱さを見つけよう。
自分の弱さに気づき改善することで成長が得られる。
ここで、僕の幼少期の逸話をお話しよう。

少年時代の僕は、アンパンマン号と呼ばれるおもちゃの車に乗ることが好きだった。
そんな少年僕は、ある日坂道をアンパンマン号で下ってみたいと思い立った。
長さは約100メートル程で、傾斜はかなり急な坂である。
いざ出陣。
そして3秒後。
足で地面を抑えても止まらないほどのスピードが出たアンパンマン号は、僕を乗せて坂を下る。
その途中で、小石が車輪に挟まり僕は空中に投げ出された。
体操選手も唸るような、見事な5回転地面転がりを決める。
左半身が擦り傷だらけとなった。

これも挑戦と呼んでいいのだろうか。
「おもちゃの車で坂を下っては行けない。」
という教訓を今日まで守っているから、きっと意味のある挑戦だったに違いない。
つまり、おもちゃのアンパンマン号、そして己の脆さを知り成長したのだ。
ただ、現在の僕はあの頃ほど無鉄砲では無い。
勇気を持って動けないから、いつまでも挑戦ができないのだ。
そんな思考に一瞬囚われそうになったが、今は挑戦を止める4つの罠を知っている。
それぞれの対策をもう一度行えば、あなたが思っているほど大袈裟な勇気は必要ないかもしれない。
不安で囲まれていると、脱出により大きな力が必要に感じる。
まずは罠から抜け出そう。

【成長のルート】
望ましくない場所で上手くこなす

望ましい場所で不得手なことを続ける

望ましい場所で上手くこなせるようになる
FLYING WITHOUT A NET/Thomas J.Delong
2章  恰好悪くてもいいから望ましいことをする

このことから分かることは、自分の思い描く未来にたどり着くには、必要だと思うことを苦手でも取り組み続ける必要がある
世の中の成功者を見ていると、
「自分とは才能が違う。」
なんて思いが浮かんでしまうかもしれないが、それは違う。
成功した彼らはなんでも器用にこなしているように見えるが、現在のその姿になるまでに努力を重ねている。
結果ばかりに囚われていると、過程の努力に気づくことができない。
これが人と比べる罠に繋がる。
現時点の自分に才能がないと諦めてはいけない。
まだ見ぬ才能を見つけるために、挑戦をするのだから。

命綱はいらない

この本を読んで、僕は挑戦の意味が大きく変わった。
ぼくが感じたことをまとめるとするなら、こう言う。
「挑戦とは恰好悪くなることである。」
成功を目指すのであれば、挑戦は必要である。
ただし、恰好良いように見えているのは成功した後の自分だ。
成功するまでの過程は理想とは大きく異なるかもしれない。
だがそれでいい。
失敗しないように挑戦するのではなく、失敗して自分の弱さを知るために挑戦するのだから。

明日バンジージャンプに挑戦するものはいるかい?
もしそうなら、命綱は絶対にしてくれ!
それ以外の挑戦を試みているみなさんは、保険なんか考えず前に進んでみよう。
僕も一緒に挑戦したい。
成長した自分に出会える日が楽しみだ。



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