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陽キャ、うつになる


「うつですね」

状況を冷静に説明したいのに、涙がとめどなく溢れて止められない。
そんな明らかに「普通」ではない状態のわたしに下された病名。

「え。私って、ウツなんですか?」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で発した言葉はなんとも間抜けに診察室に響いたし、『先生ってこんなにおじさんだったのか』とその日初めて目があった先生の顔を見て失礼ながらそんなことを思ったりもした。
自分でもなんか変だなと薄々感じてはいたけれど、いざうつと診断されるとちょっと信じられない気持ちになってしまった。ショックよりも驚きの方が大きかった。

診断後部屋を移動するように言われると、そこから心理テストや血液検査を行い、最後に「うつ」と書かれた診断書をもらって病室を出た。
お会計は1万円を超え、予想以上の金額にうつと診断された時以上にびっくりしてしまった。

診断結果と受診料のあまりの高さに放心状態でなんとか家に帰り、とりあえず家族に連絡しないとと父親に電話をした。(旦那には診断後すぐに連絡済)『まさかうつなんてな、びっくりするだろうな、心配させちゃうかな』なんて考える気力も体力もなく、『驚かせないよう本題から入らず、気持ちの準備ができるよう少しずつ小出しに伝えていこう』なんて気も配ることもせず、開口一番まっすぐに伝えた。


「お父さん、私、うつになった」



「どしてん、おもんないジョークやの」


…びっくりした。
これが娘からうつになったと告げられた父親の第一声なのだろうか?
いや、でも、ほんとそうなのだ。うつ?誰が?え、私???????
まてまて、絶対私そんなキャラじゃないだろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
そう、そんなキャラじゃない。少なくともこの時はそう感じてしまっていた。
だから先生からうつだと言われた時も豆鉄砲食らった鳩のように間抜けな反応をしてしまったし、うつと診断されたことを父に電話で伝えた時もどこか他人事のようにサラッと伝えてしまった。自分に起きた事という実感が全く湧いていなかった。

じゃあうつになりやすいキャラって何だよと言われたらそれは分からない。
けれどうつと診断されて3ヶ月経ち、少しずつ自分と向き合う時間を作れるようになってきて初めて、誰だってなる可能性があるということに気づけた。が、とにかくこの時はこう思った。
「うつになるなんて私のキャラじゃないだろ」と。


私のキャラ。
色々あるが、周りから一番多く言われてきた言葉が「陽キャ」や「ウェイ系」だ。

いわく、私は人が好きで何かを企画してみんなで集まるのが好きな、思い立ったら即行動の怖いもの知らず。嘘はつかないがついつい物事を多少(いやかなり?)オーバーに伝えて周囲を盛り上げるムードメーカー。目立つことも好きで、人前でも堂々としているから矢面に立ってプレゼンするのなんかも得意な奴。に見えるらしい。

確かに思い当たる節はある。
物事をちょっぴり(?)大袈裟に伝えて周りを盛り上げて悦に浸ることがたまに(いや頻繁に…?)あるし、インドアよりアウトドア派でフットワーク軽くどこへでも行くし、一人より人とわいわい過ごしてる方が好きだ。

少し(いやかなり?)控えめに書いたがこんな性格だもんだから、父のあのセリフである。

「どしてん、おもんないジョークやの」

大阪出身の父親の口が悪いことは今回は触れないでおくが、それにしたって酷い一言。うつと診断された人に向けて放っていい第一声では絶対にないだろう。でも、その後カミングアウト(?)した友人や上司たちも父ほどではないとはいえ似たような反応をした。冗談だと思ったのだ。『だって好きなものは好き、嫌なことは嫌と言ってあんなに自由にノー天気にやってきていたのに、本当に?』と。そんな風に顔に書いてあるような気がした。


うつと診断されたのは今年の1月中旬で現在は休職中の身。
診断日から今日までの約3ヶ月間、恐ろしいほどあっという間に時間だけが過ぎ去ってしまった。

今現在、日々の中で感じている気持ちは主に
3位:無気力感
2位:敗北感
1位:焦燥感

ここ最近1位と2位の順番が入れ替わった。
うつと診断された当初は『自分は嫌なことから逃げたんだ』という敗北感が大きかったが、3ヶ月の月日の中で『このままでいいのか、この先どうするのか、社会復帰できるのか』という焦りの気持ちがだんだん大きくなり、つい最近順位がひっくり返った。

あまり大きな声では言えないが、『長いお休みがもらえてちょっとラッキーかも』と時々感じる。当たり前だけど明日の仕事を考えて憂鬱な気持ちになることもない。そんな時は少しだけ解放されたような気持ちになる。まぁそんなのは一瞬で、またすぐに焦燥感やら敗北感やらが襲ってくるのだけれど。

今の所日々の感情の中に「陽」を感じさせるものはランクインしてこない。もちろんさっき書いたようにラッキーとか解放とかちょっとホッとするみたいな感情は生まれる。けどそれはエネルギーに変わるほど力を持つ感情ではないような気がする。

「今は充電期間だから、余計なことは考えずにゆっくり休むように」
「せっかくだから好きなことして楽しみなね」
「この機会に、新しい事やってみたら?」
この期間にたくさんかけてもらった言葉たち。

「ゆっくり休む」「好きなことをする」「楽しむ」「新しいことをする」
どれも休職に入る前、心から望んだものたちだった。時間ができたらやってやると思ったものたち。
時間が余るほどある今、そのどれもできていない。(3ヶ月も経っているというのに!)

でも、確実に診断された1月よりも変化は生じてきていると感じるし、その結果がこのnoteなのだと思う。まだ何を書くべきかもどう書いたらいいのかも全く分からないけれど、うつになる前後の気持ちやきっかけ、周りが見ていた私と本当の私のギャップ、そもそも本当の私とはなんなのか?なんかをここに書いていくことで見つけていけたらいいなと思ってる。日記のような観察記録のような、いやただの愚痴の吐き溜め場所になってしまうかも、、、。

あまり暗くなりすぎないように書いていきたいなと思っているし、同じように日々考えたり悩んだりしてる人と繋がれたりできたらいいななんて思ったりもしています。元陽キャ(?)のうつ病日記です。みなさんこれからどうぞよろしく。

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