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かぶねこ読書レビュー vol.11

おつかれさまです、かぶねこです。
今回はこちらの本。


✅ 本の紹介

本書は、投資の神様であるバフェット氏も絶賛するほどで「投資家の必読書」と言われているそうだ。著者のハワード・マークス氏は、運用資産800億ドル以上を誇る投資会社『オークツリー・キャピタル・マネジメント』の会長で、その考え方は多くの投資家から支持されている。

まえがきに触れると、これはハワード氏の投資哲学を示し、投資家が適切な判断を下し、落とし穴を避けるのに役立つ思考方法を紹介しており、大きな投資リターンを達成するかという点よりも、リスクをいかに限定するかという点に焦点を当てている。

一番』大切な教えが『20』もあるというタイトルには違和感があるが、投資ではたった1つだけ重要なことなどは存在せず(当たり前だが…)、これらの教えはレンガのブロックを積み上げるように等しく一番大切ということらしい。


✅ レビュー

ハワード氏の投資哲学をいま一度要約してみる。
たぶん、こんな感じではないだろうか。

  • 投資がいかに複雑かを理解すること。

  • リスクを認識・コントロールすること。

  • 本質的価値を見極めること。

オークツリーが理想とするのは、相場が良い時は市場と同等のパフォーマンスを、相場が悪い時こそ市場を上回るパフォーマンスをあげるというディフェンシブな投資ということだそうだ。


📝投資が複雑であること

市場はマクロ的な経済動向、群集心理、更には災害など突発的な事象にも日々影響を受ける。そのような市場に対して、投資家には「知っている派」と「知らない派」が存在するそうだ。

先日、強気の空売りで損失を出した私は「どちら派」か。読みが甘かった、タイミングが早かった、と振り返るのは、「知っている派」の思考パターンなのかもしれない。

この「知っている派」というのは、言い直すと「(未来は知り得ないのに)知っている(と勘違いしている)派」ということだと思う。

知り得ない未来を予測し、観察すれば読みを当てることが自分にはできると思っている。その見解に基づいて投資することに心地よさを感じる。

未来に待っていそうなリターンばかりに目を向け、自分の思惑が当たるはず・べきと信じるのは、典型的な負け思考のパターンだと反省した。


📝リスクとは何なのか

リスクとは何か。リスクは未来にのみ存在し、過去には結果が残るだけであり、つまりは起こる前も、起こった後でさえその大きさは目に見えない。また、投資にも事象のランダム性=『運』が影響する点も軽視されやすい。

『儲かる決断』だったかどうかは結果で分かるが、投資の質(それが『すぐれた決断』なのか、『運が良かった』だけか)を見極めることは、そう簡単ではないという話。

極端に言えば、偶然起こった相場Aに適していたかもしれないが、想定外の出来事が起きた未来Bでは大きな損失を出したかもしれない。

屁理屈のようだが、だからこそリスクは慎重に推定しなければならない。学ぶべきは、取るに相応しいリスクのみを受け入れる力を身に着けなければならないということ。

例えば、急騰銘柄に手を出してしまい失敗する。これは典型的なリスクの見誤りだと思う。同じ1000円のリターンを得るためにも、適切なタイミングでなければ受け入れなければならないリスクも増大する。

だが不思議なことに、このリスクをなぜか軽視してしまう時がよくある。相場が過熱しているときほど、ついに『降伏』し、自分の信念を曲げて多数派に仲間入りしてしまう。そんな時に高リスク低リターンの状況が発生することは、改めて認識できた。

リスクは、投資家の行動が市場に変化を起こすときに生じる。投資家の買いが集中すると、もっと先々に起きていたであろう資産の価格上昇に拍車がかかり、期待リターンが低下する。そして、強気で大胆になり、あまり懸念を抱かなくなるにつれて、投資家は適正なリスク・プレミアムを要求しなくなる。追加的なリスクを負うことで得る見返りが、リスクを取りに動く人が増えるほど小さくなっていくというのは、この上ない皮肉である。

P184

📝 心理要因の悪影響を考慮すること

投資家のリスクが機会損失(強欲)、資産損失(恐怖)の2種類ある、というのは以前触れた通りだ。そして多くの人がこの振り子に翻弄されるのは、感情を持つ人間の性なのだという。

だからこそ、市場が極端になるほど心理的要因が悪影響を及ぼすことをしっかり理解することが重要なのだそうだ。そして本質的価値を強く意識すること。その価値から価格が乖離したときに取るべき行動にこだわること。

不可知な未来を予測することに時間を費やすのではなく、知り得ることを注意深く洞察し、定量的な分析を行う。取るべきリスクのみ積極的に受け入れていくこと。

頭では理解できるが、今の自分はまだまだ心理的要因が邪魔をすることが多いのが現実で、この教えを常に実践できるように努力しなければならないと感じている。

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