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【2019年11月】鉄鋼業2社(合同製鐵、新家工業)の株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.20

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 さて、vol.1の記事では、私独自の以下の基準でスクリーニングをかけて、22業種105社をピックアップしました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
(3)実績PBRが1倍以下
(4)配当利回りが4%以上
(5)1単元が100万円以内

 ただし、ピックアップされた105社は業界の偏りが大きく、それぞれの業種特有のリスクがないか自分自身で分析することが重要ということでしたね。

 これまで、商社株、銀行株、建設株、不動産株、化学株、輸送用機器株、機械株、ガラス土石製品株、その他金融株ついて分析を行いました。

 本記事では、鉄鋼業の2社について書いていきたいと思います。


①鉄鋼業の概要について

 鉄鋼業セクターは、名称の通り鉄鋼メーカーがその名を連ねます。

 鉄鋼メーカーが行う製鉄は高炉と電炉の2種類の方法があります。

■高炉方式:鉄鉱石を溶かして石炭で還元して鉄鋼を取り出す方法

■電炉方式:鉄スクラップを原料に製造する方法。導電体として黒鉛電極を使用する。

 電炉方式の黒鉛電極については、化学メーカーである昭和電工の記事でも取り上げましたね。

参考『(4004)昭和電工の株価の鍵を握る 『黒鉛電極バブル』 の未来を読む! 割安株の探し方 vol.13』

 また、ニッケルなどを添加して強度を増すなどの特徴のある「特殊鋼」というものも存在します。

 

 一口に製鉄メーカーと言っても、高炉メーカー電炉メーカー特殊鋼メーカーに分かれているわけです。

 ちなみに、参考までに鉄鋼業セクターの時価総額上位3社の指標は以下のようになっています。
 ※2019年11月20日終値

日本製鉄:1兆5,057億円 PER 36.46倍、PBR 0.46倍
JFE:7,932億円 PER 22.53倍、PBR 0.39倍
日立金属:6,231億円 PER -倍、PBR 1.17倍 

 

 全体的に、一部上場会社平均と比べるとやや割高と言えますね(20.19年10月末一部上場平均PER 17.1倍PBR 1.2倍)。

 ではさっそく、スクリーニングの結果、各種指標が割安だった具体的な銘柄を見ていきましょう。


②割安な鉄鋼株の具体的な銘柄は? 


 vol.1の記事でピックアップした鉄鋼業2社の内訳は以下のようになっております。 
 ※時価総額は2019年11月20日終値

無し

 ―――――――――――時価総額500億円の壁

(5410)合同製鐵 439億円 ※大手電炉メーカーで日本製鉄系(9/30現在17.5%株主)。棒鋼、線材など建設用鋼材に強み。共英製鋼と株式持ち合い

 ―――――――――――時価総額100億円の壁

(7305)新家工業 87億円 ※普通鋼の溶接鋼管および各種加工品の製造販売。建材・スチール家具用小径パイプが主力


 2社とも時価総額500億円以下の中小ですね。

(5410)合同製鐵は日本製鉄系とありますが、17.5%しか持たれていないので、資本構成的な繋がりは子会社よりは小さいと言えるかもしれません。


③鉄鋼業2社の業績・配当金推移は?

 
 では次に、2社の一株利益及び配当金の直近実績及び今後の見込みを見ていきましょう。


(5410)合同製鐵:一株利益、配当共に右肩上がり

(7305)新家工業:一株利益やや右肩下がり、配当横ばい

 

 2社ではっきり明暗が分かれているのが興味深いですね。

 (5410)合同製鐵は業界首位の日本製鉄系ということもあってか、堅調な推移ですね。


④なぜ、鉄鋼業2社の投資指標は割安なのか?

 

 次にこの2社が割安な理由を見ていきましょう。

 ただ、その前に一旦本日2019年11月20日終値ベースでの、各社の各種指標を見返してみます。

 
(5410)合同製鐵: PER 5.7倍 PBR 0.41倍 配当利回り 5.06%

(7305)新家工業: PER 6.7倍 PBR 0.34倍 配当利回り 4.49%

 どちらも驚くほど割安な数値ですね。

 また、鉄鋼業セクターの2019.10月末時点の平均はPER 12.1倍 PBR 0.5倍となっているので、セクター平均と比べてもさらに割安と言えるかもしれません。

 それでは、なぜこの2社が割安かというと、以下3点が挙げられます。

割安な理由(1)中国の生産力の向上

 世界の鉄鋼生産における中国のシェアは、2008年(38%)→ 2018年(51%)とここ10年あまりで5割超のシェアを取るまでに成長しました。

 商売敵である中国の鉄鋼メーカーの生産力が高まれば、当然日本の鉄鋼はその分売れなくなります。

 蛇足になりますが、中国の電炉メーカーの生産が拡大したため黒鉛電極バブルが起きて、株価が急上昇したのが(4004)昭和電工でしたね。

※過去記事『化学メーカー大手、(4004)昭和電工の株価分析! 割安株の探し方 vol.12』


割安な理由(2)事業の伸び代が薄い

 鉄鋼業はビジネスモデルをアップデートする余地が少なく、中国のような外的要因がなかったとしても今後の業績の伸びが限定的という面があります。

 大手鉄鋼メーカーのPERがそれほど低くないということを踏まえると、生産力や効率性の面などで、規模の小さい企業ほど不利である業界と推測できます。


割安な理由(3)米国の輸入規制リスク

 長く続く米中貿易摩擦の煽りを受け、日本の鉄鋼の輸入に対して関税をかけるような処置をアメリカが行った場合、ただでさえ国内の需要が頭打ちの日本企業にとっては売上低下の要因になります。

 

⑤結局、鉄鋼業の株は買わない方がいいの?


 ここまで、鉄鋼業2社がなぜ割安なのかを見てきました。

 割安な理由はいくつか考えられそうでしたね。

 個人的には、(5410)合同製鐵は指標も割安で、業績や配当も堅調ですし、17.5%ほどとは言え日本製鉄系でもあるので、買い検討可能かと考えます。

 より、詳細な会社分析を行うのであれば、(5410)合同製鐵がいいでしょう。


⑥まとめ

 

 以上、簡単に鉄鋼業の2社が割安な理由を見てきました。

 業績及び配当の推移は2社ではっきり明暗が分かれており、(5410)合同製鐵の方が魅力的ですね。

 もう少し深掘りしてみて、問題なさそうであれば十分買い検討可能と考えます。

  次回の記事では、(5410)合同製鐵について詳細分析を行いたいと思います。


   ※今までの記事はこちら⇒『割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)』

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