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【企業分析】Snap Inc.

SNAP(NYSE)
時価総額:88,290億円

目次
○概要
○業界動向 
○事業、競争力
○CEO、経営者
○売上、決算内容
○今後の見通し 
○直近の株価 

○概要
アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く、写真共有アプリのSnapchatやスマートグラスのSpectaclesなどを開発・販売する多国籍企業である。ユーザーは13歳から34歳の若者をターゲットにしている。2011年に設立。2017年にNYSEに上場。


○業界動向
Smartly.io が世界中のマーケターの方に行った 2021 年の展望についてのアンケート調査をまとめたインサイトを紹介している。74% のマーケティングチームが、予算の 3 分の 1 以上を SNS 広告に費やしている。

・ネット広告の市場規模推移
電通グループは1月28日、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」を発表。同社は、世界の広告市場は、コロナ禍の影響で2020年は8.8%の減少となる見通しだが、2021年には5.8%の成長が見込まれ、世界の総広告費は約5,790億ドルになると予測している。

また、2022年には広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻る見通しで、6.9%の成長により、総広告費は約6,190億ドルになるとの予測が示されている。

2020年は媒体別でデジタル広告が唯一プラス成長だったが、2021年もデジタル広告の2ケタの成長が見込まれる。これを原動力として、広告市場全体が回復軌道へ転換する見込み。

また、世界の総広告費に占めるデジタル広告費の媒体別シェアは初めて50.0%に達する見通しとしている。デジタル広告の内訳として、ソーシャルメディア広告(18.3%増)、検索連動型広告(11.0%増)、動画広告(10.8%増)が大きく成長する見通し。

【国・地域別の成長率予測 資料:電通グループ】

【媒体別のシェア予測(全世界) 資料:電通グループ】


・世界のSNSユーザー数ランキング
SNS(ソーシャルネットワークサービス)のユーザー数は全世界で38億人を突破。また日本国内におけるSNSの利用者数は7,975万人となり、2022年末には8,241万人へ拡大する見込み。

全世界で見た主要SNSのユーザー数トップは27.97億人のFacebook。

続いて20億人のWhatsAppとYouTube、12億人を超えるWeChat、10億人のInstagramが並ぶ。

snapchatの1日当たりアクティブユーザー数推移



○事業・競争力 (画像)

・事業
Snap Inc. では、写真共有アプリ『Snapchat』(スナップチャット)、カメラ付きスマートサングラス『Spectacles(スペクタクルズ)』、アバター絵文字作成アプリ『Bitmoji(ビットモジ)』の3つの製品を展開している。

Snapの主力製品である『Snapchat』は、「Snaps」と呼ばれる短い動画や画像を通じて、友人や家族と視覚的にコミュニケーションを図れる、世界で最も使われているカメラアプリの1つである。「Snaps」はデフォルトで閲覧後に削除されるため、ユーザーは画像を作成して送信する際に、きれいに見せなければならない、完璧に見せなければならないというプレッシャーがない。

Camera(カメラ)
『Snapchat』はカメラ画面に直接開くので、ユーザーは、「Snaps」を作成して簡単に友達に送れる。Snap Inc.やコミュニティが作成した様々なクリエイティブツールを使用して、自分だけの「Snaps」を簡単に作成できる。

Chat(チャット)
『Snapchat』上で友達と交流するときには、ストーリーズの作成や視聴、グループチャット、音声通話やビデオ通話、様々な文脈のステッカーや『Bitmoji』のオリジナル絵文字を使ったチャットコミュニケーションが利用できる。チャットページのコンテンツと順序は、ユーザーと友人や家族との関係を反映している。

Discover(ディスカバー)
ディスカバーは世界有数のメディアと提携し、ナレーション重視のストーリー形式のコンテンツを提供する機能。ユーザーのサブスクリプションや興味に基づいて、パブリッシャー、クリエイター、コミュニティからの最も興味深いストーリーやショーを紹介する。

Snap Map(スナップマップ)
カメラ画面をプルダウンすると、現在地のライブマップが表示され、近くの友達、人気のあるストーリー、OurStoryに投稿された最近のスナップのヒートマップが表示される。 友達が何をしているかを確認し、世界中で何が起こっているかを調べるのに最適な方法としてる。

Memories(メモリーズ)
ユーザーは、作成した「Snaps」を「Memories」と呼ばれる検索可能な個人コレクションに保存することができる。「Memories」を使用すると、ユーザーは保存した「Snaps」から「Snaps」と「Stories」を作成することもできる。

スペクタクルズ
「Snaps」を作るスマートグラス『Spectacles』を使うことで「Memories」を簡単に作成できる。『Spectacles』は、『Snapchat』とシームレスに連携し、人間の視点で動画を撮影できる。

Snapchatは動画や画像を共有できるアプリ。他のアプリと大きく違うのは相手に送った動画像が自動的に消えて見れなくなる点。

動画像を送られたユーザーは最大10秒間、相手の投稿を見ることができ、時間がたつとコンテンツを見ることができなくなる。

それにもかかわらず、「保存されたくないけど友だちと共有したい!」そんな写真や動画をシェアできるということで、10代、20代を中心に爆発的に利用されているサービスである。

また、企業が情報発信として利用する場合は24時間閲覧できる「ストーリー」機能を使うのが一般的。友だちだけでなく、誰でも閲覧できる機能となっています。さらにSnapchatの活用方法は企業からの一方的な発信だけでなく、ユーザーを巻き込んだ活用方法も。

過去のコンテンツを気にしなくて済む気軽さが人気となり、世界のSnapchatの月間アクティブユーザー数は3億8,150万人(2020年1月現在)を突破している。

・ビジネスモデル
Snapは、主に広告を通じて収益を上げている。『Sponsored Lenses』は、Snapの拡張現実プラットフォームを活用して、視覚的に魅力的な3D体験を生み出す。Snap広告では、広告主はユーザーと同じように、サウンド付きのフルスクリーン動画を使ってストーリーを伝えることができる。

Snapでは、自動化された広告購入とキャンペーン管理を可能にするセルフサービスツールの改善に多額の投資を行っている。より洗練されたターゲティング、異なるクリエイティブやキャンペーン属性をリアルタイムでテストして学習する能力を提供することで、広告主の投資収益率を向上させている。Snapの配信フレームワークは、ユーザーのリアルタイムおよび過去の属性とアクティビティに基づいて、任意のユーザーに表示する最適な広告を決定することで、表示される広告の効果を向上させながら、無駄なインプレッションを減らすことができる。

Snapは、広告商品や広告技術を常に開発・拡充している。広告主に強力でスケーラブルな投資収益率を提供するために、Snapの広告技術ロードマップでは、配信フレームワーク、測定機能、セルフサービスツールの改善を中心に取り組んでいる。


・競争力
Snapchat は EC分野 で、規模でなく「差別化」で勝負する : AR試着機能で返品率を抑制
アパレル専門のバーチャルショッピング最大手を買収。
3月第3週、Snapchatはベルリンのソフトウェア企業、フィットアナリティクス(Fit Analytics)を買収した。エイソス(ASOS)やカルバン・クライン(Calvin Klein)をはじめ、1万8000近いブランドの商品をオンラインで扱っており、バーチャル試着機能を提供している企業だ。

今回の買収は、SnapchatのEC分野へ本格的な進出への野望を示しているといえるだろう。ピンタレスト(Pinterest)やFacebook、インスタグラム、TikTok、そして最近ではTwitterもアプリ内ショッピング機能の開発や試験運用を実施している。なかでもSnapchatは、自社でAR技術を構築することに力を入れてきた。小売分野におけるプレゼンスを確立し得る技術だ。

SnapchatがARプラットフォームであることが改めて明言された。事実、1億7,000万人以上のSnapchatユーザーがARを利用しており、ユーザー当たり平均毎日30回前後ARレンズを活用しているとのことだ。

ARレンズを制作・発表する「Lens Studio」では、数万人のクリエイターが存在し、累計100万以上のレンズが発表されている。今回、新たに「Music Lens」が発表され、音楽に合わせたAR効果を楽しめる。

(スナップチャットでの試着イメージ)

レンズスタジオをSnapが開発するARグラス「Spectacles」にも導入。ARソフトウェアとハードウェアをシームレスに統合してきた。 

○売上、決算


1ー3月(第1四半期)決算は、売上高と1日当たりアクティブユーザー数(DAU)が市場予想を上回った。デジタル広告キャンペーンに加え、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の期間に社会的つながりや娯楽を求める消費者が同アプリに目を向けたことが寄与。

売上高は66%増の7億7000万ドル(約830億円)。アナリスト予想平均は7億4400万ドルだった。スナップチャットのDAUは2億8000万人と、前年同期比22%増加し、ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均(2億7540万人)も上回った。

同社によると、4-6月(第2四半期)の売上高は8億2000万ー8億4000万ドルの見通し。アナリスト予想平均は8億2390万ドル。DAUは前年同期比22%増の2億9000万人を見込んでいる。収益性の目安となるEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)については2000万ドルの赤字から収支均衡のレンジを示した。アナリスト予想は130万ドルの赤字。

○CEO、経営者
共同創業者兼CEOはエヴァン・シュピーゲル( Evan Thomas Spiegel 、1990年6月4日 - )。スタンフォード大学在籍中に同じ寮の友人レギー・ブラウンが消えるメッセンジャーのアイデアを思いつき、かつて別のスタートアップで働いた2歳年上の友人ボビー・マーフィーをCTOとして加えてスナップチャットの元となる「ピカブー」を共に立ち上げた。その後、レギー・ブラウンと二人は対立、ブラウンを追放しアプリの名前を現在の Snapchat と改めた。追放後、ブラウンは二人を訴え2014年に177億円を現金で支払うことで両者は和解している。

(2016年にファッションモデルのミランダ・カーと婚約)

○今後の戦略
Snapは、モバイルアプリの世界で競争するために、商品開発、広告技術、大規模インフラを中心に研究開発を行い、最も魅力的な製品を生み出すための技術革新を行っている。

また、世界中のより多くの市場で成長を続けるために、低価格帯のデバイスでのサービスと技術のパフォーマンスを向上させるために多額の投資を行い、通信事業者やその他のインフラストラクチャ・パートナーと協力して、Snapのコミュニティに低コストでサービスを提供している。


○直近の株価
スナップの株価は過去2年で約4倍に上昇。2月23日、2017年の上場以来で初めてのインベスター・デイを開催したが、同社はそこで「今後の数年間」にわたり、50%を超える売上高の伸びが期待できると述べた。これにより、スナップの売上高は2020年の25億ドルから今年は40億ドルに近づき、2024年には100億ドルを突破することになる。同社の売上高は過去3年の間、平均で約45%増加していた。

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