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1インチセンサー搭載! 「AQUOS R7」のカメラ機能を使い込んでみた(コンデジとの比較も!)<家電批評/豊田慶記>

シャープから5月に1型センサー搭載のAndroidスマートフォン「AQUOS R7」が発表され既に発売されています。今回は高級コンパクトデジカメと同じ1型センサーを搭載するスマホってどうなの?というカメラ用途目線でチェックしてみたので、参考にしてください。

検証・テキスト・写真:豊田慶
大手メーカーでカメラ開発に携わった経験をもつ写真家。現在はWebやカメラ誌などで活動中。車とカメラ好き。Twitter:@PhotoYoshik 一部の製品写真:編集部

ASQUOS R7の外観

シャープ AQUOS R7とは?

本機は2021年に登場したAQUOS R6の後継モデル。R6も1型センサーを持つスマホで、兄弟機に「Leitz Phone1」といういわゆるライカのスマホが登場したことで話題になりました。本機もR6と同様にライカと協業でカメラをチューニングしています。

AQUOS R7。レンズには「LEITZ SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」と誇らしげに書かれています(撮影:fort)

AQUOS R7の取り扱いキャリアは本稿執筆時点でドコモとソフトバンクの2つですがeSIMに対応しているのでキャリアの呪縛からは開放されていると言えます。なお、ドコモはこれまでAndroid機のeSIM対応には消極的で「ドコモ版だけeSIM非対応」というモデルばかりでしたが、AQUOS R7はドコモで買ってもeSIMが使えます!

R6からの変更点を簡単にまとめました。

eSIM対応のほか、ストレージ容量が倍となる256GBへ、基本性能を左右するSoCもより強力なものとなり、2022年モデルのハイエンドスマートフォンとして抜かりのない仕様です。カメラ部については、背面のメインカメラが約2,020万画素から約4,720万画素へと倍以上の画素数に増加。一方、セルフィーなどで使用するフロントカメラは従来機と同じ約1,260万画素となっています。

イメージセンサーも型遅れから最新仕様にアップデート

イメージセンサーについて細かい事を言えば、従来機のAQUOS R6が採用していたのはデジカメ由来のセンサーで、本音を言えば「型遅れのセンサー」です。1インチセンサーであるため、画質は申し分ありませんが機能面で物足りないところがありました。例えば、使い勝手に影響するAFはコントラストAF方式で速度や検出力に課題があったのです。

一方、R7ではモバイル機向けの最新センサーが採用されたため、画面全域で像面位相差AFによる高速なAFが可能とっています。さらに、読み出し速度も向上したため、記録時間が連続で最長1分に制限されるものの、8K記録も実現しました。また、4画素を1つとして取り扱うことで1画素辺りの受光面積が実質的に拡大(R6比で約1.8倍に)されており、高ISO感度にも強いという特徴をあります。この仕組みにより通常時は高感度に強くデータ量が軽くてストレージも圧迫しない約1180万画素、ハイレゾモード時には約4720万画素という使い分けも可能になりました。

レンズについては評判の良かったR6からの引き継ぎとなっていますが、レンズカバーのコーティング処理が変更になり反射が60%低減しています。これが写りに与える影響があるのか、気になるところです。

ちなみにR6より以前にも1型センサーを採用したスマホが存在しました。日本国内では2015年に2000台限定で販売されたパナソニック「CM1」(有効画素数2010万画素)がそれにあたります。CM1のキャラクターは、どちらかと言えば「通話も出来るカメラ」というもので、軸足はあくまでもカメラでした。AQUOS R6やR7のキャラクターは「写真が得意なスマホ」になるかと思います。

超ワイドなレンズをクロップして撮影する仕組み

メインカメラは19mm相当でF1.9のレンズが採用されています。通常時はこちらをクロップ(カメラ表記上は1.0倍)して約27mm相当で運用するのが基本。設定から基本を0.7倍からにすることも出来ます。ズーム倍率は最高で6倍まで。光学ズームではなくトリミングによるデジタルズーム方式なので特に3倍を超える倍率で撮影すると塗り絵のような妙な描写になってしまいます。こういったシーンでは複眼式のスマホか光学ズームを持つデジカメの方が画質的には優れていますが、メモ代わりであればさほど気にならないとも思いました。また画角を変更しても出力サイズは約11.8MPで一定です。

直接比較したわけではありませんが、従来機であるR6と比べて特に周辺部の画質が大きく改善されているように見えますので、生産上の改善があったか、画像処理技術でカバーしているのかも知れません。

画質はAQUOS R7のディスプレイで鑑賞する限りにおいては、申し分ないように思いました。

0.7倍(19mm相当)撮影:豊田慶記
1倍(27mm相当)撮影:豊田慶記
3倍 撮影:豊田慶記
6倍(WebサイトやSNSで縮小表示している分には実用的な画質です)撮影:豊田慶記

AQUOS R7のカメラ機能をチェック

AQUOS R7にはさまざまな撮影モードを実装されています。代表的なものをチェックしてみました。

ハイレゾ撮影:解像感のアップは期待できない

通常時は約1180万画素出力ですが、カメラメニューのその他からハイレゾを選択することで約4720万画素出力も可能です。

実際に撮り比べてみたところ、たしかにデータ量は増え、写真を大きく取り扱うことができますが実写してみると「ハイレゾ」という名称から期待するような、解像感がアップするといった機能ではないように感じます。ただし、プリントする場合には画素数が大きい方が有利なことも多いので、A3ノビ以上の大きなサイズにプリントしたい場合にはハイレゾモードで撮るのが良さそうです。

こちらの写真を4720万画素と1180万画素で撮り比べました(撮影:豊田慶記)
ピクセル等倍で拡大視野のがこちら。左が4720万画素です

HDR撮影:肉眼に近い再現が期待できる

イメージセンサーが刷新されたことで可能となった機能のひとつがHDRです。iPhoneなどでは既にお馴染みの機能で、見た目に近い階調性で撮影ができます。通常のカメラモードで撮影する際にはカメラAIが判断しHDRモードに自動で遷移します。HDR記録の場合にはUI上にHDRマークが点灯します。
特に、明暗差の極端なシーンでその効果が分かりやすいので、薄暗い部屋から窓を撮ってみました。HDRを効かせずに撮ると窓のハイライトが白飛びしていますし、窓のサッシも黒つぶれ気味ですが、HDRでは肉眼に近い再現になっているので、見たままを記録するという意味ではとても優れています。一方で写真らしいメリハリのある再現性に慣れているとHDRの画像は少し違和感があるかと思います。

通常モードで撮影(撮影:豊田慶記)
HDR撮影(撮影:豊田慶記)

ポートレートモード:挙動や色再現に疑問が……

メインカメラのポートレートモードはズーム倍率が1.5倍で固定となり、セルフィ用のフロントカメラでは倍率が変更出来ます。ぼかし量と美肌量を選択できますが、今回はデフォルトの5:5で撮影しています。

通常撮影(モデル:大川柚・撮影:豊田慶記)
ポートレートモードで撮影。画角が変わっています(モデル:大川柚 撮影:豊田慶記)

撮影時はスムースに被写体を認識してAFしてくれるので快適でしたが、連続で撮影しようとすると2コマ撮影時点で挙動が怪しくなり、遅延や操作を受け付けなくなったりしました。その後は筐体の左上が加熱し熱警告が出て強制終了。1枚だけ撮るのであれば不都合はないかも知れませんが、ちょっと嬉しくない挙動です。

発熱でカメラ機能が停止するスマホはAQUOS R7だけではありませんが、望ましくない挙動であることは間違いありません
人物を認識しているはずなのですが……

撮影した画像をAQUOS R7のディスプレイで見る限りは階調再現は肉眼に近く、ボケ感はとても自然でスマホの機能としてはかなり優秀だと感じました。スキントーンについては好みがあると思いますが、筆者としては「結構キレイ」という評価です。またディスプレイの輝度が非常に高く炎天下でも見栄えは良好でした。

ところが、キャリブレーション済みのiMac27インチ(5Kディスプレイモデル)で鑑賞してみたところ、スキントーンに対する印象は急転。不健康そうな肌再現なので正直イマイチです。ヘアカラーについても「そんな色じゃなかったよね??」と。色再現についてはスマートフォンで鑑賞することに特化したチューニングかも知れませんが、カメラのチューニングをライカが担当しているとアピールされていますし、正直な気持ちを言えば疑問が残るチューニングです。

デジカメとしてR7でスナップ撮影! 素晴らしい写りに驚かされた

R7はデジカメとして使えるのか?はカメラファンとして気になるところであります。ということで8月の炎天下撮影に何日か撮影してみました。

(撮影:豊田慶記)
夜景の定番スポットといえる東京駅。ピクセル等倍で見ない限り、不満はありません(撮影:豊田慶記)

作例を見る限り、写りは見事としか言いようがありません。夜景画質も文句なしです。特に通常のカメラモードでスナップ撮影をした感想は上々です。従来機であるR6と比べてAFが高速かつ正確で非常に快適でした。ディスプレイも美しく輝度も十分なので、真夏の日中であっても構図の確認は容易です。ただしスマホを裸で運用する場合には手が滑ってしまいそうでハラハラしました。何かしらのカバーがフィンガーリングがあると良さそうです。

大型で高価なスマートフォンなので撮影中の落下は心配になります(撮影:豊田慶記)

マニュアルモードの撮影では不具合が目立つ

しかし、マニュアルモードで撮影したところ、印象が悪化してしまいました。気になったのは不具合の多さ。テストしたのが8月の炎天下ということが影響しているのか、はたまたRAW記録が悪さをしているのかは不明ですが、連続で2枚3枚と撮影していると書き込み時にハングアップするシーンが何度もありました。フリック操作やタッチ操作のレスポンスも悪化しがちです。通常モードでも操作レスポンスが悪化するシーンはありましたが、マニュアル撮影モードでは顕著。さらに、撮影データに影響もあり、RAWデータのホワイトバランスが破綻していたり、連続で撮影すると後の方のコマが記録されていなかったり。

RAWデータのホワイトバランスが破綻することもありました……
写りそのものは、スマートフォンで撮影したとは思えません(撮影:豊田慶記)

ハングアップについて言えば、半日の撮影で30回以上発生しその度にカメラアプリを再起動したり、それでも改善しない場合はスマホの再起動をしています。
ポートレートモード時の熱暴走のような挙動もありますし、正直なところ完成された製品として発売されているとは思えない未熟さだと思いますし、20万円に迫ろうかという価格を考慮すると、私個人の意見としては全く納得出来ない仕上がりです。

操作性について、R6と比べてUIなどが刷新され扱いやすくなってはいますが、iPhoneなどの直感的なデザインに慣れていると少々扱い難いという評価になります。またズーム操作や撮影操作に対してスマホの反応が遅かったり、撮影後にモードを変えようと思っても暫く反応してくれないなど、操作レスポンスに関する快適性はイマイチですが、これはR7をカメラとして扱った際の見解でスマートフォンのカメラ機能として解釈すれば許容範囲とも言えるでしょう。

繰り返しになりますが通常のカメラモードで撮るにおいては熱暴走や処理落ち以外のトラブルは少なく、マニュアル撮影モードやハイレゾなどの特殊なことをやろうとすると不具合が頻発する、という状況でした。

AQUOS R7で撮影(撮影:豊田慶記)
AQUOS R7で撮影(撮影:豊田慶記)

1インチのコンパクトデジカメと比較してみた

比較したキヤノン PowerShot G7 X Mark III(撮影:fort)

同じく1型センサーを搭載するデジカメと比べてどんな違いがあるのか?を簡単にチェックしてみました。
比較対象は2019年の8月に発売されたキヤノンのPowerShot G7 X Mark IIIです。こちらのカメラは約2,010万画素のセンサーを採用し、24-100mm F1.8-2.8相当という大口径の光学ズームレンズを搭載。それでいながら、ポケットサイズに収まるまさにコンパクトなデジカメです。

1.高感度:AQUOS R7も大健闘

レンズが異なりますのでパースの付き方が違うことはご了承ください。作例はISO1600で比較してみたところになりますが、やはり画質という点ではデジタルカメラが優れているように思いました。

G7 X Mark IIIはイメージセンサーをはじめとするデバイスの世代は古いものの、画像設計など画質に関わるノウハウではR7を大きくリードしているようで「餅は餅屋だな」と感じました。

ただし、ISO1600よりも低い感度設定であればほぼ同等の画質をR7も持っていることも事実です。R7のレンズは開放F1.9と明るくISO1600以上の感度設定を常用するシーンはあまり無いと思いますので、実用上でデジタルカメラと同等の高感度画質がある、と評価しても良さそうです。

AQUOS R7:ISO1600で撮影した写真(撮影:豊田慶記)
PowerShot G7 X Mark III:ISO1600で撮影した写真(撮影:豊田慶記)

2.ポートレート:スマホもデジカメも一長一短

どちらもポートレートモードで撮影してみました。画角はR7のポートレートモードに併せてあります。

G7 X Mark IIIのほうが写真的な再現ですが見た目との乖離があり、特に明度やコントラストの再現性ではR7の方が肉眼に近い再現が出来ていますが、スキントーンの表現ではG7 X Mark IIIの方が自然で健康的です。R7は不健康というか人工的な色合いで不自然です。

AQUOS R7のポートレートモード(撮影:豊田慶記)
PowerShot G7 X Mark III(シーンモードのポートレートを適用)撮影:豊田慶記

背景のボケ感はR7のほうが大きくポートレート感が強調されていますし、ヘアスタイルについてはHDRによって階調よく再現されていますが、やはり色味は変です。
繰り返しになりますがG7 X Mark IIIは写真的な再現なので、気になる人はここからある程度調整する必要があります。
拡大して観察してみるとG7 X Mark IIIの方が肌の再現が瑞々しく艶があって健康的。R7は「いじりました!」という感じがあり不自然。
興味深く思ったのが、R7の方がレンズの実焦点距離がワイドにも関わらず遠近感が自然なこと。G7 X Mark IIIの方が顔の形にパースがついており肉眼との印象の違いが大きく見えます。この辺りの画像処理技術は世代が新しいこともあるかと思いますがAQUOS R7が優れているようです。

3.セルフィ:露出や顔認識の適性ではAQUOS R7が有利

セルフィを撮ってもらいました。やはり、こうした用途ではスマホが優位です。デジカメでは顔が暗くなりがちなので、後処理前提か、撮影時に露出補正を自身で行う必要があります。また顔認識の速度精度はR7が圧倒していました。SoCの高い処理能力が効いています。
再現性についてはポートレートモードと同様で、R7は「スマホで撮りました」という感が強くやや不自然に感じました。

AQUOS R7のセルフィモード
PowerShot G7 X Mark IIIでセルフィ

4.動画撮影(4K)

以下はAQUOS R7とG7 X MarkⅢの比較です。顔や髪の毛の色、フォーカス感、ブレの補正具合などに注目してご覧ください。

R7は最新のイメージセンサー搭載が効いており、とてもスムースかつ強力にAF追従できていまし、顔が影になるとHDRへと自然に移行して表情が分かりやすくなっています。

ところが、R7で撮影した映像をMacやiPhoneで視聴すると色の表現が妙でとても不自然に見えました。さらに、お肌の質感も塗り絵のような再現で嘘っぽく人工的です。以下はR7で撮影した映像をAndorid(Pixel 6a)とiOS(iPhone 12)で再生したときの色味の違い。こんなに違うんです。

R7で撮影した映像をPixel 6a(上)、iPhone 12(下)で再生したところ

おそらく、HDR映像の解釈に起因する問題ですが、スマホはAndroidでもパソコンやタブレットはAppleというユーザーも一定数いるはずで、再生・編集環境への配慮はもう少し欲しいところです。

一方、G7 X Mark IIIはR7と比べてAFの追従性でやや劣っています。本機は2019年8月発売なので最新世代のスマートフォンと比べて、ほぼ3年のビハインドがあり処理能力で劣る部分があることは否めません。しかし色の再現はとても自然で顔色も健康的に見えます。こうした部分にキヤノンのカメラメーカーとしてのノウハウが存分に活きていますね。

AQUOS R7のまとめ:ハイクオリティな写真が撮れるスマホだが、完成度の低さがもったいない……

以前にテストした従来機AQUOS R6や兄弟機であるLeiz Phone1などと比べて、AFが正確かつ高速になったことで、快適性が大きく改善された点はとても高く評価できます。またスマホ本体の質感や美麗なディスプレイ、スマホを超える描写力をもっていることなど唯一無二の特徴を持ったチャレンジングな機種であることについても確かです。

ただし、デジカメとしてR7を使うのは正直オススメできません。本機はあくまでも「写真が得意なスマホ」の範疇であり、上述していますが「餅は餅屋」という格言通りの結果となりました。これはファームウェアの完成度が低いということと、色再現が苦手なのかな?と感じさせるシーンが多かったことが理由です。
もちろんスマホで撮影した写真としては非常にハイクオリティだと感じますし、実際問題として良く写りますが、写真を楽しむカメラとしてはキャラクターが違うのでは?と感じます。要は、宣伝から受ける印象と製品のキャラクターにギャップがあるぞ、ということです。

こと写真用途に限定して話をするならば、20万円もするR7よりも、Google Pixel 6aなど10万円以下で手に入るスマートフォンに今回試用したG7X Mark IIIやGR Ⅲなどのコンパクトデジカメを組み合わせる方が満足度は高そうです。

もちろんSoCの高い処理性能を活かして、ゲームや動画を楽しみつつ、ハイクオリティな写真を時々楽しむという用途であれば魅力的だとは思いますが、スマートフォンの寿命が実質2年程度であることを考えると「賞味期限が短いような・・・?」と疑問符が付くことは否定できません。

ともあれ、カメラをアピールする割にはカメラに不具合が多いことについて、シャープに質問したい気持ちでいっぱいです。

もちろん、スマホならではの良さはあるので“カメラの新しいカタチ”に育っていくことを期待したい

AQUOS R7がスマートフォンです。そのメリットとして「世界と繋がっている」ということが挙げられます。デジタルカメラもスマホアプリと連携すれば繋がることはできますが、スタンドアロンでは基本的に撮るだけの機械です。スマホアプリとカメラとの接続・連携もかなり快適になったとはいえ、スマホ側のOSアップデートによって接続が不安定に、といった事もそれなりに起こります。実際に筆者のiPhoneとフジフイルムのカメラはiOSのアップデートによって接続が非常に不安定になってしまいました。いつ改善するのか分からないまま時間だけが過ぎています。
他にも撮った画像をタッチ操作で直感的に編集することができるのもスマホの強みですし、撮ってすぐにSNSに投稿したり共有したり、といった伝えるという分野については非常に得意です。

AQUOS R7で撮影(撮影:豊田慶記)

少し真面目な話になりますが、写真の本来の役割とは「記録」と「伝える」ことの2つです。カメラは記録は得意ですが伝える機能はまだ不十分という現実があります。しかしスマホはそれ自体がコミュニケーションツールとして高度に発達していますので、実は写真本来の役割を担う機器として高い適応性がある、というのは興味深いところです。R7が今後進化を重ねてR9くらいになる頃にはカメラの新しいカタチとしてより存在感を発揮することを期待しています。

AQUOS R7のカメラ機能:コンパクトデジカメとして評価した場合
画質性能:17/20
機能性:18/20
使い勝手:18/20
サイズ・重量:18/20
コストパフォーマンス:10/20
買うべきユーザー
写真が得意なスマホが欲しい人/美しいディスプレイの国産メーカー機が欲しい人/1台で全てをまかないたい人
見送るべきユーザー
カメラとしての役割を重視する人/不具合を暖かく見守れない人


補足:スマートフォンとしてのAQUOS R7のインプレッション

AQUOS R7はスマートフォンなので、処理性能や操作感などスマホとしての簡単なインプレもお届けします。なお、このセクションは家電批評編集部によるものです。スマートフォンとしてはハイエンド機らしいユーザー体験を約束してくれまるものの、処理性能やサウンドはより優れた選択肢がありそうだと感じます。一方でディスプレイの印象は大変優れたものでした。

操作感

ハイエンドモデルでは定番になっているのが120Hz表示の有機ELパネルですが、R7はダークフレームを挿入して最高240Hzで画面を書き換えを実行。残像感の低減に努めています。この効果なのかは定かではありませんが、スクロールやピンチなどの基本的なタッチ操作でとても「ぬるぬる」とした操作感を味わえました。ハイエンドモデルのありがた味を感じる部分です。ディスプレイの輝度や鮮明さにも思わず「綺麗だ!」と声が出るほど。ただし、画質設定をアプリごとに自動で変える「おススメ」にしたとこところ、アプリからホーム画面に戻る際やアプリを切り替えるタイミングで画面の輝度が変化してチラつくように見えることがあります。これは、やや不快に感じる挙動でした。

文字入力時には細かく控えめなハプティクスがあります。操作を邪魔せずキータッチに触覚が得られるので、これはちょうどいいチューニングだと感じました。

リフレッシュレートを最大まで上げるには設定アプリで有効にするアプリを選択する必要があります

発熱

冷房の効いた屋内でYouTubeを再生するなどの低負荷な操作をするだけで端末の上部(カメラの周囲)がほんのり熱くなるのは気になるところです。AnTuTuベンチマークでCPUの温度をチェックしてみると、さほど重たいタスクを実行せずともCPU温度が50度を超えることが多く不安を感じる場面もあります。

内蔵スピーカー

ややこもったようなサウンドではありますが、スマートフォンのスピーカーとしては十分な品質で音楽ライブ映像などを楽しめます。音を広げるというサウドプラス機能を搭載していますが、Galaxyなどが対応するDolby Atmosのように劇的な変化は感じられません。ちょっと広がったな?という程度です。他製品と比べるとスピーカーはもう少し良いものが作れたはず!という感想を抱かずにはいられません。

ベンチマーク

AnTuTuベンチマークを実行しました。スコアは60万点台。8 Gen 1搭載機種としては最高レベルではありません。ベンチマークのスコアを重視する人は満足しづらいでしょう。

ヘッドホン端子を備えるなど、使い勝手への配慮も感じます(撮影:fort)

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