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PERの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで元証券マンが簡単解説! No.2

 

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 普段は「割安株の探し方シリーズ」と銘打って、割安株中心に株価分析の記事を書いています。


 本記事では、株価分析とは少し趣向を変えて、投資判断において超重要な指標について、 意味の説明から注意点、具体的な活用方法まで解説しています。

 過去の記事ではPBR(株価純資産倍率)の解説を行いましたが、今回はPERをテーマとしています。

 PBRとともに2大指標と言ってもよいほど重要なものになりますので、しっかり理解しておきたいですね。


 PBRと合わせて理解する必要がありますので、PBRについて人に説明できる自信がない方は、先にPBRの解説記事をお読み頂くことをお勧めいたします

過去記事『PBRの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで、元証券マンが簡単解説!』



① PER(株価収益率) の意味は? 純利益とは?

  PER(株価収益率) とは 「Price Earnings Ratio」の略で、計算式で示すと「PER=株価÷1株当たり純利益」となります。

 どちらも一株当たりベースで、株価と純利益の金額を比べています

 よって、 PERを正しく活用するためには、どうしても「純利益が何なのか?」という理解が必要になります。

 純利益とは企業のPL(損益計算書)における、法人税等を差し引いた後の最終的な当期純利益を差します。


 PBRの時と同様、サラリーマンで例えると、以下のようなイメージです。

●売上=給与額面(総額)

●純利益=(税金や社保の天引き後の)手取り額

 簡単に言うと、自由に使えるお金、ということになります。


②PERはなぜ重要なのか?

 PERが重要なのは、純利益が「企業のお金を生み出す力」を表しているからです。

 以前、PBRに関して解説した記事において、PBRが重要なのは「純資産が企業の解散価値を示しているから」という話をしました。解散価値は投資家にとって、会社解散時に自分の取り分となる重要な数値でしたね。

 PLにおける当期純利益の分だけBSの純資産額が増加しますので、当然、当期純利益も重要な数値となります。

 極端に言えば、仮に今の純資産が0円で、株価が1,000円の企業の株を買ったとして、対象企業の一株あたり利益が1,000円であれば、それだけでPBR1倍という状態(投資額=純資産額=企業の解散価値)となる期待が持てます。


 純資産がどの程度のペースで増加していけるか、という分析を行う上で純利益が重要なので、PERも重要な指標になっているわけです。



③PER 15倍(全上場企業の平均)が示す意味は?

 上場企業の平均PERは15倍と表現されることが多いですが、PER 15倍とは何を意味するのでしょうか?


 PER 15倍とは、株価が一株あたり利益の15倍になっている状態であり、今の利益水準が15年続けば、(仮に投資時の純資産額が0円だったとしても)15年で純資産が投資額と同額になります。

 つまり、  15年後にはPBRが1倍になるということです。

 上場廃止の基準の一つに「債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき」という基準がありますので、純資産額が0円の企業に投資を行うことは普通ありえません。

 なのでPER 15倍の場合、通常は15年を待たずともPBR 1倍という水準には到達できると思われます。

 また、翌期以降の純利益が当期の2倍になった場合は、PERは15倍 ⇒ 7.5倍に半減することになりますので、今後の業績推移がとても重要です。

 


④PERを見る際の注意点!

 PERは株価と純利益の比較なので、PERを正しく活用するためには、純利益に対する正しい理解が必要です。

 細かい点を挙げだしたら会計基準の話になってしまいますので、本記事では大きく2つのポイントについて触れたいと思います。

 

(1)業績予想の下方修正リスク

 PERを算出する際に使用される当期純利益は、会社が開示している業績予想を基にしていることがほとんどです。

 なので、会社の業績予想が信頼できるものかどうかを判断できなくてはなりません。

 例えば以下のような会社の業績予想は、ある程度下振れするリスクを考えた方がいいでしょう。

●過去10年間の業績予想の下方修正が多い
●直近1~2年以内に業績予想の下方修正をしている
●前期実績と比べて売上・利益が大幅に増加している

 また、米中貿易摩擦問題のように、完全に外的要因により業績が下振れするリスクももちろんありますので、予め業績予想を8割掛けしておくなど、ある程度は織り込んでおいた方がよいと思います。


(2)特別損失の発生リスク

 特別損失とは会計用語ですが、具体的には以下のような、通常の営業活動以外の損失を指します。

●固定資産の売却損(不動産などを低価格で売却したときの損失)
●固定資産の減損損失(固定資産の収益力低下に伴う損失計上)
●投資有価証券の評価損(投資用の株式などが価値が低下した場合の損失計上)


 固定資産の減損損失は、例えば飲食店や小売業のように店舗を構えるビジネスの場合、店舗の収益力が落ちたら、資産として計上していた店舗そのもの(不動産、各種設備等)を減損処理しなければなりません。

 過去の記事で取り上げた(5915)駒井ハルテックなどは、まさに減損損失で多額の特別損失を計上しており、業績の下方修正を行っていました。

過去記事『金属製品2社(駒井ハルテック、サンコール)の株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.24』


 下方修正がなされると、その瞬間PERは急激に上昇します(通常は、その分株価が下落するので、元のPERに収れんされますが)。

 減損損失が発生したことで即座に下方修正になるとは限りませんが、可能性は非常に高いでしょう。


 以上、2つのポイントを見てきました。

 PBRやその他の指標にも言えることですが、PERなどの指標を絶対のものと思い込むことは非常に危険です。

 あくまで投資判断の一助になるもの、という認識でいることが大事です。



⑤割安と言えるPERは何倍か? 

 では、 PERは何倍であれば割安と言えるのでしょうか。

 結論から申し上げますと、PER 10倍以上はそれなりにリスクがあると考えます。

 基本的には、各業種の平均PERを8割掛けしたくらいの数値がぎりぎり割安と言える水準だと思います。


 ただ、どれほど平均PERが高い業種であっても、PER 10倍以上ともなると、(現時点の純資産額を仮に0円とした場合)現時点の利益が10年継続して初めてPBR 1倍になる計算なので、やや不確実性が高いと言わざるを得ません。

 もちろん、業績拡大中の企業であればPERが高くなって当然ではありますが、どれほど有望であっても、今後数年間の業績を完璧に予想するのは不可能です。


 僕自身がPERに対して取ることができるリスクはどの程度かと考え、PER 8倍を割安かどうかの目安としておくことに決めました。

 そのため、割安株の分析記事においては、PER 8倍をスクリーニングの基準の一つに入れております。

過去記事『どの株を買えばいいの? 割安株の探し方 vol.1』

 

 ただ、当然業種によって利益率や今後の見通しは異なりますので、各業種によってPERの割安基準は変わります

 個人的にはPER 8倍という基準で全業種に対してスクリーニングをかけて、その後、業種ごとの平均PERと比較しながら各銘柄の割安度を判断していくのが良いと思います。



⑥まとめ

 以上、PERの意味、なぜ重要なのか、注意点及び具体的な活用方法を見てきました。

 注意しなければならないポイントは多いものの、投資判断における重要な指標であることは間違いありません。

 僕はPER 8倍を一つの基準にして銘柄スクリーニングを行っておりますが、皆様も、自分にとってわかりやすい数値を基準にするのが良いと思います。

 今回はPERについて解説してきましたが、今後もROEなどその他の指標についても解説を行っていきたいと思います。

 またお付き合い頂ければ幸いです。



   ※今までの記事はこちら⇒『割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)』

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ここまで読んで頂きありがとうございます。わかりやすく読みやすい文章を心がけて、自分にとっても皆様にとっても投資判断の一助になるように、日々情報発信をしていきたいと思っています。

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