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ROEの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで元証券マンが簡単解説!【指標解説No.3】

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※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)


 普段は「割安株の探し方シリーズ」と銘打って、割安株中心に株価分析記事を書いています。


 本記事では、株価分析とは少し趣向を変えて、投資判断において超重要な指標について、 意味の説明から注意点、具体的な活用方法まで解説しています。

 過去の記事ではPBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)の解説を行いましたが、今回はROE(自己資本利益率)をテーマとしています。

 PBR、PERとともに使用される機会が非常に多い重要指標になりますので、しっかり理解しておきたいですね。


 PBRやPERと合わせて理解する必要がありますので、その2つの指標について人に説明できる自信がない方は、先に過去の解説記事をお読み頂くことをお勧めいたします

過去記事『PBRの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで、元証券マンが簡単解説!』

過去記事『PERの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで元証券マンが簡単解説! No.2』


 それでは、ROEについて見ていきましょう。



① ROE(自己資本利益率) の意味は? 

  ROE(自己資本利益率)とは 「Return on Equity」の略で、計算式で示すと「ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本」となります。

 自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す指標となります。
(本記事では、簡易的に自己資本=純資産として説明を行っていきます)

 純資産については、以前のPBRの記事で詳しく解説させて頂きましたね。


 PERやPBRとの最も大きな違いは、ROEは、株価と何かを比べる指標ではないという点になります。


 PERやPBRは、それぞれ株価と利益株価と純資産を比較する指標でしたので、株価が割安か否かの判断に活用することができました。

 一方で、ROEは利益と純資産を比べる指標であるため、ROEそれ自体では今の株価が割安なのかどうかは判断ができません

 それでは、なぜROEは重要なのでしょうか?



②ROE(自己資本利益率)はなぜ重要なのか?

 ROEが重要なのは、ROEが「企業がどれほど効率的にお金を稼ぐことができるのか」を表しているからです。

 株主からすると、ROEが高い会社は「自分たちが投資した資金を効率よく使って利益を出している会社」と見ることができます。

 逆に、ROEが低い会社は「効率よく利益を出せない=経営効率の悪い会社」であるとみなされます。

 どちらの企業に投資したいかと言われれば、当然前者のROEが高い会社ですよね。

 このような点から、ROEは重要視されているのです。


 それでは数字を使って、より具体的に見ていきましょう。



③ROE(自己資本利益率)20%が示す意味は?

 ROEは10〜20%で優良企業だと見なされることが多いですが、そもそもROE 20%とは何を意味するのでしょうか?

参考『ROEとは何か?計算式、目安、改善方法、ROAとの違いについて解説』


 仮に純資産が1,000億円の企業があるとして、ROEが20%の場合は利益が200億円なので、1年後の純資産は1,200億円となります。

 仮に当初投資した時のPBRが1倍だとしたら、(増資などがなければ)1年後のPBRは0.83倍となります。
 
 簡単に言うと、1年後には純資産額が20%増えて、PBRがその分割安になるわけです。 

 つまり、ROEはPBRの改善(割安になる)速度を示しているとも言えます。

 

 ちなみに、ROE 20%を5年間維持できた場合、PBRの推移は以下のようになります。

【現在 】 純資産:1,000億円 PBR:1.00倍
【1年後】 純資産:1,200億円 PBR:0.83倍
【2年後】 純資産:1,440億円 PBR:0.69倍
【3年後】 純資産:1,728億円 PBR:0.57倍
【4年後】 純資産:2,073億円 PBR:0.48倍
【5年後】 純資産:2,487億円 PBR:0.40倍

 実際には5年間も20%を維持し続けるのは非常に難しいかと思いますが、もし実現できたらこのようなハイペースでPBRがどんどん割安になっていきます。

 ROE 20%が(超)優良企業とされる理由は、このように数字を見ていけば一目瞭然かと思います。



④ROE(自己資本利益率)を見る際の注意点!

 ROEは自己資本(純資産)と純利益の比較なので、ROEを正しく活用するためには、純資産と純利益のどちらに対しても正しい理解が必要です。

 その点では、PBRとPERのどちらも理解できないと、ROEを理解することはできません。

 純資産についてはPBRの解説記事で、純利益についてはPERの解説記事で詳細の説明を行っております。
 繰り返しにはなりますが、再度それぞれの記事で理解を深めて頂くことをお勧めします。


過去記事『PBRの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで、元証券マンが簡単解説!』
過去記事『PERの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで元証券マンが簡単解説! No.2』


 過去記事で触れている純資産と純利益を見る際の注意点は、要約すると以下の内容になります。

<純資産を見る際の注意点>
●有価証券(ベンチャー企業への投資時など)の減損リスク
●貸付金(企業への融資時など)の貸倒れリスク
※いずれも、企業のBSが正しいとは限らないというリスクになります。

<純利益を見る際の注意点>
●業績予想の下方修正リスク
●特別損失の発生リスク
※いずれも、現状のPERが約束されたものではないというリスクになります。

 

 PBRやPERなど投資指標の全てについて言えることですが、その指標を絶対のものと思い込むことは非常に危険です。

 あくまで投資判断の一助になるもの、という認識でいることが大切です。



⑤優良企業と言えるROE(自己資本利益率)は何%?

 では、 ROEは何%であれば優良企業と言えるのでしょうか。

 結論から申し上げますと、過去10年の平均が15%以上あれば優良であると言えるでしょう。

 もちろん絶対の正解はありませんので、個人的な感覚によりますが、15%が継続したときのPBRの改善速度もかなりのものではあります。

 現時点では、僕自身のスクリーニングの基準にROEは入れていませんが、今後試行錯誤をしていく中で、基準に追加することはあり得ると考えています。



⑥まとめ

 以上、ROEの意味、なぜ重要なのか、注意点及び具体的な活用方法を見てきました。

 純資産と純利益の両方を理解しなくてはならないため、使いこなすのは難しいですが、投資判断における重要な指標であることは間違いありません。


 今回はROEについて解説してきましたが、今後もROEなどその他の指標についても解説を行っていきたいと思います。

 またお付き合い頂ければ幸いです。



※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)

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