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AC6のストーリーを自分なりに考察③オールマインドちゃんって結局何者なんだよ【ネタバレあり】

今回の記事の内容については考察動画にもしてあるので活字よりも音声がよいという人はそちらをどうぞ。

前回記事から大きく間が空いた。発売から約2ヶ月が経ち、数多のレイヴン達がネット上で議論を深め、ゲーム内で明示された情報から類推できる事柄はもはや一通り出揃っているのではないだろうか。

今やストーリー上の疑問の殆どは、ネットで検索して答えに辿り着けるだろう。かくいう私もレイヴンたちの集合知には恐れ入るばかりで、いかに見落としている情報が多かったかを思い知らされた。

いま読み返すと発売3日やそこらで書いた過去記事にはやはり粗や誤った情報も多いが、めんどくさいので発売当初はこういう考えもあったんだよという情報を残すために、致命的な嘘とか書いてない限りあえて訂正はしない。

そんなわけで私のような心が弱え者がストーリーの解説記事を書く必要はもはやなく、少し寂しい気分を感じながら筆を置こうとしていたところ、大きな謎が私の脳深部を捉えて放さなかった。

そう、弄られキャラからチャンスを掴み、現在進行形でスターの座を駆け上がっている超時空シンデレラ、オールマインドちゃんの正体は未だ謎のままなのだ。

最初の記事にて私は、「オールマインド先輩」なる真面目な苦労人キャラとして彼女をイジっていた。しかし、気づけばネット上で「ポンコツニチャドヤガバスカ計画女オールドンマイちゃん」として多くの傭兵に愛されているのを見て、私もまだまだ精進が足りぬことを思い知らされた。

しかし、ゲーム製作者は彼女の正体に直接結びつく情報をゲーム内には残しておらず、それゆえオールマインドちゃんの正体に関する考察は、すべからく妄想に帰結する。

てなわけで今回は、オールマインドちゃんの正体に迫るべく純度100%の妄想を垂れ流したいと思う。例によってネタバレ満載なので、全てのエンディングを見ていない方はブラウザバック推奨。

現時点で思いついた妄想を取捨選択せず全てぶち込んでいるので、ドン引きするほど滅茶苦茶長いです。お覚悟を。


1.しゃあっ! 灘神影流 元ネタ探し!

はい、初手でいきなり考察における最大級の禁じ手に至りました。
元ネタを探して考察にこじつけるのはルールで禁止スよね?
類推の根拠にゲーム外の参照を挙げた瞬間、考察は妄想純度100%の危険な領域へと突入する・・・!

仮に元ネタの情報を全て考察に入れて語るのが許されるならば、
「ルビコンの元ネタはローマ史でぇ・・・ ブルートゥの元ネタはブルートゥスでぇ・・・ だから独裁官スッラとの関係はぁ・・・(ニチャア」
などとゲームストーリーの考察という目的を外れたシャーロキアンじみた知的パズルが突如として開催されてしまうのは想像に難くない。

何で考察に・・・他作品が出んだよ・・・? 教えはどうなってんだ教えは!
お前ら禁じられた手段を平気で使ってんじゃねえか!
考察厨が生まれたのは、考察者がこじつけと独り善がりの教養自慢に甘えたせいだろうが!

というド級の正論、ド正論が飛び交っているところだと思うが、なぜいきなりこんな違法な強硬手段の行使に出たのか弁解すると、まあ妄想するにしても出所が明らかなオマージュはやっぱ手掛かりにしていきたいよねという甘えた考えからだ。
心が弱え考察者なのか・・・!?

で、オールマインドちゃんの元ネタのひとつに確実に入っているであろうものが、Bloodborneの元ネタの一つとしてもお馴染み、皆さんご存知SF界不朽の名作、アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』に登場する「オーバーマインド」だ。

オーバーマインドちゃんが何者であるかについては、Wikipedia先生に解説を丸投げする。長いので興味なければ読み飛ばして。

第3部「最後の世代」
オーバーロードに反発する一部の芸術家や学者たちは、地球人固有の心性を守ろうと、太平洋上の火山島に独自のコミュニティを作る。ある時、このコミュニティに住む子供たちに、念動力のようなものが発現し、一切睡眠を取らなくなるなどの異変が起こり始めた。彼らは、宇宙を統括している大きな精神体・「オーバーマインド」 (Overmind) の一部にやがて進化する新たな知性の種であった。この地球人の変化を、地球人の自滅を予防しながら見届けることこそがオーバーロードの使命であり、それはオーバーマインドによって命じられたものだった。子供たちの異変の報告を受けたカレルレンは、人類へ向けて最後のラジオ演説を行ない、火山島の子供たちを別の大陸に集住させる。
80年後、ジャンが地球に帰還する。亜光速の宇宙船内で過ごしてきたため、相対性理論の教える通り、ジャンはさほど年を取っていないが、彼を迎えたのは変わり果てた地球の姿であった。カレルレンや、ジャンと旧知のオーバーロード・ラシャヴェラクは、ジャンが今や最後の地球人であること、「オーバーマインド」に関する知る限りの真相、「オーバーマインド」と一体化しつつあるかつての「子供たち」の状況、「子供たち」が一体化を始めた場合の地球の運命をジャンに語る。数か月後、ラシャヴェラクの頼みを受けて地球に残ったジャンは、地球を脱出したオーバーロードの宇宙船に向かって、地球全体の「物質としての終焉」の状況を報告する。

以上の引用を示し、その類似点を箇条書きであげつらい(名前・人格統合・人類の進化等)、それをもって「パクリ確定www」などと揶揄したい訳ではない。

むしろ名前と設定の両方を似せたのは、オマージュ元をユーザーに分かりやすく明示して言外に含みを持たせる、フロムならではのストーリーテリングの一手法としての意図があったのではないかと個人的には思っている。
(繰り返しますが100%妄想もう頑張るしかないさなので間に受けないでください)

この手法をフロムが用いた例を挙げるならば、やはりbloodborneの上位者エンドだろう。これは、ラスボスを倒すと主人公がナメクジに変えられ、ヒロインに「お寒いでしょう」と言われて終わるという、ちょっと何言ってるか分かんない謎電波EDである。

しかし、エンディングのトロフィー名「幼年期の始まり」が表示された途端、何が起こったか、ラスボスがなにをしたかったか理解できるようになっている。
フロムの隠喩気持ち良すぎだろ!

物語中で多くを語らなくても、プレイヤーが勝手に上位者をオーバーロードという概念に重ねて理解できるようになり、結果としてストーリーの芳醇さを増すことに成功している。むろん、それがストーリーの正しい解釈であると明言されることはない。だが、自分なりの答えに辿り着いたプレイヤーは、それが自分1人だけにとっての答えであることに納得し、十分な満足感を得ることができるというカラクリだ。

んでこれから私がしたいのは、オーバーマインドちゃんが元ネタの一つだと考えると、コーラルリリースについてのオールマインドちゃんの動機に説得力がでるよね、という話である。

先に述べた通り、この解釈は私一人だけにとっての正解であることをあらかじめ強調しておく。

2.コーラルリリースの動機が分かんねえよ!

現在、オールマインドちゃんの正体はAIであるという言説が最有力説なのではないかと思う。私は以前の記事において、割と迷いなくオールマインド先輩コーラル変異波形説を唱えていたが、その理由は作中でコーラルリリースの動機を持てそうなのが変異波形だけだという印象を受けていたからだ。

コーラルの変異波形であるエアにとっては、コーラルリリースの動機は単純だ。ルビコンで生まれた生命とはいえ、このまま故郷に留まっていれば、コーラルを貪ることしか考えない企業に利用されたあげく、コーラルを恐れるオーバーシアーに絶滅させられる危険に晒され続ける。

現状でコーラル目線だと人類に対する外交努力は八方塞がりであり、ゲームチェンジャーとなりうる画期的な計画があれば、当然乗る。

そんな訳で私は当初、コーラルリリースに動機のある変異波形オールマインドちゃん説を推していたのだが、最終戦の「あなたの同胞は我々を歓迎するでしょう」というセリフが胸を締め付けてやまず、現在はコーラルから距離を置いた存在であろうと考えを改めている。

しかし、ここで動機が行方不明となってしまう。人類側としては、コーラルリリースを行う魅力はあんまりない。別に現状の身体が宇宙に出るには脆弱すぎて困ってるとか、近く人類を革新に導かないと種が滅びる予定があるとか、そういうガンダムにありがちな脅威に晒されている描写はない。

よってオールマインドちゃんが人工知能であったとして、それを作って得しそうな人間がパッと思いつかないのだ。

そんな訳で、リリース計画の情報を持っていた技研に都合よく白羽の矢が立ち、技研産の、あるいは技研の影響を受けたAIなんじゃないかという手堅い考察に正体が軟着陸することが多く、この考察は一定の説得力がある。

しかし、もう一度胸に手を当てて考えて欲しい。
「まあ技研みたいな変態組織なら何考えていてもおかしくないでしょ」的に深い追求のないまま謎の納得感を感じているだけではないだろうか(正直分かる)
オールマインドちゃんがやりたいことを、真摯に考えてあげられていると、あなたは胸を張って言えるだろうか?

オールマインド先輩が自らの口で動機を語るところによれば、「我々の計画は、人類と生命の可能性を??するものであるので、やりたい」とのこと。

この動機の追求を疎かにしたまま先に進むと、最後の最後で計画の異物として掌を返してレイヴンを裏切った動機が、「意地でも自分主体でトリガー引きたかった」「自分が神になりたかった」「最後が気持ちよかった(小並感)」のように小物感溢れるものになってしまう。
(私の前回記事のように)

私個人としては、百歩、いや十歩譲ってオールマインドちゃんがポンコツであることは認めるものの、やはりAC6の真のラスボスがそのような小物臭い動機で動いているとは考えたくないものである。

というわけで、今一度オールマインドちゃんの情報をかき集め、何とかカッコいい動機をこじつけてあげたいと思う。この記事を読み終える頃には、彼女をポンコツAIオールドンマイちゃん等と呼ぶ不敬な読者諸君は大いに悔い改め、かつてのように「オールマインド先輩」と畏怖と敬意を持ってその名を呼ぶことになったらいいな。

だが、その説明をする前に半世紀前のルビコンの状況を理解する必要がある。
少し長くなるぞ。

3.その前にアイビスの火を理解する必要がある

半世紀前に起きた星系規模の災害、ウォルターの恐れた破綻そのもの。
それがアイビスの火である。
ナガイ教授の口述筆記を順番に読めば、大体どんなことがあったか分かるようになっている。かなり大事なことが書いてあるので、振り返りがてら一つずつ見ていこう。

コーラルは自己増殖する生体物質であり
その増殖速度は個体群密度の影響を受ける

例えば真空状態
これは密度を最大化する理想的環境のひとつと言える

重要なのは密度効果による
「相変異」 の兆候を見逃さないことだ

それは人類には制御できない破綻となる

ナガイ教授の口述筆記(1)

私は当初、真空状態にならなければコーラルは安全だと思っていたが、情報ログを読んでいる限りはそうとは限らないのではないかと思えてきた。

相変異」とは(Wikipediaによれば)特に個体群密度の変化によって、異なる姿と習性をもつ個体が生じることである。

最もイメージしやすい例はバッタ→イナゴの相変異だろう。
あまりに個体群密度が高まりすぎたバッタは、「このままじゃ全員飢え死にして種族滅亡や!」なったところで、移住と略奪に特化したもはや別の生物種なんじゃないかという姿にフォルムチェンジする。

これを参考にすれば、個体群密度が高まりすぎたコーラルには「やべえ! 俺たちもうこんなところ狭すぎていられねえ! 移動特化形態にフォルムチェンジしてみんなでどっか移住すっべ!」となり、星々にドバーッと伝播していく習性があるのではないかと考えられる(以下便宜的にイナゴ化現象と称する)

そして、イナゴ化現象を制御するための変異波形と、それと交信可能な人類の意識を計画に組み込んだものが、コーラルリリースということも妄想できる。

第1助手の様子がおかしい
明らかに研究に取り憑かれている

Cパルスで人間の知覚を増幅するなど
理屈は通っていても許されるものではない

可能性が人を狂わせる
コーラルはその最たるものだ

ナガイ教授の口述筆記(2)

ウォルターパパじゃないかと目されている第1助手。この記事はどうせ妄想で信憑性皆無なので、せっかくだから第1助手=ウォルターパパ、第1助手の子息=ウォルターという妄想を前提とさせてもらう。

で、第1助手(ウォルターパパ)は家族を捨てて研究に没頭し、狂った成果を数多く生み出した。強化人間もそのひとつだ。Cパルス、つまりコーラル波形で人間の知覚を増幅するのが、強化人間手術の本質らしい。

では第1助手はなぜ強化人間の研究に没頭したのか。まさかつよつよハイパー傭兵の製作が目的ではないだろう。ナガイ教授いわく、第1助手は可能性によって狂わされたらしい。

・・・ん? 可能性・・・?

我々の・・・計画が・・・
人類と生命の・・・可能性が・・・

オールマインドの断末魔

なにかデジャヴを感じたが気のせいだろう。次の口述筆記に移る。

第1助手の子息をラボで引き取ることにした
寡黙で気丈な鉄のような少年だ

研究は彼の母親を奪い 父親を狂わせた
私を恨んでも良いだろうに···

第2助手の力も借りることにしよう
あれは玩具を作るのが得意だったはず

少年が笑ってくれると良いが

ナガイ教授の口述筆記(3)

第1助手の子息=ウォルター説、第2助手=カーラ説の根拠となるログ。
第2助手はコールドスリープにより現在まで若さを保ったカーラだ。
その方がエモい、私がそう判断した(デリング総裁並感)

で、このログから読み取るべきことは、研究がウォルターママを奪ったということだ。
書きぶりの問題かもしれないが、研究がママを奪い、それによりパパが狂ったと読むことができなくもないと(私は)思う。

そう、つまりはエヴァンゲリオンのアレである。
Cパルスで人間の知覚を増幅する研究の結果、ウォルターママの意識はコーラルの奔流に散逸してしまった。

そしてウォルターパパは、狂気的な言葉で被験体をおねだりするガバ倫理ダディーへと大変身するのだ。
全ては“向こう側”へ行ってしまった妻のため・・・ これなんてゲンドウ?
冬月はチャリに乗れ! でなければ帰れ!

じゃ、ママのために計画立てようか。
んー、“向こう側”に行くにはどうすればいいかなあ・・・
とりあえず色々考えて、論文にまとめとこっと!

残骸から抜き取った文書データ
解放戦線の帥父 サムドルマヤンの書き残した
随想録の一部であるようだ
------------
いつものように私の内側で彼女が囁く
技研都市の論文に・・・ 共生の可能性を見つけてきたと

「コーラルリリース」

これが果たされれば
私も「向こう側」 に行けるかもしれない

ドルマヤンの随想録(4)

コーラルリリースがなされれば、ウォルターママの意識がコーラルの奔流に散逸している都合上、トリガーを誰が引いたにせよ、結果的に生命としてママが生き続けるということになる。ウォルターパパも意識をコーラルに散逸させてしまえば、妻にもう一度会えるかもしれないという、ゲンドウ的動機もあるかもしれない。

話をナガイ教授の口述筆記に戻そう。

まずい
コーラル潮位が異常な速度で上昇している

この共振は相変異の・・・
計算しろ 猶予は?

47時間2分16秒

間に合う
アイビスを出せ!

ナガイ教授の口述筆記(4)

コーラル潮位という表現から、アイビスの火の源となったのはバスキュラープラントのあるコーラル集積地の湖なのではないかという印象を受ける。

そして、アイビスの火の発端となったのはコーラルの相変異(イナゴ化現象)であり、その始まりは共振を伴うものらしい。

・・・見てください。
企業が吸い上げたコーラルが、共振を始めている。

オールマインドちゃんのドヤ台詞

イナゴとなったコーラルがルビコンの外に出てしまえば、真空で密度効果マックスとなり爆発的に増殖してしまう。それを許せば人類社会の悲惨が待つ・・・
残された時間は47時間。アイビスを駆るナガイ教授の戦いが始まる・・・!

このログから読み取るべき情報は、真の有能は重大な局面においては47時間前行動をするということだ。5分前行動するどっかのポンコツにも見習って欲しいものだ。

技研もルビコンも壊滅は避けられない
問題はそのあとだ

変異波形発生の兆候も見られる
観測を続けなければ

頼れるのはもはや第2助手しかいない
私にできるのは教え子に業を背負わせることだけだ・・・

ナガイ教授の口述筆記(5)

意志によって使命を繋ぐ、鬼殺隊並みの異常者の集まりオーバーシアー結成の経緯が見て取れる。
また、アイビスの火前後に変異波形発生の兆候があるとの匂わせもされている。
これはセリアのこと・・・と見せかけてエアのことだと思われる。

ドルマヤンとかいうジジイドーザーが若い頃に変異波形と交信し、「尽きることはないから大丈夫だって安心しろよ」とか言われてたという描写から、ドルマヤンの交信はアイビスの火以前の物だったと考えられる。

兆候、つまり前触れというノリなので、アイビスの火あたりでエアが誕生していたら、「長い間誰にも知覚されなかった」と言っていたエアの言葉にも納得できるのではないかと考える。

ちなみに随想録からは、最初は大地の恵みとか言ってノリノリで搾取してたドルマヤンが徐々に曇っていく様が読み取れる。また、セリアが技研都市の論文をハッキングしているが、エアがそれをできていないのを見るに、ハッキングは技研都市がまだ生きていた頃に行われているように見える。

そして、次がいよいよアイビスの火直前のログだ。

残り12分
やるべきことは全てやった

アイビスの火を見届けるのは私ひとりで良い

あの少年は強く生きていけるだろうか

木星には友人もいる
きっと良くしてくれるだろう

映像記録:アイビスの火

“レイヴンの火”の命名規則から、ナガイ教授ひとりがアイビスを使って“アイビスの火”の火種となったのだろう。使った機体はアイビスシリーズ唯一の有人機体にして最終後継機『HAL826』だと考えるとしっくりくる。

また、コーラル破綻に備えて作られた「最後の安全弁」とは、自ら火種になり相変異を迎えようとするコーラルを焼滅することを指しているのだろう。

このとき、ある少年がナガイ教授の計らいで木星へ渡っているらしい。
ちなみにハンドラー・ウォルターは木星戦争の英雄ミシガンと旧知の仲である。

4.誰だ!コーラルリリースしようとしてる奴!

アイビスの火はコーラルを井戸ごと燃やして枯らし、後に残ったのは、カーマンラインまで舞い上がった余燼と、ルビコンに住む「灰かぶり」達。

調査ドローンから抜き取った観測データ
中央氷原における地表コーラル濃度について記録されている
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ベリウス地方と数値は大きく変わらない

アイビスの火がもたらした余燼と思われる
不活性コーラル反応が8割

残り2割を引き続き分析していく

観測データ:氷原のコーラル濃度調査

──本作の舞台となる辺境の開発惑星「ルビコン」と周辺星系を巻き込んだ大災害とはどのようなものだったのでしょうか。本作のストーリーや設定について教えてください。

山村:新物質「コーラル」の暴走による大災害は、作中では「アイビスの火」と呼ばれています。それは物理的にルビコンを中心とした周辺星系を焼き払うものであるのみならず、生物環境にも致命的な汚染をもたらす深刻なものでした。

ただこの大規模発火現象にはある種の指向性があり、ルビコンにも辛うじて被災を免れたエリアが存在します。この惑星を開発してきた移民たちの末裔にあたる土着勢力「ルビコニアン」たちはそうして生き残ったわけですが、「惑星封鎖機構」と呼ばれる星間公的機関が当該宙域を封鎖したことで、現在では星内に抑留されるも同義の境遇を強いられています。

そして「アイビスの火で焼失したはずのコーラル反応が再び検出された」という情報をキャッチした企業勢力が、その利権を求め、惑星封鎖の間隙を突いてルビコン進駐を決行しています。

AC6 インタビュー

恐らくだが、元々のコーラル豊富なルビコンであれば真空状況に晒さなくても、バスキュラープラントで湖にコーラルを集めるだけで相変異を起こせたのだろう。

“アイビスの火”による焼滅でコーラルの絶対量が少なくなったため、オールマインドちゃんは真空下という個体群密度最大化の理想状況を計画の第1条件として用意しなければ相変異を起こせなかったのだろう。

しかし、個体群密度が高まりすぎると相変異を起こすことも含め、コーラルの危険性については十分過ぎるほど技研は知っていた。なにしろ万が一の破綻に備えて超イケてるロボを生産していたくらいだ。
うっかり群密度高めすぎちゃいました♪ オラッ! 破綻ッ♡ 人類の悲惨ッ♡
という訳ではないだろう。

では、コーラルの相変異(イナゴ化)を引き起こした黒幕がいるはずだ。それは誰か。

仕事の前に、一つ昔話をしよう。
ある科学者がいた。家族を棄て、コーラルの研究に没頭した男だ。
狂った成果が山ほど生み出された。
強化人間も、そのひとつだ。
善良な科学者もいた。
男の罪を肩代わりし、全てに火を点け・・・
そして満足して死んだ。

ハンドラー・ウォルターの台詞・コーラル集積地到達前

ウォルター「こいつです」

ハンドラー・ウォルターの言うことを全て信じるならば、犯人はこいつである。
冬月をチャリに乗せてそうな第1助手が、論文に書いたコーラルリリース計画を実行に写し、その罪を肩代わりし、ナガイ教授が全てに火を点け死んだ。

しかしコーラルリリースには特別な強化人間と、Cパルス変異波形が不可欠である。
ただこのゲームに登場する変異波形は、エアを除けば1人しかいない。

彼女は私の意志を尊重するという

ここを渡れば人間世界の悲惨
渡らなければ・・・

賽を投げる覚悟が私にはできずにいる

随想録から、ドルマヤン&セリアがコーラルリリースするかしないかの瀬戸際まで行っていたことが判明している。動機も状況証拠も充分、ネタは上がってるんだ! 
お前らがやったんだろ!!

というわけで、オールマインドちゃんのジュラル星人並みに周りくどい計画よろしく、ウォルターパパも共生を模索するドルマヤン&セリアに情報を流し、コーラルリリースへ向かうよう仕向けていたのではないか、というのが目下の妄想である。

しかし、結果から言うとコーラルリリースはなされず、独立傭兵ドルマヤンと変異波形セリアの大冒険の結末は、ナガイ教授プレゼンツのアイビスの火ルートとなってしまった。

結果はどうあれ、この局面においてドルマヤンはそもそも賽を投げる決断ができなかったのであろう。セリアも焼かれてしまい、ボケ老人扱いを受けながら男娼を囲い、余生を後悔とともに生きることになる。

そして、コーラルリリースをしないという選択をしたためにセリアを失ったことで、おじいちゃんは頑ななコーラルリリースアンチとなってしまう。歳をとってから政治思想を変えるのは難しいのだ。

「コーラルよ、ルビコンの内にあれ、その賽は投げるべからず」という警句の真意は、
「最終的にその賽投げちゃうなら、投げずに相棒死なせた俺が馬鹿みたいだからヤメレ」
なのであった。このおじいちゃんダサくない?

オールマインドセリア説を唱えている人もいるが、私はエモくないので支持していない。もしそうだとしたら流石にドルマヤンに対するオールマインドの描写に感慨が無さすぎるし、「セリアがドルマヤンの意志を尊重すると言った」という感動的な描写を汲みたい気持ちもある。心中直前でチキって女だけ死なせる太宰治ムーヴされたのでキレて他人のフリしますというのは、かなしくてエモくない(KONAMI感)

てなわけで、私の妄想するアイビスの火の経緯をまとめるとこうなる。
「ウォルターママの意識がコーラルに散逸し、そのせいで第1助手が研究に取り憑かれ、コーラルリリース計画を立案する。
 リリースのトリガー役として、交信が可能な人間と変異波形のカップルを探していたところ、ドルマヤンとセリアという誂え向きの二人を見つけた。2人は人間とコーラルの共生の方法を模索し、リリース計画の論文を見つける。
 集積地の湖にて共振が起き、コーラルの相変異が始まったものの、ドルマヤンはコーラルリリースをするべきか否か、ルビコン川を渡るか否かギリギリまで迷っていた。臆病なドルマヤンは「ここを超えては人間社会の破滅が待つ、その賽は投げるべからず」という結論に至る。
 リリースのトリガー役がいなくなり、意識も何も乗っていないただ増えるだけの群知能が放出されることとなってしまったが、これはナガイ教授がアイビスで火種になって防いだ。そして教授は、リリース計画の立案者、第1助手の罪を肩代わりして満足して死んだ。」

仮定に仮定を重ねた煮詰まった妄想だが、ひとまずこれがアイビスの火の経緯だったこととします。オールマインドちゃんの話、まーだ時間かかりそうですかね?

5.傭兵支援システム

オールマインドちゃんは、傭兵支援システムである。ポンコツでもコーラルでもRTA走者でもない。傭兵支援システムなのだ。

ACにおける傭兵支援システムといえば、正体は人類を管理するAIで普段の仕事はイレギュラー探し回ったりすることと相場が決まっているのだが、この世界観における傭兵支援システムというものを今一度真剣に考えてみよう。

まず、オールマインドちゃんの管理する傭兵たちには識別名に加え、登録番号が割り当てられている。レイヴンの場合は「Rb23」であり、独立傭兵だろうが企業所属だろうが、ルビコンの傭兵は必ず頭にRbがつく。

ここから、オールマインドちゃんの管轄はルビコン星系以外にまで広がっているのだろうというふんわりとした予想ができる。太陽系の傭兵は頭文字「Sl」とか「So」とかになるのだろう。
我々にはルビコンの外のことを知る手段がないので、オールマインドちゃんがどうしてもルビコンの傭兵支援システムに見えてしまうのだが、本来は辺境星系など業務の一環で担当しているだけの銀河規模システムなのだ。

となれば、大きな目的のためにルビコン星系外でオールマインドちゃんが暗躍していても、なにもおかしいことではない。そんなこと言っても太陽系外の描写なんて詳細不明の木星戦争くらいしかないのだが、妄想に妄想を重ねることで私はか細い光の小人を見出したので、説明していきたい。
そのためには現在のスッラの状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ。

アイビスの火の時代を生きたキャラクターが何人かいる。ウォルター、カーラ、ドルマヤン、そしてスッラである。

スッラは半世紀前に起きたアイビスの火以前からルビコン周辺星系で傭兵活動をしていた超ベテランである。元々は普通の傭兵だったが、第1世代強化手術を受けて以降は「狩り」だけを請け負うようになったとある。

裏切り者の第3隊長や頭の悪い計画首謀者に苛立たされながらも孤軍奮闘していたオールマインドの協力者であるが、このおじいちゃんは果たして何者なのだろうか。

スッラの「狩り」というのはハンドラー・ウォルターの猟犬狩りのことを指すのだろう。つまり、コーラルの完全な絶滅を目論むオーバーシアーの妨害を生業とする独立傭兵ということを指していると考えられる。

この記述から、スッラが第1世代強化手術を受けた時期がふんわり予想できる。アイビスの火から木星に逃れたウォルター少年が成長し、猟犬を用意し、友人たちと一緒に木星でオーバーシアーとして活動するようになったあたりの時期に、スッラは手術を受けたのだろう。

手術後すぐに狩人になっている記述から、スッラの手術は最初からオーバーシアーに対抗する手駒を製作する意図があったと考えられる。

そう、独立傭兵だったスッラは、太陽系でオールマインドの手駒となったのだ。

管理者系AIあるあるの一つに、何らかの目的のための手段として傭兵支援システムをやってるというのがある。オールマインドの目的、それは人類と生命の可能性の拡張。

インテグレーション・プログラム第2フェーズ

オールマインドは基礎研究の一環として
各種勢力のAC設計思想にも着目してきました

人体を模した有人兵器である以上
そこには人間に対する解釈が自ずと入ります

星外企業のACには人間を環境に対して無力なものと見なし
出力の最大化によりそれを超克しようという思想が見られます

解析対象:51-013 BE

人間の可能性の探究として最も効率が良かったのが、人体を模した有人兵器による戦いだったのだろう。人は、人と戦うためのカタチをしているのだから。

そして、オールマインドにとってコーラルは人類進化の手段に過ぎず、ルビコン以外でもっと良さげな方法があったならば、迷いなくそっちに鞍替えしているだろう。

ザイレムのバスキュラープラント衝突が確定した時のオールマインドの台詞に、
「計画を修正します。次の機会は、まだある」というのがある。

一部界隈では「震え声w」「もうねーよw」「負け惜しみ乙w」などと馬鹿にされている台詞だが、オールマインドちゃんが銀河規模で人類進化を模索しているシステムだと考えれば、コーラルリリースなど辺境惑星における一プランに過ぎず、いくらでも修正はきくと考えられる。

やはりわたオールマインドは優秀最強人工知能。

6.結局、AM公の動機ってなんだよ

以上の妄想は、「もしオールマインドが、人間を進化途中の存在だと考えていて、その進化を促すためのAIだったら?」という妄想を前提に構築したものだ。最初にオーバーマインドの引用をしたのは、最初の前提に至るための示唆となったのがオーバーマインドの概念だったためである。

ただ、これほどの長文を垂れ流したところで、最初に提示した疑問は解決されていない。
オールマインドちゃんが人類を進化させたいと考えているならば、そんなAIを誰が作ったのか。

妄想が前提なのに、妄想でしか答えが出せない問題が出てきてしまったが、せっかくの妄想なのでひとつ答えらしきものを出してみよう。

ま、地球人類でしょうな。

今作は過去作との世界観的繋がりは全くないが、どうしても妄想するときに影響を受けてしまうので、このような結論になっている。

今作における宇宙開発は、星系規模の入植が完了しているという高度なものだが、それに至るまでの人類の歴史を妄想したとき、どうしても過去作の影響を受けて以下のようなストーリーを勝手に作り上げてしまう。

「高度に技術を発達させた人類は、地球に大破壊をもたらし、もはや種としての絶滅を目前に控えていた。彼らは滅びを回避するため、人類の管理者としてAIを作った。
 また、二度と大破壊を起こさぬよう、強すぎる力を持つもの(イレギュラー)を排除する機能を管理者に与えた。
 そして、AIに導かれながら人類は地球にて再生を迎え、ついには宇宙に活路を見出し、現在まで続く繁栄を築き上げたのだ」

はい、621%妄想です。

一応今作のAIについて知るモデルケースとなるのが、惑星封鎖機構だ。

なあ知ってるかよ
あの衛星を作った惑星封鎖なんちゃらでは
人間がAIに使われてるらしいぜ

あ? 言われてみりゃあそうだな
うちも大して変わらねえか

だがチャティはボスの言うことは聞くからな
そうプログラムされてんじゃねえかな

通信記録:ドーザーの通信

封鎖機構の正体は人類の管理者たるAIであり、その活動には人間社会の悲惨をもたらすものを封じこめるという意図がある。大き過ぎて修正が必要な奴を見かけたら、排除するため強制執行してくる。えらい。

そして、やばいものを封じこめて人類の現状を維持しようとする封鎖機構と対照的な、正反対のアプローチから人類を助けようとしたAIが、オールマインドちゃんなのだと思う。

彼女が作られた理由は封鎖機構のAIと同じで、滅亡の危機にあった人類を救い、2度と人類種の滅亡を起こさないこと。だから、少しでも人類を滅亡させる可能性があるイレギュラーがいるならば、封鎖機構と同じく修正が必要と判断する。

そしてオールマインドちゃんは2度と人類を滅亡させないという目的のために、人類を宇宙に偏在するひとつの大きな意志として進化させよう(=オーバーマインド的存在)というアプローチを考えだした。

そのために最適な手段を考えた時、白羽の矢が立ったのが傭兵という、自由に人間の可能性を追求する存在だったのだ。

インテグレーション・プログラム 第3フェーズ

コア理論の体現者として最も優れているのは
やはり独立傭兵と言えるでしょう

生死が自らの操縦ひとつに帰着する彼らにとって
ACは肉体の延長であるべき必要があります

今回の検証相手は表舞台には現れない伝説的独立傭兵
それを限られた情報から再現したものです

解析対象:51-016 GA

はい、ベタ褒めです。

関係ないけど、傭兵支援システムから自由の表象“レイヴン”が生まれて、ルビコン星系で活動するブランチという止まり木に止まるって、エモいよね。

レイヴンはワタリガラスだから、すぐに別の場所へ渡っていく。このフレーバーがエモいので、レイヴンはブランチのメンバーじゃないと思ってます。
書く機会が無さそうなので流れ無視でここにぶち込みました、すみません。

最後に、コーラルリリース直前で手のひらを返した理由についてだが、これはオールマインド先輩の目的が、人間の進化ではなく人類の進化だったからであろう。

エア&621がいくら増えたところでそれは人類と言えるかは微妙なところ。オールマインドちゃん的には人格統合も大事なファクターであり、スッラをトリガーにする場合も最終的に統合してからリリースするつもりだったのだろう。

また、レイヴンのあまりに大きすぎる力を恐れ、管理者AIの本能的に排除という判断を下さざるを得なかったというのはあるだろう。

統合されてなお自我と執念で主導権握ってきたイグアスにもイレギュラー認定をかまし、取り込むべきではなかったと言っているので、根本的に大きすぎる力の登場は喜ばしいと思っていなさそうだ。

「根本のところで人間を信用してなかったから」という理由もあるだろう。これは別にオールマインドちゃんが人間嫌いとかいうこととイコールではないと思う。大破壊を経験した人間が作ったAIだとするならば、一個人の意志にそれほど信頼を置くような価値観には設定しないだろうし。

また「人による組織というのは脆弱なもの」みたいなよくネタにされる発言があるが、これは封鎖機構AIに対するライバル心というか、当て擦りみたいなものかもしれない。
封鎖機構も准尉だの階級制敷いてるので、人による組織と言えるだろうし。

ゆえにオールマインドちゃんは人間を集めても組織とはせず、統合して大きな意志となるアプローチを選んだのだろう。

今回のまとめ

結局ダラダラと妄想を書いて収拾がつかなくなってしまったが、今回の妄想を一言でまとめると、
「オールマインドの正体とは、戦いこそが人間の可能性だと思い込んでいる一般傭兵管理システムAIである」ということになります。

結論から言います。オールマインドの正体、主任でした。
などと言わんばかりの妄想の数々に皆様は辟易としたことでしょう。

書いている途中で、オールマインドウォルターのママ説や、真の黒幕はアイビスの火を生き残ったウォルターパパ説等のより香ばしく熟成した妄想が喉元まで出掛かりましたがなんとか飲み込むことができ、比較的ライトな妄想に着陸できたのではないかと思います。

今回の記事で私が最も伝えたかったのは、オールマインドちゃんはポンコツだけど、人間見下してる嫌な小物ってわけではないんじゃないかってことです。

確かに手駒少ないけど、人口が多いであろう太陽系とかをメインで活動してる傭兵支援システムだとしたら、辺境惑星にそんなに戦力持ってるわけないし。コーラルリリース自体は前々から計画してたプランのひとつってだけで、存在をかけて遂行するほどのものでもないし。

「我々の・・・計画が・・・ 人類と生命の・・・可能性が・・・」
という断末魔については、長年かけて準備したプロジェクトがイチから練り直しになって萎えて放心してるだけで、AC6の世界観の続編とかあれば何事もなかったかのようにシレッと再登場することは想像に難くない。

てなわけで、今回の記事はガチで妄想二次創作小説になってしまったので、ラスティ夢女子二次創作小説と同じくらいのポジションの話だと考えて欲しい。

それででもなお「教えはどうなってんだ教えは!」という義憤を抑えきれない敬虔なエボンの信徒の方は、筆者のXアカウント宛に管理者権限で履歴も残らないメッセージを送って下さい。

というわけで約15,000字に及んだ謎妄想は終わりを迎えます。
オールマインドちゃん最高!!

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