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勝敗を背負うエース魂・松坂大輔【100%応援目線の獅子図鑑】

ライオンズファンにとっての松坂大輔は特別だ。それは残した実績や貢献度が群を抜いているからというだけではない。松坂に抱く感情は、清原に対してのそれと似ている。ライオンズの選手でありながら、日本中の子どもからおばあちゃんまで知らない人はいない「国民的スター」。そんな選手はライオンズ史上においていまだに清原と松坂の二人だけと言っていい。

だから、ほかの選手に感じる愛着とは少し違う。めちゃくちゃ誇らしく感じる一方で、どこか、ちょっと遠い存在に感じて勝手に寂しくなる。名選手だらけのライオンズにあっても、やはりこの二人は別格なのだと思う。

 
そんな松坂のすごさは至るところで語られているけれど、西武ファンとして特に印象に残るのは「最後までマウンドを降りない」姿だ。勝つにしろ負けるにしろ、自分が決着をつける。そんな気迫がテレビ画面越しにも伝わってくる、真のエースだった。

なにしろ改めて記録を見てみると、ライオンズ時代の8年間で登板した試合数は179(うち先発は165)。その間の勝敗である91と55を足すと146。つまり勝敗のつく「責任投手」となった割合は登板数の81.6%を占める。

同じように入団時から先発の柱として活躍している田中将大のメジャー挑戦前の時点でも76.6%(登板数175/先発172/勝敗合計134)、ジャイアンツの菅野も76.5%(登板数196/先発194/勝敗合計150)、同時代に同じく「絶対エース」として君臨した斉藤和巳の先発定着以降でも79.6%(登板数118/先発118/勝敗合計94)だから、松坂の「責任」の背負いっぷりが際立っている。

しかも当時の西武はセットアッパー森とクローザー豊田が盤石。ほかにもデニーや橋本など多彩なリリーフ陣を抱えている中でのこの数字だから、いかに松坂が「降りない」投手であったかが分かる。

 
そんなスターでありスーパーエースの松坂だけど、イチローや野茂のような孤高の存在という雰囲気はない。むしろ思い出されるのは無邪気な笑顔であり、先輩や仲間とじゃれ合う姿だ。あちこちで語られているように、みんなから慕われる性格だったのだろう。同年代のトップ選手たちが「松坂世代」と呼ばれることを誇りにしているというのも、いかに松坂が突出した実力と人柄を兼ね備えていたかを表していると思う。

 
昨年ライオンズに復帰してから、登板がないままの引退表明は残念だし寂しい。でも、多くの選手がFAやポスティングで球団を去っていく中で、松坂が最後に古巣に戻ってきてくれたことは、西武ファンにとって本当にうれしかった。近い将来、ライオンズの指導者としてあの笑顔を見せてくれる日を楽しみに待ちたい。球史に残る実績と愛される人柄を備えた松坂は、きっと素晴らしい選手を育ててくれる。そんな確信がある。

 


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