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【企業分析】商船三井

9104 (東証プライム)
時価総額:1.2兆円
株価:3,340円
売上高:1.3兆円
経常利益: 7,200億円
(2022年)

事業内容: 海上輸送、旅客輸送
設立年:1942年
本社: 東京都港区虎ノ門
代表者: 池田潤一郎(代表取締役 会長執行役員)
従業員数: 連結:8,547名、単体:1,098人

概要

日本郵船・川崎汽船と並ぶ日本の三大海運会社の1社、連結純利益、連結売上高および時価総額で国内2位である。 LNG輸送および海洋事業の分野に強みを持つ。

商船三井本社(虎ノ門ダイビル)

商船三井は、三井物産の船舶部出自の三井船舶と1884年に設立された大阪商船とが1964年に経営統合して誕生した日本の海運会社です。1999年にナビックスラインと合併し現在の社名になりました。ドライバルク、LNG、コンテナ分野に強みを持ちます。ザ・アライアンスのメンバーです。

海上コンテナに記される「アリゲーター」印は柳原良平のデザインである。ファンネルマーク(煙突の印)はなく、煙突は橙一色となっている。

プロダクト・ビジネスモデル

海運業界のビジネスモデル

海運業は大きく分けて、2つのビジネスモデルがあります。

ビジネスモデルその1.物資の運搬を主におこなうビジネスモデル

その一つが物資の運搬を主におこなうビジネスモデルです。この種類のビジネスモデルは、さらに細かく2つの種類に分けることができます。あらかじめ決められた航路を定期的に往復するのが定期船で、依頼者の要望に応じて、航路をその都度決定するのが不定期船です。定期船による運搬が利用されることが多いのが、一定の期間ごとに物資を運ぶ必要がある場合です。例えば、ある国の工場で毎月一定の量の製品を製造していて、製造に必要な原料を国外から輸入する必要がある場合には、定期船を利用して一定期間ごとに運搬されることが多いです。不定期船の場合には、大量の貨物を一度に運搬しなければいけないときに、利用されることが多いです。

ビジネスモデルその2.船舶の貸借と売買によるビジネスモデル

海運業界のもう一つのビジネスモデルは、船舶の貸借と売買です。海運のために必ず必要になるのが、物資を運搬するための船舶ですが、どれだけ多くの船舶を準備できるかも、海運業を営む事業者の能力と大きく関係しています。できるだけ多くの船舶を用意できる企業の方が競争力も高くなりますが、自社で所有できる船舶の数には限界があります。そのような場合に利用されているのが船舶の賃貸をおこなう会社で、一時的に利用できる船舶の数を増やすことにより、さらに多くの貨物を運搬できるようになります。船舶のリースのような形で、こうしたビジネスモデルをおこなう海運事業者は安定した収入を得ています。

商船三井は、鉄鋼原料、石炭、木材チップなどを運ぶ各種専用船、原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、自動車船、さまざまな製品を運ぶコンテナ船など、多彩な分野で時代の要請に応える総合輸送グループです。

世界最大級の船隊と、130年余の歴史で培った経験と技術で展開する活動に、国境はありません。私たちは、強くしなやかな企業グループへと常に進化しながら、地球全体を舞台として、世界経済の発展に貢献します。

ドライバルク船サービス

世界最大規模の船隊で、世界の資源を輸送する

鉄鉱石や石炭、木材チップ、バイオマス燃料などの資源から肥料、穀物、セメント、塩、鋼材などの中間財・製品に至る多種多様な乾貨物。その供給のほとんどを輸入に頼る日本への輸送はもとより、世界のドライバルク輸送は経済の発展と国際分業の進展によって、ますます活発化しています。

世界最大規模の船隊を擁する商船三井のドライバルク船(ばら積み船)サービスでは、多様な貨物の輸送に対応できる汎用ばら積み船と、特定貨物の特性と、積み地および揚げ地の状況を考慮して設計・建造された各種専用船で、さまざまな顧客ニーズに応えた安定輸送を行っています。小型から大型までバラエティーに富んだ船型を取り揃え、世界中のさまざまなトレードに柔軟に対応し、高品質な輸送サービスを提供しています。

船舶からの排出ガス規制が国際的に強化される中、商船三井では従来の重油に比べて環境負荷の低いLNGを燃料とする次世代燃料船の開発・研究にも積極的に取り組んでいます。

ケープサイズバルカー「AWOBASAN MARU」

エネルギー輸送サービス

豊富な輸送実績で、エネルギーの安定供給に貢献

世界のエネルギー需要が多様化する中、商船三井は、世界最大級の輸送船隊、豊富な輸送実績とノウハウで、エネルギー輸送のエキスパートとしてグローバルな活動を展開しています。高度な技術力が求められるLNG(液化天然ガス)をはじめとしたエネルギー輸送において、商船三井は、船隊整備の推進と船員の教育・訓練に注力し、ハード・ソフト両面での安全運航体制をもって世界各地への安定したエネルギー供給に貢献しています。

また、FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)やFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)などの海洋事業にも取り組み、エネルギー輸送の豊富な実績を活かして、積極的に事業展開を図っています。

大型原油タンカー(VLCC)「KAZUSA」

製品輸送サービス

高度なネットワークと高品質のサービスにより、多様化する輸送ニーズに対応

新興国の経済成長や、生産拠点の海外移転をはじめとした経済のグローバル化の進展により、世界の物流量は増加しています。商船三井は、グローバルなサービスネットワークで工業製品や一般消費財、自動車などの製品輸送サービスを提供しています。

自動車船輸送においては、半世紀を超える実績を持つパイオニアとして、多様化する自動車メーカーの輸送ニーズと物流パターンに的確に対応したサービスを強みとし、陸送や沿岸輸送、ターミナル運営など地域に密着した高品質で総合的なサービスを展開しています。コンテナ船サービスでは、邦船3社の事業統合によって誕生したOcean Network Express (ONE)が2018年4月にサービスを開始。世界有数の船隊規模と広範なネットワークでサービスの強化を図っています。また、海運のノウハウとグループ各社の機能を活かしてロジスティクス・サービスを提供し、多様化する物流ニーズに対応しています

次世代型自動車船FLEXIEシリーズ1番船「BELUGA ACE」
コンテナ船「ONE COMMITMENT」

関連事業サービス

海運を中心とした総合力を支える、多彩な周辺事業

商船三井は、130年余りにわたり海運業を中心とした経営ノウハウを蓄積してきました。

その蓄積は、曳船(タグボート)、陸運、倉庫、海事コンサルタントなどの海運業関連はもちろんのこと、旅行、ビル賃貸・不動産管理、さらには金融・財務、商事、保険、情報システム、国家石油備蓄事業支援、海図販売など、多彩なサービスメニューとして結実しています。

ビジネスからビジネスを生み出していく、商船三井スピリットの結晶とも言える関連事業群です。

客船「にっぽん丸」

売上構成

事業別売り上げ構成は、ドライバルク船、エネルギー輸送船、コンテナ船の運航が主軸となります。

近年では、海運市況の低迷によって海運指数で運賃の上下動が激しいコンテナ船の売上高を、徐々に不定期船の売上高へとシフトさせています。不定期船では複数年契約や、長期契約の案件が多く、特定の場所から特定の場所へと何度も荷物を往復させる形態のビジネスです。

また、商船三井とは日本のライバル他社と比較しても「海運分野」での売上割合が高く、総合海運企業としての呼び声も高いです。特に船舶数に関しては世界でも最大の規模を誇っています。

商船三井の直近年度の事業セグメントは以下のような構造になっています。

商船三井は最新の決算からセグメント区分を変更し、今回エネルギー輸送というセグメント名が新たにエネルギー・海洋セグメントとなっています。LNG船の業績に加えて、商船三井が唯一参入しているFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)やFPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)がこのセグメントに含まれているため、これが含まれていることを強調したセグメント名に変更したようです。既に3,000億円以上の規模感があるのですね。
商船三井の各セグメントはそれぞれ一定規模感を誇っています。とは言え、その大半は海運事業であるため、現在の好況化では良いものの、再び不況が襲ってきた場合は一気に業績が落ち込む可能性も否めません。

セグメント別売上高・経常利益推移

セグメント別売上高

(*1) フェリー・内航、関連事業、その他
(*2) ドライバルク船(石炭船除く)
(*3) 油送船、LNG船・海洋事業、石炭船
(*4) 自動車船、コンテナ船、フェリー・内航RORO船

セグメント別経常利益

(*1) フェリー・内航、関連事業、その他、調整(全社・消去)
(*2) ドライバルク船(石炭船除く)
(*3) 油送船、LNG船・海洋事業、石炭船
(*4) 自動車船、コンテナ船、フェリー・内航RORO船


直近のM&A(合併買収)


コンテナ船やロジスティクス分野の強化を目指したM&Aを行っています。

1999年 大阪商船三井船舶とナビックスが経営統合
2019年 化学品船団の拡充のためノルディックタンカーズの買収
2021年 ダイビルと宇徳の買収
2021年 メタネックスの子会社(Waterfront Shipping)の取得の検討

企業の方向性

続いて、商船三井の方向性を見ていきましょう。商船三井は2022年に入り、不動産を手がけるダイビルと港湾運営の宇徳へのTOB(株式公開買い付け)を成立させました。非海運事業への投資を本格化させポートフォリオの多角化へ本格的に舵を切り出しています。

また、インド事業への投資も面白い独特の動きになります。このインド事業への投資についても、輸送にとどまらない大型案件の創出ということが意図としてあるようです。なかなか簡単にはいかないと思いますが、チャレンジなくして新たな事業は立ち上がりませんので応援したいと思います。

商船三井の投資方針についても見ていきましょう。商船三井は2022-2024年の3年間で総額1兆円の投資を行うと発表しています。単年に割り返すと3,000億円強になり、日本郵船と比較すると積極的な投資姿勢が見て取れます。1兆円の内7,300億円が新規投資ということで、ポートフォリオ多角化の意向がここでも色濃く発揮されています。

商船三井は日本の海運会社としては先駆け的にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を立ち上げており、スタートアップへの投資も加速しています。企業風土としても非常にアグレッシブにチャレンジし、それを許容する会社であると言えるのではないでしょうか。

商船三井のポートフォリオ戦略としては、2021年度の非海運事業実績約140億円から、15年後の2035年度に600-800億円規模の事業レベルまで引き上げていく方針です。もちろん海運事業も成長する可能性はありますが、海運は市場規模が何倍も拡大するほどの成長産業ではないため、非海運事業が5倍以上の規模感になれば、自ずとパーセンテージも上がってくるはずです。しかし、15年で今の総売上高の10%にも満たないわけですから、新規事業は一筋縄ではいかないと言えるでしょう。

市場動向

海運業の社会的意義

海運業は四方を海に囲まれ、多くの製品を国外から輸入している日本において、非常に重要な役割を担っている業界です。

私たちの身の回りにあるものの内、海外からの輸入品、例えばスーパーマーケットに並ぶ肉や果物、衣服、靴やバッグ、家具や雑貨、電化製品、日々読む本や新聞用紙の原料である木材チップ、電気をつくるエネルギーとなる石油、石炭、天然ガスは、ほとんどが船によって運ばれています(輸出入に占める重量ベースの割合は99.6%)。

海運には、他の輸送手段に比較して重量・距離当たりの輸送コストが格段に安いという特長があるため、太古の昔から大量・長距離輸送を担ってきましたし、インターネットやスマートフォンが広く普及した現在でも、実際の輸送は船が担っています(一部の高級品や至急の貨物を除きます)。

また、国内輸送においても、ドライバーの高齢化や人手不足などを背景に、貨物車を丸ごと載せて長距離輸送を行うフェリー等の役割が大きくなってきています。

商船三井の130年を超える歴史は、近代海運の歴史そのものです。変転する事業環境に対応して自らを変革しつつ、拡大する海上荷動きに応えて貨物を輸送することで、世界経済の発展に寄与し、人々の暮らしを支えてきました。次の130年もグローバルにモノを運び続けることによって、新たな価値を創造していきます。

伸びる世界の海上荷動き


出所:荷動き実績はFeamley・Clarksons、人口の実績・予測は国連。
将来の荷動き予想は、過去60年間の一人当たりの荷動き量増加トレンドが将来に亘って継続すると想定した推計。

2050年予想

世界人口は約97億人と予想されています(国連推計)。経済が発展し、人々の生活が豊かになるにつれ、一人当たりの海上荷動き量は今後も増加していくと考えており、2050年の世界の海上荷動き量は約150億トンに達すると予想されています。

世界の海上荷動き量は、今後も人口の伸びを上回って成長していくことが予想されます。

出所:Clarksonを元に商船三井作成

商船の種類と商船三井の船隊

船は、多様な物資を効率良く輸送するという使命を果たすために進化してきました。従来は様々な貨物を合積みする汎用貨物船が主体でしたが、徐々に船の専用化が進展し、石油を運ぶ油送船(タンカー)、鉄鉱石・石炭や木材チップを運ぶばら積み船(ドライバルク船)、衣類や日用品、家電などの工業製品をコンテナに入れて運ぶコンテナ船、完成車を運ぶ自動車船、天然ガスをマイナス162℃で冷却・液化して運ぶLNG船というように、それぞれの貨物の輸送に最適な構造をした船が開発されてきました。また、旅客を運ぶ船には、乗用車・トラックを一緒に運べるフェリーや、船旅自体を楽しむためにプールや映画館など様々な施設を備えた客船があります。

さらに最近では、船を輸送のためではなく、特定の場所に浮かべて活用する「浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)」や「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)」、沖合での資源開発を支えるサブシー支援船等も加わっています。

商船三井は、上述の様な多種多様な船をグループで約800隻の規模で運航しています。これにより、ある種類の貨物の荷動きが景気や世界情勢によって一時的に減っても、それが会社全体の収益力・財務基盤に与える影響を限定しています。商船三井は、世界最大級、かつ多角化された事業ポートフォリオを有する総合海運会社と言えます。

世界主要海運会社の船隊規模(全船種)

出典:各社公表値(2022年5月調査時、各社最新数値), Clarksons(一部推定)

海運業の産業特性

海運業の特性として、新たに船を発注しても市場に供給されるのが2~3年後という点が挙げられます。よって、世界の荷動きが活発になり現存する船で運びきれなくなっても、直ぐに新造船が供給されることはないため、運賃・傭船料は高騰します。逆に、荷動きが停滞・減少して船が余る状況になっても、船主が船の係留や廃船をしない限り供給は減らず、運賃・傭船料は下がります。こういった意味で、海運業は世界経済の様々な変動要因の影響を色濃く受ける市況産業です。

一方で、海運が市況産業であるがゆえに、運賃や傭船料の市況変動リスクを抑制したいという顧客のニーズは存在します。特に、電力会社や製鉄会社など、一定量の燃料や原料を継続的に必要とするお客様においては、信頼できる海運会社と長期に安定したコストで輸送契約を結びたいというニーズがあります。海運会社側としても、高価な資産である船に投資する上で、長期に安定した収益を生む契約を結ぶことができれば確実な投資回収を見込むことができるため、win-winの契約と言えます。

同社では、2年以上の中長期契約から生まれる利益を「安定利益」と呼び、経営の基盤として更なる積み上げに注力しています。安全運航の実績や財務基盤、そして最適な船型やサービスを提案する力を活かし、様々な業界にわたる有力な顧客と多数の長期契約を保有しています。

長期安定成長を目指すポートフォリオ

船は大きければ大きいほど良いのか?

大量輸送による経済性の追求と商船三井の戦略

海運の歴史は船の大型化の歴史でもあります。大量輸送により重量・距離当たりの運航コストが下がることは、海運会社・お客様双方にとってメリットとなるからです。パナマ運河やスエズ運河などを通航し船の全長や深さに制限を受ける輸送ルートではその制限一杯まで、それ以外の場合は更に大幅に、ほぼ全ての種類の貨物船で大型化が進展しました。同社も、20フィートコンテナを2万個積載できる、世界最大級のコンテナ船6隻を2017年にアジア/欧州航路に就航させました(注)。

(注) 2018年4月以降、コンテナ船は持分法適用会社Ocean Network Express社が運航。

20,000TEU型コンテナ船

一方、大型化が常に合理的な選択であるかと言えば、必ずしもそうではありません。寄港が想定される港の大きさや、海峡を常時通航できるかどうかといった観点から、大型化によるメリットと汎用性確保のメリットを慎重に比較して船型を決定する必要があります。例えば、自動車船において、一般には大型化が進展していますが、当社は積台数を6,800台に増やしながらも、外形としては従来の汎用船型である6,400台積と同じサイズの新造船を整備し、2018年から順次竣工しています。自動車メーカーの世界最適地生産の潮流を踏まえ、同一サイズで船隊を組むことによる柔軟性の確保を優先したのです。

顧客の利便性を考えてあえて大型化を選択しない場合もあります。同社は、顧客の立地港ごとにカスタマイズされた鉄鋼原料船を開発し、積載量と利便性の最適解を志向しています。

市況以外のリスクと商船三井の安全運航体制

海運業における市況以外のリスクとしては、為替や燃料油価格等の変動を挙げることができますが、お客様や社会からの信用にも影響を及ぼし得るリスクとして、船舶運航上のリスクがあります。大洋を航行する船舶は荒天などによる海難事故や海洋汚染を起こすリスクと無縁ではいられません。また、航路によっては戦争、テロ、海賊などに遭遇する地政学的リスクにもさらされます。

例えば、中東から日本などアジア諸国向けの原油は大型タンカーで約3週間をかけて運ばれてきますが、様々な紛争や政情不安、海賊遭遇のリスクがある海域を通過します。荒天遭遇ということでは、「スーパー台風」などの異常気象が年を追うごとに激しさを増しています。このような環境のもとで安全に貨物を輸送し、お客様と社会の信用に応えるには、警戒のレベルを一層上げる必要があります。

商船三井は独自の取り組みとして、全運航船の位置・動静や気象・海象情報等をリアルタイムにモニターし、本船や陸上関係者に伝える安全運航支援センター(SOSC)を設置しています。海技者2名(うち1名は船長経験者)が常駐し、365日24時間体制で、荒天・津波などの気象・海象情報や、海賊・テロなどに関する情報を把握し、「船長の視点」で本船や陸上関係者に連絡することで、世界のあらゆる海域で航行する800隻を超える当社グループ運航船の安全運航を支援しています。高度化する船舶機器を操作する機関士がマニュアルにない現象に遭遇した時や、船長・航海士が想定外の異常気象に遭遇した際に、当社での乗船履歴が長い船長経験者の知見や判断が、大きな力となります。

今日、政情不安や異常気象といった不確実性が増す一方で、LNG船に代表されるように輸送技術は高度化しています。「船長を一人にしない」をスローガンとする商船三井の安全運航支援センターは、海上で働く船員を強力にサポートし、日夜、当社運航船の安全運航を支えています。

【4ゼロ】
“世界最高水準の安全運航”を目指し、商船三井が掲げる継続的目標。
重大海難事故・油濁による海洋汚染・労災死亡事故・重大貨物事故をゼロにすること。
安全運航管理センター(SOSC)

業績

下記は商船三井の売上高・営業利益・経常利益・最終利益の推移です。

厳しい業績が続いていましたが、2022年3月期は大きく増益で過去最高を更新。2023年3月期は更に増収・増益見通しとしています。

配当情報

2023年3月期の予定年間配当:560円
予想年間配当利回り:17%

年間配当利回りはかなり高いです。

配当金の推移

下記は商船三井の配当金推移です。配当権利日は、9月(中間配当)と3月(期末配当)です。

2022年3月期は大きく増配、2023年3月期も増配予定としています。

配当性向は2022年3月期が20.3%、2023年3月期の予想が約25%です。

今後について

2022年3月期はコンテナ船運賃の上昇により業績が急速に改善、年間配当も大きく増配しました。2023年3月期は急激な円安進行の影響で、運賃・貸船料等の収益が大幅に上振れています。

短期的な好調さ

コンテナ船運賃の高騰が続き、多くの海運銘柄が好調。2023年3月期も好調な業績が続くと見られています。業界再編もあり競合が参入しにくいので競争が起こりにくいのも好調な理由の一つです。

リスクについて

短期では好調ですが、今後もし荷動きが鈍くなり・需要が減少した場合は業績が落ち着く可能性があります。

また、新造船が増加した場合は供給過剰になり、運賃が低迷する可能性もあります。コンテナ船の他、専用船、タンカーなど事業は「海運業」なので、燃料費や運賃などの影響を大きく受ける可能性があります。

配当について

大きく増配し高配当利回りであることも株価上昇の要因の一つと考えられます。2023年3月期も高配当予定ですが、仮にある程度業績が落ち着いた場合は、配当が減る可能性が高いです。

経営者

商船三井の歴史

商船三井の歴史は、1878年に鉄製蒸気船「秀吉丸」で三池炭の海外輸送(口之津ー上海間)を開始し、1884年に大阪商船が設立されてから始まります。
それから130年以上にわたり、日本の、そして世界の海運をリードしてきました。

社長 橋本 剛氏

商船三井は、橋本剛副社長(63)が2021年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。池田潤一郎社長(64)は代表権のある会長に就く。

橋本氏は液化天然ガス(LNG)運搬船などエネルギー畑を長く歩み、ロンドンなど海外での経験も豊富だ。池田氏は15年に社長に就任し、コンテナ船事業を日本郵船、川崎汽船などと統合する構造改革を進めた。

橋本剛氏(はしもと・たけし) 82年(昭57年)京大文卒、大阪商船三井船舶(現商船三井)入社。15年取締役、19年副社長。東京都出身

株価推移

株価は長期に渡り厳しい状況でしたが、2021年から大きく上昇。2021年9月末、2022年3月末、9月末は配当権利落ちで一時大きく下落しています。

また、大きく株価が上昇した影響で2022年3月31日を基準日として1株を3株に株式分割しています。

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