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【企業分析】ブリヂストン

5108 (東証プライム)
時価総額:4.3兆円
株価:6,000円
売上高:4.1兆円
営業利益:4,400億円

事業内容:タイヤメーカー
設立年:1931年
本社: 🇯🇵東京都中央区京橋三丁目1番1号(東京スクエアガーデン)
代表者:石橋秀一(取締役代表執行役Global CEO )
従業員数:12.9万人
主要株主: 石橋財団 10.89%、SMBC日興証券 3.08%、石橋寛 2.98%、日本生命保険 2.5%

概要

株式会社ブリヂストンは、日本のタイヤメーカー。石橋正二郎によって創設され、東京都中央区に本社を置く。日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄。世界最大級のタイヤ製造及びゴム加工会社である。

ブリヂストン本社が入居する東京スクエアガーデン

社名は、創業者の石橋正二郎にちなみ、英語の「ブリッジ」(橋)と「ストーン」(石)を合成したものである。

ブリヂストンは世界ビッグ3の一角であり、幅広い輸送機(乗用車用、トラック・バス用、二輪車用、航空機用、建設・鉱山車両用、農業機械用)の新車及び補修用タイヤを手掛けています。米ファイアストンを傘下に保有しています。

テニス(2020年に撤退を発表)・ゴルフ・自転車等の分野でも事業を展開しています。2019年にオランダの地図大手TomTomからテレマティックス事業を約10億ドルで買収し、タイヤを通じたビッグデータの解析の強化を図っています。従来のタイヤ製造販売事業から、TaaS(タイヤアズアサービス)とよばれる事業モデルへの変革をすすめています。ゴルフボールは、1935年に国産ボールを販売して以降、現在はTOURSTAGE、Newing、Reygrande、ツアーB等のブランドで展開しています。

国内で市販されているタイヤは、基本的にブリヂストン本体から販売会社がタイヤを買って市場に供給しています。販売会社はかつては各都道府県にあったが、経営統合により一部地域を除いて全国1社化された。店舗ブランドとして「ブリヂストンタイヤショップ」「コクピット」「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」を持っています。

売上高の地域別内訳は、日本国内が25%程度で、半分近くが南北アメリカ大陸。

プロダクト・ビジネスモデル

タイヤ部門

乗用車用/トラック・バス用/建設・産業・農業車両用/航空機用/地下鉄用(札幌市営交通)/二輪自動車・自転車用のタイヤ・チューブ。

多角化事業

関連会社の事業

子会社ブリヂストンサイクルで自転車事業を展開する。1950年代にはブリヂストンサイクルでオートバイを製造したこともあったが後に撤退した。日本足袋から独立した経緯から、その後身のアサヒコーポレーション(現:アサヒシューズ)を通じて、ブリヂストンブランドの靴を発売している。

市場動向

ゴム・タイヤ業界の動向と現状(2022-2023年)

経済産業省の生産動態統計によると、2022年の自動車用タイヤの販売本数は前年比1.2%増の1億7,203万本、販売金額は前年比1.2%増の1兆2,323億円でした。

自動車用タイヤの販売本数と金額のグラフによると、販売本数・金額ともに2020年には大幅な減少となりましたが、2021年から2022年にかけて増加傾向にあります。

2022-2023年のゴム・タイヤ業界の動向を見ますと、年の前半は半導体不足の影響から新車向けタイヤの需要が低迷、一方後半に入り車両生産量が回復したことを受け、タイヤ需要にも回復が見られました。トラックやバス向けタイヤにおいても好調に推移しました。

中国ではロックダウンの影響を受けたものの、北米、欧州での販売が伸びており、円安による業績の押し上げ効果も見られました。また、タイヤの原材料となる天然ゴムや原油、ナフサなどは高値圏にありましたが、価格転嫁によりうまく収益をカバーしている印象があります。

一方で、ロシアによるウクライナ侵攻、原材料費の高騰、エネルギー価格の高止まり、半導体不足による新車の生産減、世界的なリセッション懸念など逆風となる要因も複数あります。今後の動向に注意が必要です。

ゴム・タイヤ業界 売上トップ5(2022-2023年)

世界のタイヤ市場シェア

ブリヂストンの世界のタイヤ市場における売上高ベースの市場シェアは12.5%(第二位)となっています。

タイヤ業界の将来性・今後の見通し

2005年時点で国内メーカー4社(ブリヂストン・横浜ゴム・TOYO TIRE・住友ゴム工業)の世界におけるタイヤ市場シェアは約26.5%を占めていました。

そこから2021年にかけて50%アップと著しい成長を見せていますが、2020年時点でシェアが約22.5%まで低下しました。同時期にフランスのミシュランやアメリカのグッドイヤーといった世界のタイヤ業界を牽引する欧米メーカーもシェアを落としています。

その一方、韓国のハンコックや中国の中策ゴム、台湾の正新といったアジアメーカーが台頭し、シェアを伸ばしてきました。

こうした流れから、タイヤ業界は上位メーカーによる寡占状態が崩れてきていることが分かります。また参入メーカーが増えたことで、企業間競争がより激しくなっています。

こうした状況で国内メーカー4社は2010年半ば頃を境に、収益性が低下基調に一転しており、株価の長期的トレンドもおおむね連動して推移しています。

国内市場の見通し

日本国内においては自動車の生産台数が減少傾向にあることから、タイヤ市場も縮小を余儀なくされています。この背景には少子高齢化や、若者の自動車離れが要因に挙げられます。

また終わりの見えない不況により、消費者の目線が品質から価格を重視する傾向が強まっており、その結果、メーカー間の価格競争が激化し収益につながりにくい状況に陥っています。そのため、今後の国内市場では、いかに収益性を確保するかが課題であると考えられます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響も無視できません。2020年は自動車生産台数の落ち込みとともに、タイヤの需要も減少しました。翌年の2021年は昨年の反動増により増加したものの、コロナ発生前の2019年の台数には到達しておらず、本格的な需要回復には時間がかかると見られています。

海外市場の見通し

国内の需要が冷え込む一方、海外市場におけるタイヤの販売数は手堅く上向きに推移しています。その要因は、東南アジアをはじめとした新興国における自動車市場の拡大にあります。

アジアを中心とする新興国の著しい経済発展に伴い、自動車の普及が加速度的に進み、タイヤ需要も増加しています。

しかし、新興国では品質よりも価格が重視される傾向にあり、中国の中策ゴムや韓国のハンコックタイヤといった海外メーカーが順調にシェアを拡大している一方で、高品質を売りにしている日本国内メーカーは需要を伸ばせていない状況にあります。

需要回復の傾向は北米エリアでも見られています。北米各メーカーは次々と低燃費タイヤといった消費者のニーズを汲み取った機能性の高いタイヤを市場投入し、シェア拡大に意欲的です。

業績

2022年度決算

当期のグループを取り巻く環境はCOVID-19を起因とする経済活動制限が多くの国で緩和される一方、長期化するウクライナ情勢や中国でのロックダウンなどを背景とした原材料価格高騰やサプライチェーンの混乱が進行し、インフレが加速したことで、世界経済の先行き不透明感が強まりました。市販用タイヤに関しては、米欧を中心とした景気減速が後々に顕在化し、第4四半期にタイヤ需要も大きく減速する一方、乗用車及び小型トラック用タイヤは高インチタイヤ(18インチ以上)、トラック・バス用タイヤは北米のプレミアムブランドなどの領域での帯要が相対的に堅調に推移しました。

また、新車用タイヤに関しては、当年前半は半導体不足に伴う車両減産影響による需要減少が続きましたが、後半に入り車両生産が回復に転じたことにより、低迷していた帯要に回復の傾向が見られました。

また、コスト面では、地政学リスクを反映した原油価格の急騰に加え、海上運賃単価やエネルギーコスト、労務費などについても高騰が続き、当社グループの収益性を圧迫する要因となりました。

そのような環境下、未曾有の原材料価格高騰とインフレ進行に迅速に対応すべく、各地域における「戦的価格マネジメント」、「プレミアムビジネス戦路」をより一層強化すると共に、グループの強みであるグローバル生産体制を基盤としたフレキシブルな供給マネジメントによりタイヤ需要の変動に機動的に対応し、収益性確保と販売拡大の両立に取り組みました。

それらの結果、当社グループの当期の売上収益は41,101億円(前期比27%増)、調整後営業利益は4,826億円(前期比22%増)、営業利益は4,413億円(前期比17%増)、税引前当期利益は4,235億円(前期比12%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,004億円(前期比24%減)となりました。

なお、親会社の所有者に帰属する当期利益が前期比減少しているは、前期において、米国建築資材事業の譲渡に伴う売却益が計上されたことによるものです。

各セグメントにおける業績は、市販用タイヤに関しては、米欧を中心とした景気減速が後々に頭在化し、第4四半期にタイヤ需要も大きく減速する一方、乗用車及び小型トラック用タイヤは高インチタイヤ(18インチ以上)、トラック・バス用タイヤは北米のプレミアムブランドなどの領域での需要が相対的に堅調に推移しました。また、新車用タイヤに関しては、当年前半は半導体不足に伴う車両減産影響による需要減少が続きましたが、後半に入り車両生産が回復に転じたことにより、低迷していた密要に回復の傾向が見られた結果、以下のとおりとなりました。


当期におけるグループの現金及び現金同等物(以下「資金」)は、全体で2,686億円減少(前期は230億円の減少)し、当期末には5,189億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は、2,685億円の収入(前期比131億円の収入減)となりました。これは、営業債権及びその他の債権の増加額1,396億円(前期は699億円)や、棚卸資産の増加額1,954億円(前期は1,402億円)、法人所得税の支払額862億円(前期は1,477億円)などがあったものの、税引前当期利益4,235億円(前期は3,776億円)や、減価償却費及び償却費2,821億円(前期は2,504億円)などがあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は、3,380億円の支出(前期は1,317億円の収入)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,213億円(前期は1,610億円)などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は3,641億円の支出(前期比152億円の支出減)となりました。これは、短期借入れによる収入2,041億円(前期は947億円)などがあったものの、短期借入金の返済による支出1,825億円(前期は2,203億円)や、長期借入金の返済による支出541億円(前期は1,091億円)、社債の償還による支出400億円(前期は支出なし)、自己株式の取得による支出1,000億円(前期は10百万円)、配当金の支払額(親会社の所有者)1,190億円(前期は1,021億円)などによるものです。

経営者

創業者

同社は、1931年3月1日に石橋正二郎によって福岡県の久留米市で創業。

石橋正二郎

石橋正二郎氏(1889-1976)は福岡県久留米市の出身で、実家は仕立屋をしていた。父の病気により学校卒業後兄と家業を継ぐも、兄が徴兵されてしまい、事実上ひとりで事業を行っていた。

職人の技術に頼るところが大きい仕立屋を疑問に思い、足袋製造に業態を変更。大量生産のための工場を新設し足袋の大量生産や足袋の裏にゴムを張りつけた地下足袋を発明することで急成長する。1931年にはブリヂストンタイヤ株式会社(現ブリヂストン)を設立。

戦後の25年には米国のグッドイヤー社と技術提携し、業界1位のゴムメーカーを築きあげ、38年会長、48年相談役となる。この間、31年石橋財団を設立、32年日本合成ゴム初代社長。また、絵画、彫刻、陶芸の収集家としても知られ、37年にはブリヂストン美術館も開設した。

経営者

石橋 秀一(1954年1月19日 - )はブリヂストン取締役代表執行役CEO。

石橋 秀一CEO

福岡県出身。ブリヂストン創業家の石橋家とは関係がない。久留米大附設高校、静岡大学人文学部卒業。ブリヂストンタイヤ(現ブリヂストン)入社。89年米ファイアストンタイヤ アンド ラバーカンパニー派遣、米ブリヂストン/ファイアストンでは副社長も務め、大規模リコール(回収・無償修理)問題などに直面した同社の経営立て直しに当たる。2003年に帰国しブリヂストン復帰、05年執行役員、12年常務執行役員、14年専務執行役員、16年執行役副社長、19年代表執行役副会長、20年から現職。

石橋氏は、経営改革については、ブリヂストンが掲げる「最高の品質で社会に貢献」という企業理念をベースに90年近い歴史の中で作り上げてきた力を使い、「グローバルで断トツのタイヤゴム会社」から「グローバルで断トツのソリューション会社」になることを目指すという。

 このためにブリヂストンのビジネスプラットフォーム「Bridgestone T&D PaaS」を積極的に活用。これまで培ってきた「断トツのもの作り」「断トツのサービス」「強い現場」をベースとしてデジタル技術と融合させ、社会課題を解決して新しいビジネスモデルを構築。競争での優位性を担保して成長戦略につなげていくというビジョンを明かした。

ブリヂストンでは2012年からCEOとCOOを2トップとする執行体制を採用していること、2013年からはグローバル化を推進するため、グローバル経営執行会議の「Global EXCO」を導入していること、2016年から指名委員会等設置会社に移行している。

株価推移

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