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【読書メモ】『硫黄と銀の室町・戦国』

皆さんこんにちは。 『硫黄と銀の室町・戦国』は、日本が14~17世紀に採掘し、東アジアへ大量輸出した硫黄と銀の歴史に注目した著作です。この本は、鹿毛敏夫によって編集され、多岐にわたる専門家が共同で寄稿しています。硫黄と銀の採掘がいかにして東アジア全体の貿易構造に重要な影響を及ぼしたかを、生産から消費に至るまで幅広く探求しています。なぜ『硫黄と銀』という組み合わせなのかも、冒頭で語られています。

本書は三部構成となっており、第一部では硫黄と銀の世界史を扱い、第二部では硫黄山・銀山の考古学的な発掘成果に焦点を当て、第三部では硫黄と銀の産業が社会構造にどのような影響を与えたかを考察しています。特に興味深いのは、サルファー(硫黄)大名やシルバー(銀)大名といった、鉱物資源を巡る人間の奪取や独占の歴史的な側面が詳細に述べられている点です。

『硫黄と銀の室町・戦国』は、どのようにしてこれらの鉱物が日本だけでなく、グローバルな規模で影響を与えたかを解明しています。分析化学のデータを用いた研究や、豊富な文献資料に基づいた議論は、この分野の研究に新たな視角を提供しており、とても勉強になります。

また、鹿毛敏夫の編集により、各章が密接に連携しながらも、それぞれが独立した興味深い話題を提供しています。読者は、日本の鉱業が東アジアの経済や政治にどのように組み込まれていったのかを、多角的に理解することができるでしょう。鉱業の歴史に興味がある方はぜひ手に取ってみてください。

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