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「良いモノを受け取りたい」病

コーヒー豆だけは、そこそこ良いモノがいい。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


ときどき柄にもなく、「良い音楽って何だろう?」と考えることがあります。どんな時かというと、周りが「スゴく良かった!」とライブの感想を述べているのに自分がそれに共感できなかったり、逆に対バンで出てきた全然知らないアイドルが物凄く心に響いたりした時です。

ぼくは幼少期から色んな音楽に触れてきましたが、上質な音楽を聴いた時間はそれほど多くないとは感じています。つまり、音楽的評価を下す立場にはいないわけです。そこでこのnoteは「音楽的に良いかどうか?」ではなく、「何がその人にとって『良い』音楽なのか?」を軸に考えています。


本気で向き合ったのが「良い」音楽

ぼくは音楽の質によらず、本気で向き合えたものがその人にとっての「良い音楽」になると考えています。手軽に音楽が聞ける現代だからこそ、思わず「ながら聞き」してしまって音楽に向き合えてないことも多いのではないでしょうか。

JPOPでもロックでも演歌でも、一曲のなかには想像しえないドラマが含まれていることがあります。それは歌詞の世界観や背景だったり、曲に使われてるメロディーや楽器のこだわりだったり、曲が世に出てからの歩みの中で生まれたストーリーだったりします。これらはどれも、誰かが音楽に本気で向き合った証拠です。


少し話がそれますが、地下アイドルではソロパートの交代によってよくドラマが生まれます。たとえば、ぼくが頻繁にライブに通っているFES☆TIVEのレパートリーには、「大江戸爆裂花火姫」という曲があります。

この曲の見せ場は、過激なロックサウンドの間奏から突如訪れる落ちサビです。このパートは長らく元白担当の竹内さりあさんが歌っていましたが、卒業のタイミングでピンク担当の八木ひなたさんに引き継がれました。当初はライブなどでも自信のなさを覗かせていましたが、そんな八木さんをオタクのサイリウムが盛り立てました。今年の豊洲ワンマンではここぞと言う場面で使われたりと、名実ともに八木さんの代表曲の一つとなっています。

このストーリーを知るオタクにとって、もはや「大江戸」はただの一アイドル楽曲ではありません。アイドルとの思い出が詰まった「名曲」なのです。


音楽とお金の相関性

ここで、「真剣に向き合った結果、お金をかければいいってこと?」と思われるかもしれませんが、そうでもないと思います。確かに高い作曲ソフトを使っている方が良い音楽は生まれやすいでしょうし、高いチケット代を払った方が良い音楽に出会える確率は上がります。しかしチケ代を回収できるかどうかはその人次第だと思います。

ぼくが2022年のTIFの中で忘れられないステージがあります。それはRoad to TIF 2位の月島ほたるさんです。

ぼくはDOLL FACTORYで推しグループのステージ前にたまたま見ることができましたが、申し訳ないことに全く存じ上げませんでした。しかしTIF初出演にしてその日初披露の新曲を引っさげ、並々ならぬ意気込みを感じました。「ここまで来るまで、どれだけ涙をのんで、どれだけオタクのお金が飛んだんだろう…」。そんなことを考えていたら、心穏やかな気持ちでは見られなかったことを覚えています。


一般的に地下アイドルのステージは、有名なオーケストラの演奏会などに比べればかかっているお金は確実に少ないでしょう。それは安っぽい感動かもしれませんが、時にはオタクの人生を揺るがすほど心に響くこともあります。

逆に、クラシックなどのお金がかかる音楽の多くはハイコンテクストで、それを楽しむのには音楽の素養と、最初は分からなくても我慢して聞き続ける辛抱強さが求められます。だから年配の人ほどクラシックや歌謡曲が好きなのは、音楽の良さというより「自分の思い出に酔っている」状態なんだと思います。


「良いもの」は本当に良いもの?

ぼくが常々気をつけているのは、「世間的に良いとされているものが自分にも良いとは限らない」ということです。

評価の高い音楽とは、言わば色んな数字(好み)で割り切れる「約数の多い音楽」と言えます。しかしその約数に自分が含まれるかは分かりませんし、他の約数が含まれるということは雑味も多くなるということです。インパクトに特化するなら、特定の人だけに刺さる「素数みたいな音楽」の方がスマートとも言えるでしょう。メジャーではなくマイナーを追い求めることの醍醐味はここら辺なのかもしれません。


しかしその一方で、「良さを分かち合える仲間がいる方が楽しい」という思いもあって、自分の中でバランスを取っている状態のように感じます。

人間ってそんな算数みたいに単純じゃありません。曲を聞くだけならYoutubeでもSpotifyでも十分なのに、そうではなくてライブハウスに通うのは、人と人との繋がりを無意識に求めている部分があるはずです。だから「自分はこういうのが好きだ!」というアイメッセージは発信すべきですし、自分が好きだと思える音楽を増やす、つまり「因数分解が上手になる努力」はした方がいいんじゃないかと思っています。

ことアイドルオタクはだいたい何かしらの引け目を抱えているので、思わず必要以上に斜に構えがちです。だから誰かに何かをオススメされたら、ひとまず「ふーんそうなのか」と受け入れる姿勢を取るくらいが丁度いいんじゃないでしょうか?


おわりに

まとめます。

こないだ現場で「やっぱアイドルはパッションだよ!パッション!」って連呼してるおじさんがいて、謎の説得力を感じた。

以上です。

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