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「これでもいい」と思えるようになった

ソロチェキを撮っておくと、意外と役に立つことがある。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


このnoteは、2024年2月29日にネコプラpixx.を卒業した永瀬かのんさんに寄せて書かれています。

決して運営批判など、ネガティブな感情で書かれたものではないことにご留意ください。僕はネコプラの事が好きだし、所属事務所にも感謝しています。


永瀬かのんさんと自分

ここで、個人的なかのんさんにまつわる記憶を辿っておきます。

発見

僕が彼女を「見つけた」のは前事務所時代、僕が地下アイドルオタクを始めてすぐのことでした。当時、かのんさんの苗字は「永瀬」ではありませんでした。

エネルギッシュでハツラツとした楽曲が多いグループだったので、ふわふわしたわたあめのような彼女を少し異質に感じたことを覚えています。色んな意味で、抜群の存在感を発揮していたわけです。

しかし僕は彼女から認知されることはおろか、一度たりとも話す機会を得られませんでした。突然の契約解除となり、所属グループを脱退してしまったからです。

ここで少しやり切れない思いを残したことが、次につながっています。

認知

自粛ムードがやっと収まりつつあった2020年の暮れ、合同会社FreeK-Laboratoryから新グループ「STAiNY」の始動が発表されました。初期メンバー1人目として発表されたのは、「永瀬かのん」です。

当時、姉妹グループともいえるネコプラの現場に通っていた僕は、アイドルとして帰ってきた彼女の姿を幾度も見ることになります。ちょうどこの時期はフリークの主催する対バン「アナフェス」が毎週末、Zepp TOKYOやZepp DiverCity、Zepp HANEDAなどで開催されていた時期でもありました。


今、推しておかないと、一生後悔するかもしれない。 


そんな意味不明な脅迫観念もあり、ライブが被る度に永瀬さんと話しに行くようになったのです。

やがて「ネコプラのオタクやってる人」という認識で彼女から認知される程度になった折、推しメンが不在になった事もあって、僕はフリーク現場から足が遠ざかりました。

そして、気づいたら永瀬さんもSTAiNYとしての活動を終了を発表していました。

あわてて駆けつけた最後のライブ、彼女からは「また会えるから待っててね」という言葉をもらい、前向きな気持ちで次へと進もうと決意を新たにしました。

陶酔

2022年2月、一時的な体制として活動していたネコプラmom.が、新メンバーを迎えた「ネコプラpixx.」として始動する事が発表されました。新メンバーの名前には…

ちなみにpixx.とはPixie(ピクシー)に因んでつけられています。小柄でさながら妖精のような永瀬さんの加入が大きなターニングポイントであることを表しているとも言えます。

まさか推しメンが、推しグループに加入することになるとは。僕のネコプラオタク第2章の始まりでした。

「また、いついなくなるか分からない。」という気持ちで彼女を応援しているうちに、グループはコロナ前の活気をすっかり取り戻し、彼女は中心メンバーとして欠かせない存在に映っていました。気づいたら2年が経とうとしていました。


しかし、2024年1月に武道館でのワンマンライブ以降、永瀬さんは体調不良で休養が相次ぎました。ただ、もともとあまり無理はできない子なので、しばらく休んだら戻ってくるだろうと安易に考えていました。

2024年2月8日には、久しぶりにライブに復帰。その日の会場はSpotify O-WESTでしたが、特典会では「WESTは(前事務所のグループ)でデビューした時の会場だから、またここでライブできてすごく嬉しいんだ~」という会話をした記憶があります。

この言葉に少し希望を見出しつつも違和感を感じていましたが、結局これがアイドルの彼女と話す最後の機会となりました。

このお知らせ以降、僕がネコプラとしての永瀬かのんを見ることはありませんでした。


「これでもいい」と思えた理由

ろくな挨拶もできないままの突然の別れ。率直に言えば、ほぼ丸2年グループに貢献した功労者に対してあんまりな扱いだと思います。

しかし僕は「これでもいいかな」と思っていて、これにはおもに3つの理由があります。


①トラウマを払拭できた

1つ目に、永瀬さんを推していくなかで、自分の中にあったトラウマを払拭できたという手応えがあったからです。


トラウマとは、//ネコプラ//の時、僕とその推しメンに起こった出来事です。

フリークの闇が現在ほど明らかになっていなかった当時、「新体制になったら推しメンの名前がない」という事実は、自分にとって大きな衝撃でした。結果、「もっと大切に出来たんじゃないか?それとも、推しメンに寄りかかり過ぎていたのか?」という後悔をずっと抱えることになったのです。


奇しくも永瀬さんも、同じようにひとつの「お知らせ」を持って表舞台から姿を消してしまいました。しかしそこに至る過程は2年半前とはかなり違っていて、「自分なりに愛を注げた」という納得のいく別れだったと思います。むしろあの苦い思い出があったから、やり直せたのかもしれません。


②特別な体験が沢山出来た

前述に関連して、アイドル「永瀬かのん」を推す中で特別な体験が沢山作れたことが、納得感をもたらしました。

とくに僕のなかで大きかったのは2023年の生誕祭です。

2022年の生誕祭に行けていなかったこともあり、「今年こそは絶対に行こう。行かなければいけない。」と感じ、同日に開催されていた関ヶ原を差し置いて向かいました。結果的にネコプラ永瀬かのんの誕生日を祝える最後の機会だったことになり、選択として間違っていなかったなと感じています。


また、武道館のワンマンライブもどうしても忘れられない瞬間です。詳しいライブの感想はここに書いています。

大手の事務所でもない地下アイドルの推しメンが、武道館に立つところを見届けられることなんて人生で起こり得ないことだと思っていました。

もちろん、動員を達成するために、永瀬さんがかなり無理をしていることは伝わっていました。アイドルとしての寿命を縮めてしまったのかもしれないということは否定できません。

しかしそれでもこの武道館ワンマンは、「フリークのネコプラ」というポジションだったからこそ実現できた奇跡だったと思います。「推しが武道館行ってくれたら死んでもいい」という言葉も、実際に推しが立ってみて初めて実感するものなんだと分かりました。人生をやめるつもりはありませんが、オタク人生の欠かせない記憶の1つとして、走馬灯に蘇って来ると思います。


③推しメンとの距離感が分かるようになった

最後に、永瀬さんとは適切な距離感のまま、きれいに終われたということがあげられます。


ご存知の通り、僕が通っている現場はネコプラだけではありません。むしろライブ数が比較的多いネコプラにおいて、月に2~3回しかライブに来ない僕はかなりライトなんじゃないかと思います。それもライブを見るのは決まって対バンなので、明らかに他グループのついでであり「動員に貢献していないオタク」であることは明白でした(※あくまで個人の見解で語っています)。

しかし、むしろ僕にはこれくらいの頻度がむしろ良かったのです。たまにしか会えないという特別感があるからこそ、いつも新鮮な気持ちで向き合い、全肯定するオタクでいられたように思います。

永瀬さんも、僕がお金を落とさない「しょっぱいオタク」であることは分かっていながらも、それ以上のラインを踏み越えて来ることなく、いつも朗らかに接してくれているように感じました(※あくまで個人の見解です)。


総じて、これ以上にコミットせよと言われたら無理ではないけど、自分はこれで満足、という感覚が分かるようになってきたんだと思います。永瀬さんが僕のことをどう思っていたのかはわかりませんが、そんな「心地よい推し方で推させてくれた」に気づかせてもらえたことは、本当に感謝しています。

色んな現場に行くなかで心地よいラインを見極められるようになったのは、オタクとしての成長かもしれません。反面、現場の経験が長くなってきて、瑞々しい感情を失いつつあるんじゃないかという怖さと悲しさも感じつつあります。


アイドルじゃなくなった推しに会いに行ってみた

突然の別れ、でもこれでいい。そんな気持ちで日々を過ごし、ときどきネコプラのライブにも顔を出し始めたそんな折、突然、永瀬さんに再び会える機会が訪れました。

場所は音楽専門学校のとある一室。

会場となったミューズ音楽院

撮影会は1部(15:00~)と2部(17:00~)の2部制。僕は2部の開始30分後に行きましたが、常に5,6人は人が並んでいる状況でした。


永瀬さんはピンク色のチェック制服衣装で、アイドル時代と、何ら変わりない雰囲気で迎え入れてくれました。単なる「一般人女性」とは思えないくらいに。

僕は再び会って話せたことの喜びと、彼女に沢山の思い出を作ってもらった事への感謝を伝えました(伝えたつもり)。

永瀬さんは、「いつ会った時も沢山褒めてくれて嬉しかったよ」とだけ話してくれました。


もう、僕にはそれで十分でした。チェキを3枚撮って、僕はその場を後にしました。


僕が今後、彼女に会いに行くのかは分かりません。きっと、彼女がアイドルだった時と同じように、予定が合えば行くし合わなければ行かないんだと思います。だけど、もしまた会えたら、その時は沢山褒めて甘やかしてあげることになるのでしょう。


おわりに

まとめます。

作り物じゃない事実なんて、まあこんなものだよね。

以上です。


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