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水を掴む

2020年の初めに前十字靭帯を切った私は、翌年に再断裂、翌々年はリハビリで一年が終わってしまった。

その間、新しい選手が加わり、監督も変わった。
トレーニングマッチと練習とのサイクルを経て頭と身体で理解できることに感動を覚えている頃、チームメイトにはそれはできて当たり前のことになっていた。

一度目の断裂から3年。
初めて、怪我なくリハビリなく順調に開幕戦を迎えようとしていた。
開幕戦を土曜に控えた週の月曜日、なんてことのない動作で膝がご機嫌を損ねてしまった。

試合に出たい気持ち以上に、万全の状態で初戦に臨みたいと願っていた。もう少しで掴めそうだったのに、目前で手のひらから溢れ落ちていった。ただそれだけのことなのに、どうしてこうも叶わない目標なのだろうか。

自分の中でできることはしてきたので、それでもダメだという現実に悟りというか諦めというか「ああ、残念だな」というさっぱりとした気持ちが生まれている。
なんか、本当に残念に尽きる。

感情的に自分を見ると、これだけしてもらったのに(入院で数週間休みをもらう、その分誰かが働いてくれている、それでも応援してくれている人がいる)、という情けなさと悲しさと虚しさで涙が出てくる。自分のためよりも、周りの人のために怪我はしたくないのに。

結局、明日は例年通り分析用の映像を撮るビデオ係として役を全うすることに。
試合には出られないけれど、出る人をサポートすることでチームを勝たせること、プレーするだけがサッカーをすることではないこと…そういうことをこの数年間、ずっと考えて、経てきた過程を正解にしてきた自負はある。明日も変わらず、自分なりのサッカーへの関わり方を。

p.s
今は(4/7)MRIの結果待ち。
軽傷でありますように。

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